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セクハラ先輩を、俺は……


分からない。

何故朱音先輩が、俺の事をこんなに気にかけてくれているのか。


前に聞いた話では、どうも納得いかない。

会って1週間も経っていない男に、こんなスキンシップをとることが出来るか?Noだ。……多分。


家に泊めるってのもおかしいし、俺の中二の記憶がないことにあんな動揺する意味もわからない。


彼女が、分からない。

こんなに笑っているのに……。

俺に笑いかけてくれているのに、なぜ俺は彼女を疑い続けるのだろう。


なぜなのだろうか。

なぜ俺の心は……彼女を避けろと言うのだろうか。


彼女は、俺の先輩。これまで全く話したことも無い、ただの先輩。

完璧超人、静華朱音。

それなのに……なぜか俺の心は、彼女を避けろと発するのだ。


彼女のことが分からないどころか、俺の心すら分からない。


「後輩くん?早く行こう?」


何故あなたは俺に笑ってくれるのに、俺は彼女に近づけないんだ。

誰か教えてくれ……と。


どうせ誰も教えてくれない問いを残して、俺は彼女の背中を追った。



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