真夏の出来事
更新遅くなってしまい申し訳ございません。
今回も楽しく(?)読んでいただければ幸いです。
思い出した。
高校生活最後の夏休み。僕らは2人きりで下校していた。
毎年恒例の、アイツの夏期補習の帰り道。
その日は用事があって僕も学校へと足を運んでいたのだ。
『せっかくだから…』と言ってアイツと僕は待ち合わせをして、一緒に帰っていた。
「あーーつーーいーー!!」
「……うるさい。余計暑くなるだろー?」
「否!俺が煩いのと暑いのとは関係がない!!」
なんて。くだらない言い合いをしながら帰路につく。
今日も一日平和でくだらない日だ…。そんなことを考えながら歩いていた。
「あっ!そうだ!
暑いならちょっと泳ぎに行かね??」
「今から?」
「おう!この時間だと人が減ってて海をめいっぱい堪能できるだろ!」
「そーだなー……。少しなら、いいか。」
「よし!決まり!」
そう言って僕らは学校から一番近くの海へと向かった。
真夏の海。
夕方とはいえまだ日が明く、とても暑かった。
「ひゃっほー!海だー!!!」
「海だなっ!」
「よっしゃ!!泳ぐぜ!!!」
「おう!」
暑かったのだ。
我先にと冷たい海へと走っていく。
カバンを放り捨て、靴を脱ぎ散らかし、制服のまま飛び込んだ。
「かぁー!気持ちいい!」
「つめてぇ!」
海に浮かびながらゲラゲラと笑い合う。
(―――ああ、なんて楽しいんだ。)
海は夏の日差しとは正反対に、とても冷たく、気持ちが良い。
「なぁ!あそこの岩場まで競走しよーぜっ!」
どちらが言ったのだろう。
今となっては思い出せない。
けれど確かなのは、その競走に乗ったということだけ。
考えて欲しい。
水着なんて着ずに、
制服なんて動き辛い服で、
水の吸った重い服で、
全力で泳いだらどうなるか。
加えて、入水前の準備運動なんてしなかった。
つい先程まで、暑い日差しを浴び続け、急激に体を冷やした後で、
激しい運動をしたら、どうなる……?
よーいどん。
どちらの声かわからない。
掛け声とともに二人は泳ぎ出す。
「がはっ!?ごぼ、!がぼ、、
うぐっ、、ぁっぁああ、だずげっ、、、がふっ、、」
「……!?
おい!!大丈夫かよ!?」
「がはぁっ、」
「……っ!?まってろ!今助ける!!」
そう言ったのは僕だっただろうか。
分からない。
僕の記憶は曖昧なまま、ここで途切れた―――。