第3話「交流」
翌週、都内某所。
「ほえ〜…こんないいとこで交流会やるのか…」
「大輝〜、何ボケっとしてるんだ、行くぞ。」
「あ、ハイ。」
案内されたのはおしゃれな大広間。
そこには実際に乗るLMP2の車両も展示されていた。
取材も行われるので記者も大勢いた。その中には聞いたことのあるニュースサイトの記者もいた。
他のドライバーたちと談笑していると取材をするので来てほしい、と呼ばれる。
係員に記者がいる場所に案内された。
「こんにちわ、race.comの西田です。本日はお願いします。」
「お願いします。」
「早速始めさせていただきますが、今回、このプログラムに選出されるにあたってどう思われていますか?」
「そうですね…このプログラムの存在は今年初めて知ったのですが…憧れのル・マンを走れると聞いて、一気に嬉しさが爆発しましたね。最初は夢でも見ているのかと。」
「続きまして、松下選手と堀本選手は同じチームからスーパーフォーミュラのテストに参加しましたが、
堀本選手はどんな選手ですか?」
「ん〜、最初はクールな人なのかなと思っていたのですが、笑顔も可愛くて一緒にいて楽しい選手だと思いましたね。」
そこから10分取材が続く。
「松下選手、本日はありがとうございました。ル・マンでのレース、頑張ってください。」
「こちらこそありがとうございました。」
取材が終わる。
今度は選手が全員LMP2車両の前に集結する。
「何が始まるの?これから。」
「写真撮影ですって。」堀本が答える。
司会が写真撮影に移るということを伝えてきた。
一斉にフラッシュが光り始める。
ちらっと後ろのLMP2車両を見る。
黒色を主体に金色のラインがあしらわれており、おしゃれな印象だ。
こいつに乗れるのがとても楽しみだ。
写真撮影が終わり、メンバー全員で食事の時間になった。
「え〜、今回のプログラムに選ばれたみんな、おめでとう。君たちは日本を代表するレーサーだ。
君たちは〝あの〟モータースポーツの聖地、ル・マンで24時間耐久レースを戦ってもらう。今日はその交流会だ。ぜひ、チームメンバーで仲を深めてくれ。」
98号車のメンバーたちで交流が始まる。
「俺、大竹、よろしく」
「僕、萩原、よろしくね。」
「僕大塚、裕貴って呼んでね。よろしく。」
「俺松下。これからよろしくね。」
盛り上がっている中、監督は堀本と話し合っていた。
何話してるんだろう。
99号車のドライバーたちとも交流し、全員で打ち解けることができた気がする。
ル・マンへと旅立つのは来週。
聖地でのレース、楽しみだ。