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VERTEX  作者: 銀乃矢
第2章 スーパーフォーミュラ編
10/32

第5話「2日目」

  翌日…

  RESA Grand Prixのピットに荷物を持って向かう。

  「おっ、おはよう松下くん。どう?昨日はぐっすり寝れた?」

  「守谷監督おはようございます。はい!ぐっすりと。今日も頑張れそうです」


  「なら良かったよ。今日のテストはセッティングを大きく変更した。分かりやすく言えば昨日とは正反対のセッティングをした。」


  「分かりました。新しい挙動楽しみです。」


  「さぁ、あと20分で始まるよ。とりあえず、レーシングスーツに着替えてきな。」


  「はい、行ってきます」

  パドックの更衣室に行くと先に堀本が着替えていた。

  「おはよう、堀本さん。」

  「おはようございます。」

 

  その後は自分の好きな音楽を聴きながら気分を上げていた。

  ふと時計を見る。

  「やべっ!?もうあと6分で始まるじゃん!」

  更衣室を飛び出す。

  もう堀本はマシンに乗り込もうとしていた。

  「松下くん、早く早く!もうすぐ始まるよ。」

  「はい、すいません!」


  足元にあった工具箱につまずく。

  「あっ…」思わず声が出る。


 その瞬間盛大にピットでコケた。

 あぁ、なんで昨日から恥ずかしいことばっかするんだろ?


  「松下くん大丈夫?足元気をつけなね」

  「はい、すいません。イテテテ。」

 

  「さぁ、落ち着いて。準備していこう。」


  ヘルメットを被り、グローブをはめる。

  HALO、頭部保護デバイスを跨るようにしてマシンに乗り込む。


  『OK、松下くん無線聞こえる?』

  「はい、大丈夫です。聞こえます」

  『OK、さっきは大変だったね笑』

  「ほんとっすね。焦っちゃダメですね。」



  『もうすぐ始まるから待ってて』

 

 さっきのことなんて忘れよう。切り替えて、集中だ。

 セッションがスタートする。他のチームのマシンたちがピットから出る。

 すぐに指示が来る。

  『さぁ、出発していいぞ。いってらっしゃい。』


 メカニックのGOサインを合図に2台がピットを離れる。

 コースインし、堀本の後を追うように走る。


 堀本走りが本当にきれいだ。マシンの扱い方も今年FRCに来たルーキーとは思えない。

   


 周回を重ねていると、目の前で砂煙が上がっているのが目に入った。

 その煙の出どころに近づくと誰かグラベルというエリアに止まっているようにに見えた。

 「あれ、堀本?」

 自分のSF23と同じカラーリングのものが止まっていた。

 「守谷監督!堀本がスピンしてます!デグナーカーブです!」

 『あぁ、こっちでも確認できた。今赤旗が掲示されたから戻ってきてくれ』

 「了解」


 ピットに戻って来るとメカニックが誘導してくれる。


 その指示通りにマシンを止める。するとマシンがジャッキアップされる。

 車体下部に台車を入れ、ピット内に入れる。


 マシンを降りると、代表が来た。

 「今堀本くんの無事が確認できた。どうやら他チームのクルマと接触したらしい。もうそろそろウチのクルマも戻って来るそうだ。」

 「無事だったんですね。よかったです。クルマはどうですかね。ダメージがあるかも。」


 そう話しているとトラックに載せられた堀本のSF23が戻ってきた。


 戻ってきたSF23は砂埃を被っていた。

 降ろされたマシンはすぐにピットに引き入れられ、修理が始まる。

 「まぁまぁダメージあったんですね。リアの足回りとか壊れちゃってる。」

 「そうだな。」


 「ちょっと相談だが堀本くんに次の走行枠で松下くんのマシンを貸しちゃだめかな?」

 「いいですよ。堀本ももっと走りたいでしょうし。」


 メディカルセンターから戻ってきた堀本に、自分のマシンを貸し出す旨を伝える。

 「いや…松下さんに申し訳ないです。自分は安静にしておくんで松下さんが乗ってきてくださいよ。」

 「堀本もあまり走れなかったでしょ?だから、いいかなって。」


 「じゃあさ、前半30分を松下くん、後半30分を堀本くんが乗るっていうのはどうかな?」守谷監督が提案する。


 「あ、それいいっすね」

 「それなら…大丈夫です。」堀本も了承してくれる。


 急遽決まったことなので、マシンのゼッケンは自分の99のまま走ることが決まった。


 午後最初のセッションがスタートする。他のチームは走行を開始したが、自分たちRESA GP(グランプリ)はバタバタしていた。


「シート調整急いで!」

「はい!」

 手際よく堀本のマシンにつけられていたシートを取り外し、99号車へと移す。


 10分すると堀本用のシートの移設が完了した。

「よし、OK!松下くんテストの準備始めて!」守谷監督が声をかけてくる。

「準備できてます!」ヘルメットを被ってマシンのもとに駆け寄る。

「よーし、じゃあいっておいで!」


 マシンに乗り込むとすぐにエンジンを始動させる。

 順調に周回を重ねていく。



 タイムもまずまずだな。まだ削れるところはあるかもな。

 いざ、次のラップ、と思ったとき、無線が入る。


 『松下くん、セッション残り30分、ピットに戻ってきて』

「了解です。」


 思ったより早く30分経ったな。

 ピットに戻る。


 レーンに入るとメカニックたちがガレージインの準備をしていた。

 代表から無線が入る。

 『松下くん、ガレージには入れないでそこで降りて堀本くんと交代してください』

「このまま降りちゃえばいいんすね?わかりました。」


 マシンを止め、マシンを降りる。すぐそこに堀本がスタンバイしていた。

 フォーミュラでドライバー交代なんてな。滅多にないぞ。


 堀本がマシンに乗り込み、メカニックたちがシートベルトを締める。


 フォーミュラカーは狭いので自分で締めることは困難なのだ。そのため走る前にメカニックなどが手伝うことがある。


 準備が整い、メカニックがGOサインを出す。


 ホイールスピンさせながらピットを離れる。

 その姿をホイールスピンで出た煙の中から見守っていた。


 その後、堀本はテスト走行、自分はチームのエンジニアに前半の走行で感じたことを伝えていた。


「低速コーナーから立ち上がるとき、うまくトラクションがかからない感じがするんすよね。」

「そうなのか〜。これ見てみな。堀本くんと松下くんのグラフの違い。」

 目の前に2つのグラフが出される。


「堀本くんはコーナーからの加速の時点でしっかりアクセルを踏めてる。でも松下くんは結構遅いタイミングで踏み始めてる。動画を見た感じ松下くんはマシンがまっすぐ向いてから加速してる。」

「この違いがわかるかい?」


「えっと、自分は硬めのサスペンションにしてもらってるからですか?」

「その通り、松下くんは硬めのセッティングだけど、堀本くんは柔らかいセッティングに合わせてリアの車高が少し高くなるようになってる。つまり?」


「自分は硬くて車高が低いからトラクションがかかりにくくて、堀本の方がリアが沈み込むような感じになるからトラクションが抜けずにタイヤに効率よく力が伝わるってことですね。」

「その通り、これはこれからにも活かせることだから覚えておくといいよ。」

「はい、ありがとうございます。」


 その話し合いを終え、午前のセッションが終了した。


 それと同じくらいに堀本のマシンの修理も完了した。


 最後の模擬レースの始まりだ。


今回は自動で段落の空白を作る機能を使用してみたので少し文に不自然な空白があるかもしれません。

次回からは元に戻る予定です。

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