アイネ
――――――――――アイネ!早く!走って!あいつが来る!
―――――――――――ノーム、いいの、あなただけでも―――
――わ―たし――あ――――き――――――――――
――――――――――――――――――――ありがとう。
「うわっ!!!!!!」
叫びとともに飛び起きると、大量に汗をかいていた
「どうしたの?ノーム」
肩で息をする俺の顔を怪しそうに見つめる少女
名前はアイネだ
俺がヤギューの家に来て8年、共に同じ部屋で暮らしてきた唯一の家族
サラサラの赤いロングヘアに優しい笑顔が特徴的な女の子だ
「ああ、変な夢をみたんだ、大丈夫だよ」
「そう?ならいいんだけど!あなたが体調でも壊したら私とても悲しいのよ?」
そう言って心配そうに俺の顔をのぞき込む
吸い込まれそうな紅い瞳だ
くっ…かわいい
「本当に平気だって、ほら、朝ごはんだろ早く行かないとまたヤギューに怒られるよ」
「ぎゃっ、もうそんな時間!?急いでノーム!先行ってるから―――」
俺が言うが早いか時計を見たアイネは、陸上選手のような綺麗なフォームで部屋の外へと走っていった
が、めちゃくちゃ足は遅かった。
「さて、俺も行こうか」