第5話 迷宮攻略、開始!(上)
半年以上も更新できなかったorz
今後も不定期ながらちゃんと続けるつもりです
ブルルル!ヒヒィーン!
「よしよし、お前ら。ドウドウ」
俺はそんな風に声をかけながら目の前にいる、茶色の大きな馬の頭を撫でて落ち着かせていく。
その間にガイが手綱を今朝作った柵に縛っていく。
隣では同じようにフールが馬を落ち着かせ、ヤンさんが手綱を縛っている。
大分落ち着いたのか、目の前の馬、スコットはこちらをじっとみている。
「よーしよし、いい子ですねー。後で人参あげますよー」
と、フールがもう一頭の馬、ジャンにそんなふうに声をかけている。
だけど何故だろう。ジャンが怯えたようにブルブルと震えているようにみえるのだが……。何故か分からないがフールは動物に異常に嫌われやすく、スコット達はフール以外の全員には大分懐いたのだが、フールに対しては未だに怯えるようだ。
この二頭は、ウルクを出発する前に馬車と一緒に買ったものだ。
最初は老いてても安い馬でいいと思ったが、ガイが交渉してくれ、馬車と合わせて銀貨300枚(ガイやヤンさんがほとんどだしてくれた。有り難い)で、この二頭を買うことが出来た。
二頭は兄弟で、流石にそこまで若くはないが5人に加えて大量の荷物をいれた馬車を難無く引いてくれた。
性格も、スコットは大人しく、こちらが重い荷物を背負わせても嫌がる素振りを見せずにちゃんと運んでくれる。ジャンはとても人なつっこくて、頭を撫でて貰おうとよく頭をスリ寄せてくる。
二頭とも、人を信頼してくれているのがよく分かる。
「よーし、OK。ハーミット、頼むわ」
「は、はい……」
二頭を柵に繋げ終え、俺達4人は一旦二頭から離れる。すると、ハーミットが地面に黒い箱のような物を四つ、二頭を正方形に囲む形で配置していく。四つの箱を置き終わると、箱から光の線が出て互いの線が繋がり、光の柵となって二頭を囲んだ。
「ほう、これが昨日作っていた結界を張る装置か。こんなものまで〈錬金術〉というのは作れるのか」
と、ヤンさんが興味深そうに光の柵を見ている。
「い、いえ……これくらいなら、錬金術師ならできて当然のレベルだと、思います。じ、実際、自動人形とかのほうが難しいですし、今回のはむしろ魔工学の分野のほうが強いので、あまり錬金術の要素は少ないんです……」
ハーミットはどもりながらも、この装置についてそう話した。
「そ、それに今回のは、ありあわせの物しか有りませんでしたので……あまり、大したものじゃないんです……じ、実際、この装置から発生する光とかで、魔獣を接近させにくくしているだけですし……」
「いや、そんなことはないぞ」
「うん、俺もそう思うよ。何の準備なしで魔獣を追い払えるもんを作るなんてすげーと思うよ」
しかもそれを、たったの30分で作り上げてしまったのだ。これは普通に考えたらとんでもないことだと思う。
俺とヤンさんはその仕事っぷりに心底感心した。
「へっへーん、どうよ、うちのハーミットは!こいつの錬金術は結構便利なうえ、いろんなもんが作れっからな。ほんとこいつといると助かんだよ。今回のだって、昨日壊れちまったランプで作っちまうんだからなー!」
「ま、マスター!は、恥ずかしいからやめてください……!」
と、ガイが話に割り込んできて、ハーミットの頭をなでながら自慢しだした。ハーミットはガイの言葉に恥ずかしそうにしている。
ガイはかなりハーミットのことを大切にしているのか、ちょくちょくハーミットの自慢をしてくる。
その姿は、たまに孤児院に来ていた義兄さんたちが自分の子供や奥さんを自慢する姿に似ていると思った。……若干ウザいところとかが特にそっくりだ。
「ていっても、昨日ランプが壊れたのって、ガイさんが落としたからですよね?」
「よーし、んじゃー出発しようぜー」
フールの一言を無視して、ガイはそそくさに準備を始めた。
「なあ、ほんとにこんなとこにあんのかよ?迷宮の入り口」
「当ったり前だろ?それともうちのギルドの情報収集力なめてんのか?」
「いや、だってここウルクから5日くらいの距離だからさ。結構近くにあったんだなと思って……」
「灯台下暗しってやつだな。つっても、この迷宮は最近うちのギルドの奴が偶然発見したばかりだから、冒険者ギルドに情報行ってなくてもしょうがねーか」
現在俺たちがいるのは小さな森の中だ。といっても、かなり木々が密集していて、視界が悪く足元も背の高い草に邪魔されてかなり大変だ。鉈を振って草を払い、転ばないように注意して歩かなければならない。ガイと俺が先行しながら道を作りつつ前方を警戒し、ハーミットを挟むようにフールとヤンさんが側方と後方を警戒している。ハーミットはというと、手元の黒い板を時々つついたり、指をその上で動かしたり、空を見たりしていた。
「……あ、マスター。ここから、えっと、11時の方向に魔力反応を感知しました……。距離は、およそ500mほど、です」
「オーケー」
というとガイはハーミットが指示した方向へと歩を進め始めた。
「ハーミットさん、その板切れってもしかしてさっきの鉄の竹とんぼとつながっているんですか?」
「う、うん。小型魔動衛星だよ。魔力を探るセンサーを搭載したもの、なの。土の魔法で小っちゃい衛星を作ってそれにセンサーを取り付けただけ、だよ。あとはこのボードにここら辺の詳細な地図と一緒に場所を映し出してくれるように設定してあるだけだから。フールちゃんでも、できると、思うよ」
「いや、無理ですって。私呪術しか使えませんし」
後ろでガーディアン二人が話しているのを聞きながら、俺はふと考えた。
22体の所有者を守る守護者の宝具。その一体一体は特殊な能力を有しているらしい。
事実ハーミットは、今では使い手の数すら限られている、魔法とはまた違う「人の可能性を広げる技術」、<錬金術>の技法を持っている。
そしてフールは、<呪術>と呼ばれる、本来人間が使用すれば術者にすら危険が及ぶといわれる数ある魔法系統の中でもトップクラスに危険なものを自由自在に、そして際限なく使うことができる。
この両者の能力は、はっきり言ってとてつもなく強力だ。錬金術は使い方次第で、そこら辺の小石から都市一つを吹き飛ばし、数十年生物が住めない地に変える爆弾を生み出すことができるという話だ。また先輩から聞いた話だが、暴走した呪術が和ノ国を壊滅寸前まで追い込んだという話もある。
チラリ、と二人を見る。会話をしている二人はまるでどこにでもいる普通の女の子たちのようだった。しかし彼女たちには、普通の人間には使えない凄まじい能力を持っている。
そしてそんなガーディアンを22体、さらにそれと匹敵する力を持った宝具を1000個以上作り出し、それらを持った所有者たちを従えていたギルガメッシュ王って、いったいどんな人物だったんだろう。
「やーっと着いたぜ」
「……本当に、ここなのか?」
俺たちが来たところは、小さな広場だった。まるで森の中にぽっかり穴が開いたかのようにきれいに円形の広場ができていた。上を見上げれば雲一つない青空が見える。そして、広場の中心には高さ1mほどの石柱が立っている。
「もしかして、あの石柱が迷宮の入り口?」
「ああ、間違いない。しかも周りがあんまり荒れていない所を見るに、発見されてからまだ誰も挑戦してないらしい。こりゃチャンスだな」
……いよいよか。
俺は石柱に近づいた。それに合わせて皆がついてきてくれる。
ついに迷宮攻略だ。絶対に宝具を手に入れる!自分の夢のためにも。これからの旅のためにも!
俺は石柱の上に手を置いた。石柱はまるで大理石のようなとても心地よい手触りだった。
ガクン!
瞬間、足元の地面がまるで下に落ちるかのような感覚と、ふわりとした浮遊感を感じた。
驚いた俺は地面に手を着きそうになった。しかし、俺の左手を、細く柔らかい手がつかみ、俺を支えてくれた。見ると
「ご主人様、大丈夫ですか?」
と、少し心配そうにこちらを見つめるフールの顔が目と鼻の先にあった。
「!!だ、大丈夫!心配すんな!」
さらに驚いて、バッと飛び跳ねるように後退する俺。さすがに至近距離でフールの形のよい顔を見るのは心臓に悪く、つい大声を出してしまった。
「おいおーい、こんなところでイチャついてんなよリーダー」
「なっ!!」
と、ガイが若干あきれたように笑っている。言い返そうとして振り向いたとき、俺はやっと周りの状況を確認することができた。
今俺たちがいるのは、森の中でも広場でもなく、洞窟のようなところだった。
天井までの高さは高く、およそ4mほど。幅も馬車が2台入っても大丈夫そうな広さだった。壁には様々な光を放つヒカリゴケが生えていた。
「んー。今回は洞窟型か。てことはいるのはスケルトン系統か魔獣系統の魔物か。ハーミット、索敵」
「はい、マスター。サーチエネミー!」
ガイの指示に従って、ハーミットが索敵魔法を展開する。ハーミットを中心に紫色の光のドームが広がり、消えていった。
「……索敵範囲30m、敵影なし」
「サンキュー」
そんなガイとハーミットのやり取りをよそに、無くした荷物はないか確認し終えたヤンさんが振り向いた。
「では作戦通りの陣形でいいな、リュート」
ヤンさんの確認に俺はうなずいて答えた。
陣形は先ほどとほぼ同じ。まず、ガイが先頭に立って罠などを警戒する。
俺はその後方に立ち、ハーミットはまたその後ろで索敵魔法をかけ続ける。
フールはハーミットの隣に立ち、ヤンさんは最後尾についた。
「よし、行こう皆!」
『了解!』
それぞれ自分の武器を構え、洞窟の奥へと俺たちは歩を進めた。
☆
「おっと、ストップ」
しばらく、一本道を歩いていたとき、ガイが静止の言葉をかけた。止まったのは、三叉路になっていて、そこから先にはヒカリゴケが生えておらず、完全に闇の中だった。
「んー、なるへそ。ちっと待ってろ」
といって、ガイはおもむろにそれぞれの道の地面や壁を調べ始めた。静かに音や臭いを嗅いでいたり、小石を投げたり、短剣の柄で地面を叩いたりしていた。そしてすぐに、
「……うっし分かった。こっちだついてこい」
といってガイは右の道を選択した。俺たちはその後ろについていく。後ろでハーミットが雷の魔法を使い、杖の先に光を点けたことが分かった。ボウ、と暗闇の中、光が俺たちと道を照らし出した。
「よくこっちが正解だとわかったな」
とヤンさんは後ろを警戒しながらガイに聞いた。
「簡単さ。真ん中の道は地面を叩いたら空洞音がした。あっちの道はそこらじゅう落とし穴だらけだったと思うぜ。んで、もう一つの道は僅かだが獣臭い臭いと息遣いを感じた。多分魔獣系統の魔物がいたと思うぜ」
「よく分かりましたね。あんな短時間で」
「まあな。俺もこの仕事について長いからな」
とフールの言葉に少し嬉しそうにガイは答えた。が、その時。
「……敵発見!この先にいます!」
「!!」
ハーミットの鋭い声に、全員の間に緊張が走った。
「……数は?」
「8体。この道の先、広間っぽい、です。進行方向上に、扇状に展開しています」
待ち伏せか。しかも完全に囲まれている。
「間違いなくスケルトン系統の魔物だな」
と、ヤンさんが呟く。
<スケルトン>。
魔力で生み出される生物、魔物の中ではかなりポピュラーな魔物だ。かなりの種類と数が存在し、簡単に生成可能なことから、王代(ギルガメッシュ王の時代)ではある国が100万体のスケルトンを軍事利用していたらしい。
「多分、敵を倒さなきゃ道が開けない罠だろうな。さて、リーダー。どういう作戦でいくんだ?」
いきなり、魔物戦。しかもすでに囲まれている。さて、どう突破するか……。
☆
「では、行きます」
そういうと、フールは一枚の紙を取り出した。そこには何も書かれていない、完全な白紙の紙。だが、その紙はフールが持った途端、まるで浮き出てきたかのように模様が刻まれていた。
フールは、その紙を思いっきり投げ飛ばした。それは風を切りながら、意思を持っているかのように飛び、道の出口、スケルトンが待ち構えている広場へと飛んでいった。
すー、っと広場の闇の中に消えていった白い影。完全にその影が見えなくなると同時に、
「呪令・爆!」
パーン!とフールが柏手を一つ鳴らすと同時に業ッ!という空気を吸い込む音とともに、巨大な火柱が広場の中心で立ち上る。
それを確認すると同時に俺たちは駆け出した。
広間に入るとスケルトンたちは茫然と火柱を見上げていて、入ってきた俺たちに気付いた様子がない。
スケルトンは基本暗闇の中で活動している。目がないので視覚に頼らずに行動できるので暗闇の中から奇襲をかけることが出来る。では、目がないスケルトンの視覚の代わりとして機能しているのは何かというと、熱を感知する器官が存在するからだ。他にも視覚の代わりを果たす器官はあるが、基本的にこれでスケルトンは暗闇の中から敵を見つだす。そして今、フールの呪術の炎の熱によりその熱を感知する器官が埋め尽くされて、他の物を感じられなくなっている。早い話がスケルトンは目くらましを食らっている状態だった。
俺は火柱を横目にまっすぐに駆け、奥にいた弓を構えていたスケルトンを薙ぎ払う。俺の剣は狙いどうり、スケルトンの背骨を横一閃で砕く。崩れ落ちた上半身に駆け寄ると、俺は眉間に剣を突き刺した。
スケルトンの弱点は頭蓋骨だ。頭蓋骨さえ砕いてしまえば、この骨の体を動かす魔力を抜くことができるのだ。
「スパイラルバイト!」
「流破鑚拳!」
少し離れたところで、ガイとヤンさんも弓を持ったスケルトンに攻撃を仕掛けていた。
ガイは、順手に持った短剣から、螺旋状に風の魔力を発生させ、スケルトンの頭に突き刺した。突き刺した短剣から放たれる風の魔力が頭を抉る様に粉砕する。
対するヤンさんは、スケルトンに半歩ほど踏み込むと同時に、スケルトンのあごに鋭い一撃を突き出し、同時に魔力が拳から放たれ、一瞬にしてスケルトンの頭を砕いた。
それらを確認すると、俺はまた隣の剣を持ったスケルトンに駆け寄る。火柱はすでに消えており、剣を持ったスケルトンはようやく俺たちの存在に気付いたようだった。スケルトンは突撃してくる俺を撃退しようと剣を横に薙ぎ払う。俺はそれを剣で受け止め、鍔迫り合いとなった。ギャリギャリギャリという金属同士が擦れ合う耳障りな音が響く。俺はすぐさまスケルトンの腰骨を蹴りつけ距離をとり、さらに突撃を仕掛ける。よろめいたスケルトンに一歩踏み込み、下から掬い上げるように思いっきり斬り上げた。その一撃は完全に頭を切り裂いた。
「バインドソーン!」
ハーミットの鋭い声とともに俺の後ろで光が発生した。驚いて振り向くと、そこには紫色の茨によって身動きを止められたスケルトンの姿があった。
「退いてろリーダー!」
ガイの声に俺は慌てて横に転がると、
「ウィングカッター!」
ガイが放った魔法の刃がスケルトンの頭を両断する。
「呪令・圧!」
別の場所で、フールが投げた紙から風が爆発したかのように放たれ、一気に二体のスケルトンを吹き飛ばした。しかし、一体が砕け散ったがもう一体は腕が吹き飛んだだけだった。しかしその一体が立ち上がろうとしたとき、
「水華崩拳!」
とどめにヤンさんの魔力の込められた突きがスケルトンの背骨にあたり、その込められた魔力がスケルトンを吹き飛ばした。吹き飛ばされたスケルトンは頭から地面に叩きつけられ、動かなくなった。
そして最後の一体。そいつは俺へと剣を構えて飛びかかってきた。俺は剣で攻撃を受け止める。かなりの速度で飛びかかってきたので、受けることしかできなかった。そのまま俺を突き飛ばそうとするスケルトン。しかし、
「呪令・壁!」
バシィン!と俺の胸当ての裏側に仕込まれていたフールの呪術が発動し、魔力の壁がスケルトンを押し返す。
「はぁっ!」
押し返され、よろめいたスケルトンの頭を俺は縦に切り裂く。頭蓋骨を砕かれ、グシャッ!と倒れ伏したスケルトンは、そのまま動かなくなった。
最後のスケルトンが倒れると同時に、ハーミットが索敵魔法をかける。そして、
「……敵増援なし。戦闘、終了です!」
嬉しそうな声で、戦いの終わりを告げた。
「皆、怪我はないか?あれば治すぞ」
ヤンさんが全員を見渡して言った。幸い、誰一人として怪我をしているものはいないので全員首を振る。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
重々しい音とともに、壁の一部が上へとあがっていく。そこにはまるで俺たちを誘うかのようにヒカリゴケの神秘的な光に包まれた道が、俺たちを待っていた。
俺たちはすぐに隊列を整え、前へと進むことにした。
☆
スケルトンとの戦いから体感で一時間ほど経過した。あれから隊列を少し変え、俺とヤンさんの位置を入れ替えて進んだ。幾つかのトラップに阻まれたり、スケルトンの一団をやり過ごしながら、少しずつ進んでいた。今のところ、かなり順調だった。
「それにしても拍子抜けですね~」
「ん?」
「迷宮の難易度のことですよ。あの鬼畜、卑劣、横暴の三拍子揃った腐れ王が作った迷宮とは思えないくらい簡単なんですもの。拍子抜けどころか、ご主人様に良いところ見せて好感度アップ!ついでに怪我をしたご主人様を手当てしつつミスってあんな所とか~こんな所に~不可抗力で触っちゃうドキドキイベントとかって痛ッ!じょ、冗談ですよご主人様~!今のはつい本音ゴホンゴホン!ば、場を和ませる小粋なガーディアンジョークですよ~別に邪な思いなんて微塵も有りませんよ~!」
……本当にこの娘は……。
隙あらばセクハラしようとするもんだから最近チョップが上手くなってきたんじゃないか思い始めていると、
「ま、油断禁物ってやつだ。一応俺も気ぃ付けてるけど見落としたトラップがあるかもだからあんまし油断してると……」
カチッ。
「……」
「…………」
「………………」
「……………………」
「…………………………」
振り向くと、ハーミットが壁に手をついていた。よく見ると反対の手には空の小瓶が握られていた。ハーミットのフードの下からわずかに見える顔からダラダラと汗が流れているのが分かった。
ガッシャガッシャガッシャガッシャガッシャ!
「ギャアアアア!」
「逃げろおおお!」
「ごめんなさいいいいいい!」
俺たちは隊列を崩して全力で逃げ出した!後ろからはどこから現れたのか大量のスケルトンが剣やら槍やら斧やらを振り上げ、骨を鳴らしながら追いかけてきた!
そしてさらに、
カチッ!
「あ゛っ!?」
ゴン!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!
「何してくれてんだヤアアアン!」
「すまん!」
今度は巨大な岩がスケルトンを踏みつぶしながら転がってきた!
「あ、あの糞王めえええ!何こんな古典的かつ悪趣味なトラップ仕掛けてんですかチクショウ!」
「言ってる場合か!てか速っ!岩もスケルトンもメッチャ速っ!」
「ギャア!きた!死ぬ!死ぬ!」
『ウワアアアアアアア!!!!』
こっ、こんな調子で、俺たち本当に迷宮攻略できんのか!?