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03 資格の再取得

冒険者組合・組合室


皇子が部屋から退出した後、その部屋には奇妙な沈黙が流れていた。

俺は恐る恐る組合長に説明を求める。


「あ、あの……組合長?あの魔法って……」


組合長は頭を抱え「想定しうる最悪の事態が起きた」と言わんばかりの痛恨の表情を見せる。そしてため息まじりに話しだす。


「……はぁ、今のは王族のみで伝わる固有魔術【勅命(オーダー)】じゃよ。使用者によって若干効果は異なるんじゃが、あの“癇癪持ち”は他人の契約魔術を書き換えることができるんじゃ」

「え、つっよ……じゃあ俺マジで冒険者資格剥奪されたんですか?」

「マジじゃよ」

「ええっと、資格の再発行とかは……?」

「ふむ、どれどれ……」


組合長は引き出しから赤い宝石がはめられた指輪を取り出し、資格の再発行を試みるべくメルクに魔術を発動する。


メルクの身体の周りが再び光始めるが、その輝きはすぐに失われる。


「やはり、ムリそうじゃな……しっかり再契約に制限がかけられておるのぉ……」

「こないだS級に上がったばっかなのにこんなのあんまりですよ!」

「……まあ、癇癪持ちの権力者に真正面から歯向かえば、そりゃあ反撃を喰らうこともあるということじゃろうよ」


“ドラゴンの尾を踏む”とはまさにこの事じゃの、と頭を抱える組合長。

一方、俺はようやく上り詰めた冒険者の頂点をしょうもないイザコザで失うことになったことで意気消沈していた。うぅ、食ってかからなければ良かった……


そんな俺を見て、流石に気の毒に思ったのか組合長は一つの可能性を提示する。


「……まあでもあの皇子より強力な契約魔術で上書きすれば、資格をもう一度手にすることができるかもしれんのぉ」

「より強力な契約魔術?」

「そうじゃ、この指輪は言わば簡易的なもの。お主は冒険者学園(アカデミー)の出じゃないから知らぬじゃろうが正式な資格発行は学園都市ルーツポリスで年一回行われるんじゃよ……いわゆる卒業式じゃの」


学園都市ルーツポリス。

冒険者を志す者たちが通う、“冒険者学園”が存在するこの国で唯一の都市だ。

東西南北の4つの校舎に分かれ、4つの校舎ごとにはそれぞれ3つの機能が備わっている。


一つは、冒険者の卵(ルーキー)たちの育成や新魔法の開発、魔物やダンジョンについて研究を行う「学園機関」

次に、学園を利用する学生や研究を行う研究員が生活を行うための「市街地区域」

そして、授業や研究をはじめとするフィールドワークの場としての「ダンジョン」


冒険者として名を上げるために必要な力を身に付けるという点でいえば、これほど優れた環境は他にないといえる。


とはいえ、冒険者の卵たちが必ずしもこのルーツポリスでの学生生活を経ているわけではない。

なぜなら、非常に高額な入学金と授業料が要求されるためだ。


故に、ここに通う冒険者の卵のほとんどが貴族や大商人など裕福な家の出の者だ。

彼らは幼い頃から魔術や剣術、体術について英才教育を受けているため、下手なBクラスの冒険者よりも強い学生も少なくない。


かくいう俺もここの出ではないので詳しい内情は知らないが、学園出身の先輩冒険者は多く、思い出話なんかが耳に入ることが多かった。


「……なるほど、冒険者学園ですか」

「あそこは、入学金さえ払えれば一応来るもの拒まずじゃ。どんな年齢、種族、身分でも入学できる……卒業に何年かかるかわからんがの」


冒険者の資格を剥奪されたのは正直ショックだったが、まだ復帰の芽が残っていることを知り、希望が湧いてきた。


「お主もまだまだ若い!これからまだまだ冒険者としての伸び代もある!これに懲りたら、冒険者の処世術ふくめ学園都市で学び直してくるのもアリかものぉ、カッカッカ!」


組合長は俺に冒険者学園に通えるよう手続きをしておく、と約束してその日は解散となった。


******


「おいおい聞いたかおい!メルクの坊主がアホ皇子に資格剥奪されたんだとよ!」


人間2人分の高さと幅はありそうな巨漢は部屋に入って早々、手に入れた情報を部屋の全員に共有する。


「マジかよ、あのバカwwwウケるんですけどwww」


それを聞いて、革張りのソファに寝そべりながら分厚い魔術書を読んでいたツバの広い帽子を被る小柄な少女は読んでいた本を放り投げ、腹を抱え涙目になりながら笑う。


「……なるほど、ついに第2皇子がとうとう動き始めたようですね。我々も警戒しなくては」


窓際の席で紅茶を嗜んでいた老紳士はその一報を聞き、カップをおいてボソリと呟く。


「"動き始めた"ってあのアホが仕組んだっていうのか?アイツゼッテー理性をママのお腹ん中置いてきてるって!策略なんてムリムリムリムリっwww」

「私も直接お目にかかったのは一度だけだからね……絶対とは言い切れないですが、あの方は狂人の皮を被った腹黒だと思いますよ」

「おいおいそれはホントかおい?……しっかし、せっかく可愛いの子分枠がいなくなるのは寂しい話だよな!なあ“メルクの姉さん”よぉ!?」


巨漢に話を振られた長髪長身の女性はバルコニーで手すりに寄り掛かり、静かにしかし殺意をしっかり込めながら言葉を発す。


「……私の可愛い弟を悲しませるヤツ、楽に死ねると思うなよ」


メルクリウス・クロンダイクの姉で勇者“魔弾の射手(エイムハッカー)”、ディアーナ・クロンダイクはそういうと手癖で折っていた羊皮紙を紙飛行機にしてバルコニーから飛ばす。

手から離れた紙飛行機はあっという間に風に乗り、視界から消えてしまった。


略して「しかくまる」です


「ちょっと面白そう」「続きが気になる」と思ってくれればありがたいです!


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