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それぞれの夢  作者: 姉子
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事実は真実

内容に酷い行為の詳細は描いていませんので大方大丈夫ですが、少しでもSMに嫌悪感を抱く方はお控えください。

恐ろしい夢を見た。



女たちが全裸で俺を取り囲む夢だ。それも毎日。



「何だそれー自慢か?夢でも俺を馬鹿にしてんのか?」

「別に、それにそんないいもんでもなかったんだ」

「ますます何だそれー?!全裸の女に囲まれるなんて現実で起こるこたぁないんだぞ?!楽しめよ!もっと夢の中という無法地帯を存分に楽しめよ!!」

「全員がSMグッズを手にしててもそれ言えるか?」

「おう!新境地だと思って思いっきり旅立て!」

「相変わらずのMっぷりだな、だからフラれるんだよ」

「お前今鼻で笑ったな?!俺の中でお前は最低ランクの吐瀉物と成り果てたぞ!!」

「もういいよ、ゲロでもなんでも」



こいつは見てないからこんなことがいえるんだ。そりゃ最初見たときはさすがに楽園だなんて思ったけど、あれは地獄以外のものじゃない。全員だ、全員が俺をいたぶる武器を手にしてうすら笑っているのだ。鞭や蝋燭は当たり前、手枷足枷ボールギャグは基本装備、口にするのもおぞましい小さいものから大きい道具の数々。思い出しただけでも寒気がとまらない。



「大体さー、なんでそんな何回も見てんの?欲求不満?」

「失礼な、俺はすべての欲求を女性に受け止めてもらっている」

「うわっ、お前今女を敵に回したぞ?!」

「男は使ってなんぼだろ」



そうだ。男として、襲われるより襲うほうがいいのだ。年をとれば嫌でも使い物にはならないだろうし、今という欲望は今しか発散できないのだ。それを襲われる側で俺は満たされることはない。それなのに、毎日見る夢はオカズにさえならない凄まじい光景だ。



「一回試してみたらどうだ?」

「馬鹿を言うのは死んでからにしてくれ。俺にそんな趣味はない」

「でもさ、そんな毎日おかしいだろ?試してみろよ、喜んで調教してくれるお姉さまぐらいいるだろ?」

「いない。俺は断じて攻め側だ」

「あっそー、んじゃ紹介してやろうか?」

「・・・やっぱりいたんだな。でも遠慮するよ、お前のMっぷり見てたらそのお姉さまの加減が怖い」

「お前さっきから失言が多いな!さすがの俺も怒るぞ!平手打ちするぞ!」

「その平手打ちってのが妙に生々しいんだよ」



夢の俺も、女たちの意に反するとすぐさま平手打ちをくらっていた。まあ平手打ちならまだマシな方だと言えばそうなんだが。

それからそいつは俺に無理やり誰かの電話番号を握らせ、とにかく電話しろ!と言ってさっさと帰っていった。俺はもちろん電話する気になどなるはずもなく、待ち合わせの女に会うべく足を速めた。


やっぱり男としては攻める方がいい。そういう趣向に走る人もいるとは思うが、俺はそういう性癖でもないし興味がない。そう、まったく興味がないのだ。見るのも触るのも従順でかわいい女がいい。決して俺を縛り上げ、痛めつけて高笑いする女はごめんだ。



「実?」

「ああ、ごめん。ちょっと考え事」



今まさに目の前にいる美果もかなりのかわいさだ。「今はあたしのことだけ考えてよ」なんて涙目になりながらすがり付いてくる様なんてたまらない。こう、支配欲が沸いてくる。



「んじゃ美果から誘ってよ?できるだろ?」



恥ずかしながらも俺の言う通りにする美果。やっぱり、俺は攻める方がいい。






「ふふふ・・・実、いえ豚とでも呼びましょうか?」

(冗談じゃない!)

「何その反抗的な目は?もっと酷くしてほしいの?」

(馬鹿やろう!お前に突っ込まれるぐらいなら死を選ぶ!!)

「あら、往生際が悪い家畜ね。だったら希望通りにしてあげましょう」

(やめろ!!)



「俺の尻は排泄行為しか認めねぇ!!」

「み、実?!何真昼間からハードな妄想してんだよ?!」



そこは食堂だった。俺は昨日の行為で頑張りすぎて寝不足になり、昼ごはんを食べながら寝ていたらしい。食堂にいた生徒がほぼ全員その奇声に顔をしかめていた。



「しまった・・・今の発言、お前ってことにしといてくれ」

「馬鹿なこと言うなよ?!俺どんな羞恥プレイだよ?!」

「わがまま言うな、そんなんじゃお姉さまに嫌われるぞ」

「大きなお世話だ!」



まさか居眠りにまで例の女が出てくるなんて。俺はすっかり冷えたから揚げを口に放り込んだ。



「お前ヤバいんじゃねえの?」

「だな・・・どうしたんだ、俺」

「だから電話しろって言ったんだよ、たまには親友の提案も聞き入れろ」

「誰だそれ?」

「お前!俺号泣するぞ?!」

「勝手にしろ、俺は他人の振りをして平和に暮らす」

「俺に安息はないとでも言うのか?!」



その日、俺は意を固めて電話することにした。もう我慢の限界だった。このままじゃ俺の性生活に支障をきたす。



「実君・・・だったかしら?」



電話の主は、上品な感じでいかにも女王という感じだ。俺は思わず身震いをしていた。



「ああ、あんた三井さんだろ?」

「ええ、やっと電話する気になったのね。楽しみにしてたのよ」



女はくすくすと笑い、俺は普段相手にする女とは違った高飛車な感じがとても頭にきた。しかし今回は俺が立場的には弱かった。何せSMを体験させてもらうからだ。



「今日あいてるかしら?時間は10時、場所はサンライズホテル」

「わかった」

「物分りがいい子は好きよ」

「俺はまだあんたの犬じゃない」

「そう、ごめんなさいね。でも」



あなたは犬じゃないわ、家畜よ。



そう言って三井という女は電話を切った。俺は夢の女の声と少しだけ重ねてしまったことに激しく自己嫌悪し携帯の時計を見た。そして9時20分を確認し、蒸し暑い外に俺は無言のまま出て行った。



「待ってたわ」



女はスーツ姿で、俺を上から下へと嘗め回すように見た。年はだいたい24、5歳だろうか。



「やっと帰ってきたのね」

「は?何言ってんですか?」



三井は俺の問いに答えるどころか無視をし、さっさとホテル内へと姿を消した。俺は振り回されるのに抵抗できないことに、何故かだんだん違和感を覚えなくなっていた。



「まずは元に戻しましょう」

「さっきから何言ってんだ?」



部屋に入ってからも三井は意味不明なことを口にした。そして俺の前で強く両手を合わせた。



「どう?思い出した?」



笑っていた。三井はずっと笑っていた。



「あ・・・」

「思い出したようね」



そして俺は、三井の言う通りすべてを思い出した。



「俺・・・」

「どうだった?夢での出来事は?」

「えっと・・・」

「答えられないの?」

「いえ、言葉にできないと言うか・・・」

「じゃあ同じことをしてあげましょうか?その時に感想でも聞こうかしら」



そして三井は女とは思えない速さで俺の左頬を平手打ちした。



そう、俺は催眠術をかけられていたのだ。



「今日は楽しくなりそうね」



そしてすぐに大勢の足音が聞こえ、俺は指示されるまま服に手をかけた。



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