一角獣と白百合
緩いファンタジー系なお伽噺
誤字脱字と共存してきた為、恐らく大変読み辛いです。
ご都合主義ご都合展開なので突っ込みは野暮というもの…頭を空っぽにしてお読み下さい。
とある国の姫君はある存在に出会って…幼い姫君の我儘からエライ事に。(本人に悪気は無いのです)
昔あるところに森に囲まれた美しい国がありました。
その国には一人の幼い姫君がおられました。姫君は小さな頃から城を抜け出しては森に出入りして遊んでおりました、そうして時がたち姫君は国で一番美しい乙女に成長しました。
そんなあるとき何時ものように姫君が森を散歩していると美しい一頭のユニコーンに出会いました。
「まあ、なんて美しいのでしょう」
姫君はまるで誘われる様にユニコーンの後を追って森の奥へ奥へと進んでいきました、ですが森の奥まで入りすぎたためか、いつの間にか道に迷ってしまいました。困り果てた姫君にユニコーンが姿を現し姫君を森の外まで送り届けてくれたのでした。
「あの素晴らしいユニコーンにもう一度会いたいわ」
それ以来姫君はユニコーンに会いたくて何度も森を彷徨いましたが、ユニコーンに会える事は無く、姫君は王様に頼んで国に御触れを出したのでした。
「ユニコーンを私の元へ連れて来てちょうだい」
連れてきた者には沢山の褒美を出すと言われ、国中の人間が森に出入りするようになりました。
これにはユニコーンは困りました、人の出入りが多くなる事で森も荒らされ小動物も怯えて居なくなってしまう有様でした。
そんなある満月の夜、城の姫君の元へ一人の立派な青年が訪ねて来ました。
「ユニコーンを探す事を止めるようお願いに来ました、あのユニコーンは月の女神様にお仕えしているもの。多くの人間が森に出入りすることで森が荒らされており、もしかしたら女神様の怒りに触れる事になるかもしれません。お願いいたします、どうか御触れを取り消してくださいませんか?」
青年にお願いされた姫君は、その代わりにと条件を出しました。
「素敵な方、貴方が私の夫になってくださるのなら御触れを取り消しましょう」
姫君はこの突然現れた青年に一目惚れしてしまったのでした。この姫君の出した条件に青年は従い、御触れは取り消されたのでした。
こうして姫君と青年は盛大な結婚式を挙げ、二人の間には一人の男の子を授かりました。二人は幸せに暮らし数年がたち姫君もあのユニコーンの事を忘れた頃のある満月の晩、突然月の女神様が二人の前に現れました。女神は大変怒っておられました。
「その青年は私に仕えているユニコーンなのです、私はそのユニコーンを連れ戻しに来ました」
びっくりした姫君は夫となった青年を見ると、あっという間に何時か森で出会ったあのユニコーンへと姿を変えたのでした。
「ごめんなさい、そしてさよなら愛しい人」
そう言うとユニコーンは女神に連れられて城から去っていってしまいました。
ユニコーンが城から去った後姫君は悲しみに暮れ二度と夫を迎える事はなく、その国を治める女王となりました。
そんな二人の間に生まれた子供はスクスク元気に育っていきました。
大きくなった子供はかつて父親であったユニコーンの様な立派な青年へと成長しました。
そしてその青年は不思議な力を生まれ持っておりました、その力とはどんな大怪我や病気も一撫でしただけでたちどころに直してしまうと言う不思議な力でした。
その力と生い立ちのため青年は「聖なる王子」と呼ばれるようになりました。
ある時王子は母親である女王にこう言いました。
「母上、私は一目で良いので父上にお会いしたいのです。どうすればお会いできるのでしょう?」
これには女王も困りました、女神の怒りを静めるためあの後森への出入禁止を国中に出したのです。
「森へ行けばもしかしたら会えるかもしれません、ですが成長した王子の姿をあの方は知りません。それに決して森を荒らすような事をしてはなりません、女神様の怒りに触れる事になりますからね」
それとあまり長い間森に居てはいけないと王子に言い渡し女王は王子を送り出しました。
王子は森の奥へ奥へと進んでいくと美しい泉の辺に出ました、泉の辺には周りの樹と比べても巨大な樹が一本高々とそびえておりました。
「なんと立派な樹だろうか、だがなぜかこの樹は元気が無いようだ」
ふと王子が見るとその樹の傍で一人の女性がすすり泣いておりました。王子は不思議に思い近づいて話しかけてみました。
「そこのお人、何故泣いているのですか?」
そう話しかけられた女性ははっとして顔を上げました、その女性は今まで出会ったどの女性よりもとても美しく王子はその人に心奪われました。
「この森の長老の樹が病気で枯れてしまっているのです、以前この森には立派なユニコーンが住んでおりましたから、ユニコーンにお願いして病気になった植物や動物を直してもらっておりましたが。人間の姫君がユニコーンと仲良くなったのを月の女神様が怒り、ユニコーンを天界へと連れて行ってしまわれたので、直す方法がないのです」
聞かされた新事実に王子は大変驚きました、父であるユニコーンはもうこの森には居らず、天界へ連れて行かれたのだと。
「そうだったのか、私はそのユニコーンに会いに来たのですが、もうこの森にはいないのですね。教えてくださってありがとうございます。代わりと言ってはなんですが、その長老の樹の病気を私が治してみましょう」
王子が大木を労わる様に撫でました、すると枯れかけた樹はみるみるうちに青々と元気になったのです。これには女性も驚きました。
「一体どうした事でしょう、まるであのユニコーンの癒しの力みたいにあっという間に元気になってしまったわ」
「その以前この森に住んでいたユニコーンこそ私の父親なのです」
「まあ、だから同じ力をもっているのですね。ありがとうございます、貴方はこの長老の樹の恩人です」
美しい女性はこう言い、自分の身分を明かしました。
「私はこの森の精霊で緑の姫と呼ばれております。お礼にこの森に住むペガサスに天界へ運んでくれるように頼みましょう」
そう言って緑の姫は雪のように真っ白な一頭のペガサスを連れて来ました。
「天界は本来人間が許しも無く出入りして良い場所ではありません、もし神々に見つかれば恐ろしい罰を与えられるかも知れません。もし見つかりそうになった場合はこの白百合の蜜をお飲みなさい、そうすれば貴方の姿はたちどころに百合へと姿を変えるでしょう。百合は神々にも好まれている花です、きっとあなたを守ってくれる事でしょう」
そう言って緑の姫はたっぷり蜜の付いた大きな白百合を一輪王子に手渡しました。
「このようなお気遣いまで、本当にありがとうございます。必ず父に会い無事に戻ってきます」
お礼を言って百合を受け取り、王子はペガサスに乗って森を飛び立ちました。
ペガサスの翼は早く、あっと言う間に森の国は小さくなり雲を超えて天界へと王子を運んでくれました。
天界の入り口でペガサスから降り、王子は天界を一人彷徨いました、運良くあの森の泉に似た場所で一頭のユニコーンに出会いました。そのユニコーンは幼い頃から母親から聞かされていた美しく立派な姿をしておりました。
「ああ、貴方は月の女神様にお仕えし、かつて地上の森に住んでいたユニコーンではございませんか?」
そのユニコーンは大層驚きました。
「人間よ、そなたはどうやってこの天界へと来たのだ?いや、それよりも何故その様な事を知っているのだ??」
「地上に居た頃に貴方は人間の姫君と結婚をして、一人の子供を授かりましたでしょう?その子供が私なのです」
「なんと!あの姫君と私の子供だったのか!?なんと大きく立派に成長したのだ」
そう言ってユニコーンは喜んで王子に寄り添いました。
「だがなんと言う事だ、天界は人が許可無く出入りして良い場所ではない。会えた事は大変嬉しいが、直ぐに地上に帰りなさい、でなければ天界の者にもし見つかってしまったら、どのような罰を受ける事になるか。お前に何かあれば私も地上の妻もとても悲しむ事だろう、さあ早く立ち去りなさい、ああ…誰か来る!あれは私の仕える月の女神様!」
女神がすぐ近くまで来ている事に気が付いたユニコーンは慌てました、しかし王子は慌てずに緑の姫から渡されていた百合の蜜を飲みました、するとたちまち王子は素晴らしく美しい一輪の白百合へと姿を変えました。
そこへ月の女神様が現れ、ユニコーンにこう訊ねました。
「先ほど人間の気配をこの天界で感じました、そなたは何か見ませんでしたか?」
「私は今ほど此処へ来ましたが、その様な事があったのですか?」
ユニコーンは女神の問いかけには答えず、うまく答えをはぐらかしました。
「もし人間を見かけたら、私達神々に知らせなさい。神々の聖地に無断で出入りするなどなんと恐れを知らぬ愚か者なのでしょう、大変許しがたい事です」
それを聞いたユニコーンは内心竦み上がっておりました、隣で百合に姿を変えた王子も気が気ではありませんでした。
ふと女神様はユニコーンの傍らにある百合に気が付きました。
「まあなんで立派で素晴らしい百合でしょう、神殿へ持って帰りましょう」
そう言って百合を摘もうとした女神、これを聞いたユニコーンは大層慌てました。
「お待ちください、女神様。よくこの百合をご覧ください、まだ蕾ではございませんか。それに神殿へお持ちになられては、私の様な者はおいそれとは見る事ができなくなってしまします。お持ちになるのであれば、せめて花が美しく咲いてからでも良いではありませんか?花の命は短いと言いますし」
「それもそうですね、花が咲くまで待ちましょう」
ユニコーンの申し出に女神は納得し、神殿へと帰って行きました。
それを見送った後ユニコーンは大急ぎで百合を根元から掘り出し、優しく口に銜えて天界の入り口で待つペガサスの元へすっ飛んで行きました。
「白き天馬の方よ、百合に姿を変えたこの私の息子を連れて早くこの天界から去ってください、この事を知れたら大変な騒ぎになるでしょう。息子よ今度は私の方からお前達に会いに地上へ行ける様に女神様にお願いしてみる、約束しよう。だからもうこんな危険な事は二度としないおくれ」
そう言ってユニコーンは白百合をペガサスへ託しました。
こうしてペガサスは百合を銜えて天界から地上へと帰っていきました。
なんとか無事に地上の緑の姫の下へと戻ってきたペガサスと王子でしたが、王子は百合の花の姿のままでした。このままではお城にも帰ることができません、そこへ緑の姫がこう言いました。
「百合の蕾が咲けば、貴方は元の姿へもどれるでしょう。ですがもう幾日かは待たねばなりません」
「それは少々困ります、母には長い時間森に居てはいけないと言われたのです」
姿は元に戻る事がわかって安心しましたが、女王との約束を破ってしまう事を王子は気に掛けておりました。
「それではもう一つ、方法がございます。緑の姫である私が口付ければ花はきっと咲くでしょう、ですが私の口付けを受ける者は我が夫になる方だけです。私を貴方の妻にしてくださるなら、貴方を元の姿へ戻して差し上げましょう」
王子は親切にしてくれた緑の姫の事を好いておりましたので、この申し出を喜んで受けました。
「貴方の様な美しく心優しい方を妻に迎えられるなら、私は喜んで何でもいたしましょう」
それを聞いた緑の姫は言った通りに百合の蕾にそっと口付けをしました、すると蕾だった白百合はゆっくりと開き大輪の花を咲かせました。
そして見る間にその百合は元の王子の姿へと戻りました。
「ありがとうございます、貴方のおかげで父に会え、また無事に地上へと帰ってくる事もできました。約束どおり貴方を私の妻としてお迎えいたしましょう」
そう言って王子は緑の姫の手を取り二人は微笑み合いました。
こうして聖なる王子は緑の姫を城へ連れて帰り、二人は祝福され結婚し女王と三人で幸せに暮らしました。また王子が天界から戻ってきた日を境に、満月と新月の夜にお城へ一頭のユニコーンが彼らに会いに訪れるようになりました。やがてこの国は人々からユニコーンの守護する国と呼ばれとても繁栄しました、そしてその話にあやかってこの国の紋章は一角獣と白百合になったそうです。
昔書いた作品でテキストにベタ打ちした拙い作品です…