「願いごと」について。
あなたの願いはなんですか。
「
人は何かに行き詰まった時、壁にぶち当たった時、自分の力ではどうすることも出来なくなった時、神やそれに近しい者達に何かを願う。
“どうか僕の願いを叶えてください”
“どうか彼を助けてください”と。
目に見えない何かに、目では見えないなにかに。願いを託し、思いを託す。“どうかあの子を見守ってやってください”。これも願いの一部だろう。
親友よ、お前が何者なのか、お前がなんなのか、俺は知らねぇけど、目に見えない“なにか”であることは確かなのだろう?だってほら、鏡には映んねぇし。ん?どうした、鳩が豆鉄砲食らったような顔しやがって。……ま、いいや。とにかく、お前は俺の母親か誰かに、頼まれたんじゃねぇの?“どうかあの子を見守ってやってください”とかなんとか。お前の仏壇の前で、誰かがそう願っちゃったんだ。
面白半分で軽く言ったその願いに、お人好しで面倒見が良いお前は自分が死んだことも忘れ、俺の目の前に現れてくれた。
俺はそれが嬉しかった。お前とまたふざけ合えるのが嬉しかったんだ。たとえ、お前が何者だろうと。
だけど、このままじゃダメだ。俺はな“楽しい”と感じる度に、この不安定な関係が怖くなる。このままでいいのか、成仏させなきゃダメじゃないかってな。笑っちゃうだろ?楽しいはずの時間がすっげぇ怖ぇんだ。
なぁ、お前は、俺の母親の面白半分な願いで、俺の自分勝手なワガママで、ここに在っていい存在じゃねぇだろ。
だから、俺は願うよ。
どうか、俺の親友が心安らかに眠れますようにって。 」
「えっ、僕死んでいるの?」
遅くなってすみません。もう少し続きます。待っててくれて、ありがとうございます。