ヨーヨー
一回百円
錆びた看板 「難関」の文字
厳つい顔した頑固おやじが 俺をみたあと
座布団にあぐらで タバコに火をつけた
紙製の釣り竿
右手所属 かき氷を解雇
ぺらぺらの紙製釣り竿持ち替えて
ゆっくりねらいを定め
ぶちっ
あっ
……。
不人気の屋台
人々はおっちゃんを見て早足で逃げる
かき氷はとっくにジュースになった
俺が
何枚目かの百円を出す
おっちゃんは無言で紙製の釣り竿を渡す
せめて
一個はとってやる
水面に浮かぶヨーヨーをにらんだ
おっちゃんは笑いだし
厳つい顔を崩して俺をみた
立ち上がって
くわえたタバコを手の甲に押しつけて消した
夕暮れ
跳ねるヨーヨー
おっちゃんがくれた
夕暮れ色ヨーヨー