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【ノベル2巻発売記念SS】アンとオーウェン ◆アン視点

第二部の時系列でサチたちが隣国に行っている間のドーラン王国ギルドの一幕です


 サチが隣国のサルバトロス王国に向かってから早くも七日が経過した。


 サチだけではなく、Sランク冒険者であるマリウッツ様とサブマスターまで同行しているので、どことなくギルド内が寂しく感じるのは私が彼女たちと近しい関係にあるからなのだろうか。


「サチ、無理してないかしら……遊びに行っているわけじゃないから安易に手紙を出すのも気が引けるしねえ」


 午前中の事務仕事が片付いたので、お昼休みを取ろうと同僚に声をかけて受付カウンターを出る。


「あら?」


 すると、見知った事務員が料理の載ったトレイを持って階段を登っていく姿を捉えた。


 どれだけ忙しくても、食事は食堂で摂る決まりになっているので、食堂から持ち出すことが許されている人といえば……。


「ねえ、よかったらそのお料理私に運ばせてくれないかしら」


「アンさん! では、お言葉に甘えてもいいかしら? きっとアンさんが持っていった方がマスターも喜ぶと思うし」


「まあ、職場ではあまり声をかけないでちょうだいって釘を刺してるからねえ」


 くすくす笑う同僚からトレイを受け取った私は、上階にあるギルドマスターの執務室へと向かう。



「パパぁ。お昼ご飯運んできたわよお」


 両手が塞がっていてノックができないので、扉の前から声をかければ、ドタドタッと何かが崩れる音と大きな足音が聞こえて、すぐに扉が開かれた。


「おお! アンじゃないか〜! 入れ入れ!」


 パパことギルドマスターは満面の笑みを浮かべて私を執務室へと招き入れてくれた。


 ニコニコとご機嫌な笑顔に見えるけど、目の下にはうっすらクマができているし、多分、結構疲れている。


「まだサルバトロス王国の状況は変わらないの?」


 執務机は書類や本で埋め尽くされているため、ローテーブルにトレイを置き、スカートを整えながらソファに腰を下ろす。


 パパも対面にドカリと腰を落とし、乱雑に髪をかきあげながら唸り声を上げた。


「アルのやつから定期的に連絡は来てるが、なかなか魔物の大量発生の原因は掴めていないようだ。思ったよりも長期戦になるかもしれねえ」


 パパは料理に手を合わせてから豪快に食べ始めた。コカトリスのソテーにツヤツヤのソースが絡んでとっても美味しそう。私も後で食堂に行って同じものを食べよう。


 そんなことを考えながら、話を膨らませるべく口を開く。


「そう……みんなは大丈夫なの?」


「ああ、無事に向こうのギルドに到着したみたいだし、別途作業場も用意してもらっている。今のところ大きなトラブルはないようだが……緊急時ほど冷静な判断ができなくなるケースも多い。これから状況が厳しくなるにつれて不測の事態が起こる可能性が高くなる。それだけじゃねえ。国境付近の魔物もざわついているようだし、ドーラン王国にまで影響が広がる可能性も考えておかねえと」


 普段私やママの前ではデレデレと頬が溶けて落ちるんじゃないかってほど情けない顔をしているパパだけど、ギルドマスターの顔をしている時はキリッと凛々しくて素敵だと思う。


 こんなこと本人に言ったら号泣案件だから内緒だけどね。


 研究もフィールドワークも大好きだから長い間ギルドを空けていたけれど、やっぱりギルドマスターとしての手腕は抜群で、ギルドの運営やクエストの管理をしながら隣国のことを調べる時間も捻出しているみたい。最近帰りが遅いし夜更けまで無理しているのは明白だけれど。


 さて、あんまり仕事の邪魔もできないし私もお昼ご飯を食べに行かないとね、と思って徐に立ち上がってスカートのポケットから小さな小瓶を取り出した。


「はい、これ。疲労回復薬ね。サチたちのために頑張ってくれているのは分かるけど、ママが心配するからあんまり無理しちゃダメよ? 休息も大事なんだから」


「ア、アン〜〜〜〜!!!」


「やだ、泣かないでよ!」


「ううっ、今すぐ家に帰ってアンナにぎゅーってしてチューってしてなでなでしてほしい……っ!」


「夫婦仲がいいのは結構ですけど、娘の前でそんなこと言わないでちょうだいよ」


 ガタイのいいパパが華奢なママにスリスリ甘えている様子はなかなか珍妙な光景なのだ。正直あんまり見たくはないのよねえ。微笑ましいですまないぐらいデレデレなんだもの。父親の威厳というものをもう少し持って欲しい。ママはいつもニコニコしながらパパを甘やかしているけど……。


 やれやれ、と肩をすくめながら扉を開けて執務室を出る。


 扉が閉まる時にそっと室内を確認すれば、すでにパパはギルドマスターの顔に戻って真剣な目で文献に向き合っていた。


 さて、私も私にできることを頑張らなくっちゃね。


 しっかりとギルドの受付を回して、クエストの受注状況を管理して、サチたちが帰ってきた時に仕事が山積みになっている状態にならないようにしなくっちゃ。


「よおし、腹ごしらえをしたらもうひと頑張りするわよお!」


 誰もいない廊下でグッと拳を突き上げた私は、コカトリスのソテーを求めて食堂へと足を向けた。



ご無沙汰しております゜(゜`ω´ ゜)゜


本日魔物解体嬢ノベル2巻が発売となりました!!

WEB版から大きく変えずに一部加筆修正をしておりますので、ぜひWEB版との違いを楽しんでいただけると嬉しいです。

巻末に梨里杏視点の書き下ろしSSも収録されております(ง •̀ω•́)ง

ぜひ書店さまでお迎えいただけると嬉しいです〜!


本編再開もう少し待っててください……゜(゜`ω´ ゜)゜

今後ともよろしくお願いします!


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