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第2話。

─それから一週間がたって。




私は何事もなかったかのように生活していた。

というか、毎日が忙しくて考える暇がなかっただけの方が正しいかもしれない。

今日は何をしようかな…なんて考えていたら家のチャイムが鳴った。

いつもは誰も来ないから訪問者なんて珍しい。

ドアを開けてみると悠子さんが息を弾ませて立っていた。


「芹羽!もう私はどうしたらいいのやら…こんな光栄なことってないわ」

「悠子さん?意味がよくわからないんだけど…」

「まぁ!もう忘れたのかい?ほら、男子校の編入の話をしただろう」

「…あ」


その言葉で一週間前の記憶が戻ってくる。

男子校、と聞いて不安になったあの夜を。


「…悠子、どういうことなの?」

「あ、お母さん…」

玲子れいこ、覚えてないのかい?まぁ仕方ないことかもしれないね。気が動転してただろうしさ」

「あのね…お母さん…」

「芹羽を中退させるわけにはいかないから知り合いの理事長に事情を話したんだ。そしたら…あの悠斗様の学校に編入できることになったんだよ!」


悠斗様…?聞いたことがあるようなないような…。

誰だっけなぁ…と考えているとお母さんが驚いたように言った。


「悠斗様ですって!!?あの?」

「悠斗様って?」

「芹羽、悠斗様っていうのはね…あの春原すのはらグループの長男だよ!」

「…え!」


春原グループといえば…外国でも有名な超一流企業だ。

万国共通と言っても過言ではないと思う。

だから聞き覚えがあったのか、と納得する。

でもまさか学校までやっていたとは…恐るべし。


「理事長曰く、たまたま男子校の理事長会みたいなものがあったんだと。その場で話をしたら悠斗様が快く快諾してくれたらしくてね」

「それは素敵だわ!悠斗様の学校だなんて…芹羽、やったじゃない!」

「…男子校ってことに変わりはないわ」


そう言って私は部屋に逃げた。




確かに春原と関わりが出来るというのは素敵なのかもしれない。

だけど…それくらいの権力がある人と関われるくらいなら、どうして今までの学校に通わせてくれないんだろう。

それは無理にしても…どうして女子校じゃないんだろう。




私は、忘れかけていた現実と新しく突きつけられた現実とに混乱し、また頭が痛くなった。

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