睡魔と友情
その部屋にはベッドが一台。机の上にはパソコンと、ファイルが三冊。
くるくると回ることが出来る椅子が二つ。固定電話が一つ。
壁もその他の物も、白を基調にした、清潔感のある部屋だ。
そう、この部屋は診療室だ。
電灯も優しい白い光で、その部屋全体を包んでいる。
誰もいなく、静かなその部屋は、それでいて緊張する感じがなく、穏やかな気持ちになれるような場所だ。
その静寂に、固定電話の着信音が鳴る。
数回、人を呼んだところで、その呼び音に答えてドアが開かれた。
そこから、黒色で艶やかな髪を、肩を少し過ぎたくらいで整えてある、若い看護師が入ってきた。
彼女は受話器をとると、その潤いに満ちた唇から、言葉を発した。
「はい、こちら誰でも安眠。希ノ橋睡眠クリニックでございます」
「――――」
「はい、少々お待ちください」
看護師は小走りで、慌てて退室した。
その後、小走りで戻ってくると、その後ろからまたも小走りで、一人の男性が入ってきた。
男性は白衣をまとっており、ネームプレートをつけている。
「はい、お電話変わりました。瑞高です」
「――――」
「…………!」
男性は、看護師を見ると、砕けた笑顔でこう返した。
「メジャーでノーヒットノーランを達成したから、タダで寝させろって?
おいおい、冗談きついよ。たくさんお金もらっているんだろ?
メジャーリーガーの空さんよ」
そこには、幸せそうな笑い声が、三人分、優しく部屋を伝導していった。
それは、睡魔よりも、優しく、温かくなるものだった。
不完全燃焼といった形ですが、終わらせていただきます。
勢いだけで始めてしまったこの失敗を生かして、次につなげようと思います。
この話を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!