回想1~好きになったのは~
時を遡る事数時間前、桜次郎は今日こそ伝説の木の下で梨々に告白をしようとしていた。それは何故かと言うとこの木には1つの伝説があった。
それは何かと言うと
「卒業式の日に伝説の木の下で想いを伝え成功するとそのカップルは永遠の幸せを手に入れる事が出来る。」
と言うよくありがちな学校都市伝説だった。
もれなく、今回告白を決意した少年、熊野桜次郎も無謀にも学園一のお嬢様山縣梨々に告白をしようと決意した。
この学園一のお嬢様はただのお嬢様ではなくやはりと言うか成績優秀・スポーツ万能だけではなく誰彼構わず人に優しく接する為、同性からも異性からも憧れと尊敬の眼差しで見られていた。
一方、桜次郎はと言うと勉強も運動も特に秀でる事も無く十人並みのどこにでもいる感じの普通の少年だった。
そんな普通の少年が、誰もが憧れる少女梨々になぜ告白しようとしたのかと言うとそれはまだ小学生だった時の事である。
学校行事の林間学校で行ったリクリエーションのウォークラリーの時だった。
たまたま同じ班になった梨々達と次のチェックポイントへ向かっている最中、桜次郎の悪友が悪ふざけで女の子達の所にトカゲを投げつけた。
それを避けようとした一人の女の子が運悪く一番隅を歩いていた梨々の方に避けようとした。そこはそんなには高くはないが崖になっていた。
その崖から落ちそうになった梨々に一早く気付いた桜次郎が梨々の手を掴み落ち無いように引っ張った。
その時桜次郎は強く引っ張ったのだが梨々は元々の運動神経の良さからか体勢をうまく立て直せたが、桜次郎は引っ張った勢いが余って背中から倒れてしまった。
しかしとっさの判断で手を着いたのだが、運悪く手を着いた場所には大きな尖がった石がありその石によって桜次郎は手の平を切ってしまった。
傷は思ったよりも深く、血が結構出てきていた。
出血の様子を見て周りの子はオロオロしたり、女の子の中には泣き出してしまう子もいた。
桜次郎自身も、チョットヤバイなと感じてはいたのだがそこは小学生、どうする事も出来ずただ痛みに耐えていた。
すると血に対して一番抵抗のありそうなお嬢様の梨々がためらわずに桜次郎の怪我した手を掴んだ。
そしてポケットから出した白いハンカチで傷口の血を拭き更には傷口に口を押しあてて傷口を舌で舐め始めた。時々傷口から血を吸い出したりしながら処置をしてくれた。