第11話「ゴール」
チェッカーフラッグまで残り1時間。
最後にもう一度自分に出番が回ってくる。
「よーし、大輝、最終スティントはお前に託す。最高の走り、見せてこい。」
「了解!」勢いよく椅子から立ち上がり、再びル・マンの舞台へ。
担当すべき周回を終えた大塚が戻って来る。
大竹が体調不良のため、自分に回ってきた。
大塚から最後のバトンを受け取る。
大塚、監督、メカニックたちがサムズアップなどで鼓舞してくれる。
GOサインが出る。
目指すは一つでも上の順位。
目の前には一つ上の順位を走行する他チーム。
自分はオーバーテイクの機会を伺っていた。
その時、LMGTEのマシンに先行車が詰まる。
この隙を見逃さない。
一瞬でサイドバイサイド(2台横並び)に持ち込む。
サイドバイサイドのままシケインへ。
しかし、ブレーキ勝負で軍配が上がったのは向こうだった。
すかさず、次のオーバーテイクチャンスを探す。
その時、目の前を走るLMGTEのマシンとLMP2カーの走行ラインが交錯する。
接触し、そのまま2台はコース外へ。
「あらら、でも順位が一つ上がったからラッキーか。」
あとは30分後のチェッカーフラッグを受けるだけ。
現在クラス7位。
スタートの時の順位を見れば最高の順位だ。
30分が経過。
チェッカーフラッグが振られる。
総合優勝はフェラーリ。
続々とチェッカーフラッグを受ける。
自分もチェッカーフラッグを受ける。
98号車は大きなトラブルなく完走できた。
『お疲れ様。クラス7位、クラス7位。いい走りだったぞ。』
「いや〜、疲れました。でもいい経験させてくれてありがとうございました。楽しかったっす。」
『こちらこそ乗ってくれてありがとうな。次のFRCの夏季大会も頑張ろう。』
ピットに戻って来ると、メンバー総出で出迎えてくれる。
結果、98号車が7位、99号車はエンジントラブルによりDNFとなった。
99号車は残り10時間でのリタイアだった。
モータースポーツの聖地での経験は将来に活きそうだ。
労いのパーティーの末、フランスを旅立った。




