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 帝国との戦いからそろそろ4ヶ月になろうかという時が流れた。

 え? 戦争はどうなったのかって?

 勝ったよ。

 圧倒的な暴力ドラゴンをちらつかせて街に降伏勧告を繰り返すだけの簡単なお仕事ですよ? 失敗する方が難しいし、事件が起こるはずもないので面白くもなんともないただの作業だった。

 戦争が終わったおかげで無事に王国軍総指揮官という面倒な仕事からは解放されたので、そこだけは嬉しい限りだ。

 まぁでも、その後どうなったかぐらいは触れておこう。

 最初の会戦、初手で本陣が吹っ飛ばされた際に皇帝のハインリヒは死亡、次期皇帝を決める暇もなく街が次々と降伏していき、帝都も降伏したことで帝国は地図からその名を消すこととなった。

 自分の領地に篭もって抵抗するやつもいたが、圧倒的な力(物理)で門を破壊し、住民を避難させた後は街を更地に変えたり、領主が住民の手で殺されたりで特に問題もなく帝国は王国へと吸収された。

 貴族の9割は処刑か追放、幽閉され、王国貴族が転封されたり、まともなやつを貴族にして領主に据えたり、と面倒面倒と義兄が愚痴るぐらい面倒なことになったようだが、俺はその辺ノータッチなのでどうでもいい。

 正直、1割もまともな貴族がいたことにビックリだ。

 かつて帝都だった場所は、元帝国領の中心となる関係もあって民心を考える必要もあり、先々代の皇帝の庶子――の孫を領主とし、行き遅れていた公爵の娘さんを嫁に押し込んでドコカノン王家と血のつながりを持たせることとなったようだ。

 アビゲイル? どっかに消えたらしいよ?

 薄情だって?

 何にも言わずに消えられたらこっちだってどうしようもないんだよ!

 とりあえず、帝国は無事に王国の一部となった。

 5つあった大国のうち、ドコカノン王国が帝国を吸収したことで領土的には王国が飛び抜けて広いことになってしまったのが問題と言えば問題だ。

 他の大国と呼ばれる国とは小国をいくつも挟んでいて距離はあるし、義兄には領土的野心はないから今のところ大きな問題にはなっていない。

 なにせ帝国を滅ぼすことになったのも、しょっちゅう馬鹿なことを言いながら攻めてくる阿呆共に辟易としていたところ、俺という楽に帝国を滅ぼせる力を持ったからというのが主な理由だ。

 基本的に王国は守りに主眼を置いているので、周辺の小国とは良好な関係を築いている。

 これが義兄よりも後の代になってくればわからないが、そんなところまで責任は持てません。

 とまぁ、こんなところである。

 そしてこれは、そんなある日の出来事だ。




「カイト様、カッツェ伯爵リオン様がお越しです」

「おう、通してくれ」


 書類仕事をしていたらノックして入室してきたセバスがそう言った。

 こんな時間に来るってことは、リオンのやつもそろそろ領地に戻るのかな?

 元々帝国と領地を接していたリオンは、これまで帝国からの攻撃を防いできたことを功績として以前国境だった場所から3つ先の村までを新たな領地とした。

 その分、元帝国領関係の仕事で馬車馬のように働かされ、たまの休日にうちに来る以外はずっと王都に詰めていたのだ。


「よう」

「おう、お疲れ」

「本当に疲れたよ。なんで帝国にはあんな馬鹿がいるんだ?」


 ああ、帝国が正統な大陸の支配者ってまだ信じてる馬鹿のこと? 死ななきゃらないんじゃない?」


「本気でそう思うよ。で、どうだドルーフェンの方は」

「この前も同じこと聞いただろ? そんな急に変わる分けねえよ」


 実に平和です。

 馬鹿の国なんて領地に含まれないし、素直な領民たちは健やかに生活している。

 肥沃な大地は作物を順調に育ててくれるのでまったくの無問題だ。


「そうか、平穏ならいいんだ」


 ねぇ、なんでそんな悪い笑みを浮かべるの?

 それってどちらかって言うと性格的に俺が浮かべるやつじゃね?」


「実はお前に良い知らせがあるんだ」

「悪い予感しかしないけど一応聞いておこう」

「入っていいそうだ」


 入室を許可した覚えはないんですが?

 話に必要なことなら仕方ないのか? って、入ってきたのアビゲイルじゃん。

 お前今までどこ行ってたの?


「カイト様、実はわたくし国王陛下より結婚の許可をいただいて参りました」


 国王陛下? 皇帝陛下ハインリヒはじゃないの? あ、あいつ死んだな。

 国王陛下ってことは義兄上か。


「結婚って……そうか、もう墓場に入ってるのにまたもう1つ墓穴掘るのか。よく嫁さんフローラに殺されなかったな」


 しかし、アビゲイルとリオンが結婚か。

 正直、微妙な気分だが、行方を心配していた女が信頼できる親友と身を固めると言うならたしかに良い知らせだ。


「はっはっは、俺が愛してるのはフローラだけだ。アビィと結婚なんてするわけないだろ」

「は? だって今、許可もらったって……おい」


 まさか。

 まさかぁ!?

 ふざけんなよ?

 おい、俺は絶対墓場には入らないぞ!?

 外堀埋めたって断固抵抗してやるからな?

 絶対に俺は認めないぞ?


「カイト様は実に良いタイミングで帝国に来てくださいましたわ」


 そう言いながらアビゲイルは自分の腹をゆっくりと撫でる……撫でる!?


「お、お、お、おま、お前……まさか……まさか……」

「責任を取れと言わないと言いましたが、さすがに撤回させていただきますわね」

「お前……まじで? おま……お前……まさか…………ハメたのか!?」




「……ふふっ。ハメたのはカイト様でしょう?」



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