神岡の町 (ふるさと2)
神岡の町 (ふるさと2)
川の流れは滔々と
山あいの町の真ん中を
突き進む
何百何千ものすべすべと丸み持った川石が
静かな川の歌を口ずさむ
行く末などは考えることもなく
新緑の緑を仰ぎ
青い空を見上げ
雲のゆくへを見送る
城跡から眺めれば
町はうたた寝しているように
ゆったりと左右から川を抱き
遠く観音開きする山の群青は
川の流れを追いながら
時の流れの行く末を
見守っているのだろうか
神岡の町
遠い記憶の中に
小さな町が生きている
川岸から川岸へかけられた橋
母に手を引かれて歩いたこともあっただろう
煌めく町の明かりがまばらに点在して
それが闇の空に光る星なのか
川の上で踊る蛍なのか
窓から見える景色は
一枚の絵のように
何十年も記憶の小部屋に飾られていた
やっと出会えた
神岡の町