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これが戦争、これも戦争5

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 おはようございます。

 無事に48時間の睡眠を終えたカイトです。

 二度寝以降は却下されたけど、客間のベッドでぬくぬくさせていただいております。

 戦爵として指揮を執らなきゃいけないが、俺の仕事は指揮を執ることであって戦争の準備は俺の仕事じゃないんですよね。

 そんな感じでリオンを説き伏せたおかげで、戦争が始まるまではのんびりできそうです。

 とは言っても、作戦考えたりあらかじめ指示を出したりってことはしなきゃいけないんだけどね……

 面倒だけど、やらないともっと面倒なことになりそうだから心底嫌だが働くしかない。

 さて、問題は帝国との戦争でどうやって戦うかだ。

 国としての面子があるので最初の会戦にはそれなりの兵力を並べる必要がある。

 そうすると俺1人が戦場に立ち、敵陣に突撃して指揮官を仕留めるという前の戦争で使った方法が使えない。

 一番簡単なんだけどなぁ……

 まぁ、普通に戦って負ける可能性も低い。

 かつての帝国は王国と並ぶ強国だったが、前の戦争の傷が王国よりも深く、なおかつまともに再建していないので帝国に負けることはまずありえない。

 魔族と手を組んだところで、ただの魔族ごときは勇者様パシリくんが秒単位でダースの相手を始末してくれるのでほとんど無意味だ。

 変態ガライアスが出張ってきた場合は俺が出る必要もあるだろうが、そこらへんは臨機応変に対応すればいい。

 負ける要素はほとんどないが、戦争なのだからどうしてもこちらにもそれなりの被害が出てしまうのが問題だ。

 なんかいい方法ないか?


「クォッ!」


 頭に乗ったシンディアが突然びしびしと頭を叩いてくる。

 微妙に爪が当たって痛いです。


「なんだ? 飯か? ん?」


 いいこと思いついた。

 なんでこれを思いつかなかったかと思うほど簡単な方法だ。

 被害を最小限に抑えた上で確実に勝てる方法はこれしかないだろう。


「お手柄だぞシンディア」

「クォッ!」


 そうと決まれば実行できるように根回ししとかないとな。

 どうでもいいから飯食わせろとでも言いたげなシンディアにストレージから取り出した猪頭の肉を渡してから、ケータイを取り出した。

 さて、面倒だけど忙しくなりそうだ。




 あちこちに魔道通信で連絡して根回しを終えたところでドアがノックされた。

 入室を促すと入ってきたのはこの屋敷の主にして我が親友のリオンだ。


「カイト、どうするのかは決まったのか?」

「おう」

「ほぅ……どうするつもりだ?」

「当日のお楽しみだ」

「それで納得するとでも思ってるのか?」

「納得しておけ。俺は話さないぞ?」

「はぁ……勝てるのか?」

「絶対勝てる。こっちの被害も最小限だな。上手くいけば0にできる」

「どんな作戦だそれは……帝国が気の毒になるな」


 馬鹿がどうなったところで知ったこっちゃないので気にするな。


「まぁいい。良い知らせと悪い知らせがあるが、どちらから聞きたい?」

「良い知らせだけ聞いて、悪い方はお前が握りつぶしとけ」

「そうか。では悪い知らせからにしよう」

「人の話聞いてます?」

「出来もしないことは無視するに限る。で、悪い知らせだが、西方の貴族連中は最初の会戦に間に合いそうにない。数が揃わん」


 あ、そんなこと?

 別にいいよ。

 いてもいなくても変わんないし」


「それは本人たちには絶対言うなよ? 貴族の中にはお前の本性を知っていながらも戦爵おまえを尊敬していて、戦場を共にすることを名誉に思っている者も多いんだ」

「知らんがな。まぁ、可哀想みたいだから黙っといてやるよ。で、良い方は?」

「お前の領地からお迎えが来てくれたぞ」

「俺はいないって言っておけ」


 どこが良い知らせだ!?

 それってもう、お前にとって良い知らせだろ?

 そんなに俺を追い出したいのか?

 親友だと思ってたのに……裏切られた!」


「そうか? しょうがないな。カイトはいないそうだ」


 なんで扉の方に向かって言うの?

 ねぇ、めっちゃこっち見てる人いるじゃん。

 てか、どう見ても勇者様パシリくんじゃん。

 これ帰らせたら、今度は姉貴も一緒になって迎えに来るパティーンじゃないの?


「そっか。じゃあ、このことは王妃様に伝えるよ」

「ストォォォップ!」


 やっぱ予想通りの展開になるところじゃん。

 なんでこいつは的確に俺の弱点を突こうとするかね?


「いないはずの人の声が聞こえるな……幽霊? それとも生き霊?」

「それってどっちも同じじゃん! 俺を殺したいって事!?」

「そうしたら僕が捕まっちゃうじゃないか。死んで欲しいだけだよ」

「それも大して変わんないからな?」


 なんて毒舌な僕っ娘だ。

 人に死ねとか言う奴は死んで欲しいね、まったく」


「なぁカイト、ブーメランって知ってるか?」

「狩猟に使われる棍棒の一種だな。それがどうかしたのか?」

「いや、なんでもない」

「おかしなやつだな……」


 ん? そう言えば、ブーメランには自分が言ってることが自分自身にも当てはまるって使い方もされるっけ?

 だけど、俺には当てはまんないし関係ないか。


「冗談はこの辺にしておいて、そろそろ行かない?」

「やだよ。行きたくない」

「お前はいい加減諦めろ」

「ノー! 絶対にノー!」

「とかなんとか言って、最後は行くんでしょ? 時間の無駄じゃない?」


 無駄とか言わないでください。

 マジで行きたくないんだよ。


「てか、なんでお前が来てんの? 俺の領地からのお迎えって言ってなかった?」

「あれ? 聞いてないの? 僕も君と一緒に住むんだよ? 嫌だけど」

「はいはい、ツンデレツンデレ……なんで?」

「デレないからツンデレじゃないよ。この国に来て3年経つし、そろそろ家でも買おうかと思ったら、陛下に頼まれたんだよ」


 長距離転移トラベルが使える勇者様を俺に預けるなんて、お義兄にい様ったら俺のことを便利屋にするつもりですね。

 完全にアッシー役としてスカウトしてるじゃん。

 今日からパシリくんじゃなくてアッシーくんじゃん。


「屋敷はけっこう広いし築年数はけっこう経ってそうだけど綺麗だったし、恩もある陛下からの頼みだから仕方ないけど君とルームシェアすることにしてあげたよ」

「よかったじゃないかカイト」

「よくないからな? お前らどう考えても俺が便利屋にされるの期待してるだろ?」

「うん」

「お前はもっと働くべきだ」


 敵しかいない!?

 孤立無援とはこのことか……


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