第139話 突撃する赤ちゃんの物語Ⅸ ~異世界成分無添加Vr.~③
梅園家。続く打ち上げ会。
咲見さんのケーキを食べ終わるころに、梅園家の年少組が。
琉太「こ‥‥‥‥わ~~」
野々花「琉太、『こんにちは』よ?」
琉太「こ‥‥‥‥わ~~」
野々花「あ~何だかもう。ごめんなさいね、みなさん」
一同「「お邪魔しておりま~~す」」
暖斗「あ、ウチの第四席の稲村野々花さん、です。あと異母弟の琉太と異母妹の翠ちゃん」
翠 「‥‥‥‥‥‥」
大騎「こんにちは~!」
晴音「こんにちは~」
一同「「こんにちは~」」
暖斗「同じく第三席の清水琴子さんと、大騎と晴音。あれ? もう戻ったの?」
琴子「うん。皆さんゆっくりしていってね?」
一同「「は~~い」」
コーラ「ふむ、つまりキミタチはココの子か。お? 男の子もいる‥‥‥‥ねえキミタチ。お姉さんがスゴイ技見せてあげよっか?」
ソーラ「嫌な予感。コーラ、男の子がいるからって張り切るのやめてよ。この子たちまだ小学生とかだし」
コーラ「うっせいソーラ。本土の男子がいるからこそ、アマリアの武力をあまねく示すべし!」
ソーラ「変なスイッチ入っちゃった‥‥やっぱり嫌な予感‥‥」
コーラ「見よ。アマリアの武技! 背面足刀二段回し蹴りっ! はあッ!!」
大騎「わ! すごっ! うしろ!?」
コーラ「ふふんっ!」
晴音「お母さんっ! 今ね、おね~ちゃんがすっごい高くとんだよっ!」
コーラ「ふふふんっ!」
野々花「わあ! お姉さんすごいわね?」
コーラ「ど、う、だっ! 本土の童よ見たかっ。この技の要諦は、背後から迫る敵に振り向き様の回し蹴り。それを空中で二発叩き込むことにあるッ!」
琉太「‥‥すごい‥‥おね~ちゃん‥‥‥‥」
翠 「すごいっ~~」
コーラ「へへんっ!! では続いて千階舞踏奥義!! 蘭美脚、武踊百花! 総覧っ!」
ソーラ「あっ!? そこでそんな派手な足技やっ‥‥」
ガシャーン!
コーラ「‥‥‥‥や‥‥しまっ‥‥‥‥た‥‥」
ソーラ「ひゃぁ!! 何やってんのよコーラ!?」
コーラ「ご、ごごごごご‥‥ごめんなさいっ‥‥!」
ソーラ「バカなの? バカなの!? ねぇ? 何してくれてるの!?」
コーラ「‥‥あ‥‥いや‥‥‥‥ご、ごめんなさい‥‥」
***
愛依「大丈夫よコーラさん‥‥怪我した人もいなかったし‥‥」
泉 「そうね。割った花瓶はお金で解決できる問題だわ」
コーラ「オカネ‥‥‥‥オカネハラウンデスカ?」
ソーラ「ちょっと! 何逃げようとしてんのっ! アマリアが変に思われるからそういうのマジでやめてっ!?」
コーラ「オカネ‥‥ナイ‥‥‥‥」
ソーラ「ほら! だからちゃんと貯めなさいって! コーラは武娘候補生のお給金、全部使っちゃう子だから」
コーラ「ソーラ‥‥アタシたち、親友だよね‥‥?」
ソーラ「違います!! 反省しろボケッ!!!!」
暖斗「ま、まあソーラさん。割れた物に関しては僕が親に掛け合ってみるから」
コーラ「うう暖斗くん。アタシとキミ、友達だよね?」
暖斗「えっと‥‥‥‥それ、今言うとたぶん友達無くすよ?」
業者「小さなお子様もいらっしゃいますし、破片、こちらで片付けておきますね」
暖斗「あ、はい。すみません、お願いします」
業者「‥‥‥‥いえ」
岸尾「誰?」
暖斗「あ、業者さんじゃないかな? マイク機材とかテント借りたから」
岸尾「そっか。イベント会社の人か」
暖斗「こんなことまでやってもらって、申し訳ないです」
業者「いえいえお気になさらず。毎度お世話になります」
暖斗「‥‥‥‥‥‥‥‥」
岸尾「どした? ぬっくん」
暖斗「‥‥‥‥今の業者の人、ネームプレートに漢字の『春』って書いてあって、『YAYOI』ってルビが振ってあった‥‥!」
岸尾「ふ~ん。『春』で『やよい』なんて読みかたするのかな?」
暖斗「う~ん、書いてあったってことは、するんじゃない?」
愛依「当て字っぽいけど、人名ならありえるわ」
岸尾「まあとにかく。いくら思春期ド真ん中だからって、女子の胸元ジロジロ見るのはよくないゼ☆ ひめっちに報告だな!」
暖斗「み、見てね~し! 怒るぞ麻妃!」
岸尾「ごめん! ごめんて! ぬっくん!」
業者「‥‥‥‥‥‥‥‥」
岸尾「さてさてさ~て。コーラっちのひと暴れは置いといて。みんなケーキも食べ終わったし。そろそろ最終イベントかな?」
紅葉ヶ丘「え? 何? まだ何かあんの? 私もう帰るんだけど?」
渚 「こら澪。まだいいじゃない」
岸尾「ぬっくん、片付けはみんなでやるから、ちょっとコッチ来て」
暖斗「なんだよ~~?」
岸尾「ほら、ひめっち?」
ゆめ「う、うん。あのね、この場を借りて、ぬっくんにお願いがあるの」
暖斗「ひめちゃんが? 僕に?」
ゆめ「うん。もう‥‥みんなも内々では知ってると思うけど‥‥」
岸尾「正式発表~~。実は先日ね、ぬっくんとひめっちの婚前同居が正式に決まりました~~」
子恋「おお!?」
桃山「おめでとう!」
浜 「キ、キャトルエピスを集めてる、とは聞いてたけど」
網代「あ~~。じゃあもう箝口令終わり? まわりにしゃべっていい?」
来宮「そうっス。今まで我慢してたっスけど」
ゆめ「あっ、ちょっとそれは。まだお仕事があるので。ごめんなさい」
一同「「ああそっか」」
折越「えぇ~~? ちなみはぁ~~? 暖斗くぅん」
七道「まあ、めでたいな。一緒に戦った仲間が、つうのは格別だしな」
折越「無視しないでぇ!」
暖斗「ありがとう。みんな。僕とひめちゃんをこれからもよろしくお願いします」
ゆめ「お願い‥‥します」
一同「「ヒュ~~パチパチパチ」」
多賀「‥‥‥‥。あれ? じゃあ?」
網代「どした~? ゆず?」
多賀「‥‥‥‥。この宴席は、小さな結婚式だったってこと?」




