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第137話 突撃する赤ちゃんの物語Ⅶ ~異世界成分無添加Vr.~⑤






 戦艦ラポルト、4F艦長室の、クイーンサイズのベッドの上。


 川の字の三人。



「ふ~~。なんだろ? 最初は愛依を一晩腕まくらしなきゃってハナシで。どうなることかと思ったけど、何とかなりそうかな‥‥」


「恥ずかしいから、お互い天井しか見れないね‥‥」

「修学旅行の夜に、私たちの部屋にぬっくんが来たカンジかな」

「うぇ!? 僕が夜這いする設定なの? しない! しないよそんなの!」

「「うふふふふ」」




「治験への協力ありがとう。暖斗くん」

「それはね。僕だって後遺症が早く治ればムチャクチャこっちにメリットあるし。協力はもちろん。‥‥でもまあ、まさかこんなことになるとは思わなかったけどさ」


「ごめんねぬっくん。私なんかがこんな近くにいたら、邪魔くさいよね? ごめんね」


「そんなことないって。ただまあ。こんな、愛依とひめちゃんを両側に侍らせて川の字で寝てるのを、クラスのヤツや親には見せられないな、と」

「うふふ。それはもちろん軍機だから。絶対に秘密にします。今回はもうラポルトのみんなには周知したけれど。子恋さんも『艦長室まで使うとなると、いっそ情報は正しく伝達させたほうがいい』って」


「わ、私も。ぬっくんとこうして寝るってなったのは死ぬほどびっくりしたし、さ、さっきまで足が震えてたけど。‥‥ラポルト内だけの秘密になるんだよね? ‥‥お仕事で万が一にも迷惑はかけられないから」


「それはそうよね。ふふ。まず『マジカルカレント後遺症候群』がそもそも軍事機密で、それで暖斗くんが『発症率100パーセントのものすごい能力者』ってのがトップシークレットで、今まさに『もしかしたら10時間程度で後遺症治っちゃうかも』、この治験が実現したら、驚天動地の事実だからね。たぶん国家レベルで最上級の情報保護がされると思うよ」


「そうだよね。と、いうことでひめちゃん。この秘密はもう漏れる心配をしてもしょうがないんだよ。僕らがどうこうってレベルを遥かに超えちゃったからね‥‥‥‥ふうぅ」

「ううう。わかったよ」



「あ、寝ちゃった? べびた~ん」

「なにそれ。べびたん? って、ぬっくんのこと?」

「うふふ」


「‥‥‥‥」

「寝ちゃいました。ぬっくん寝つきいいんだ‥‥」

「後遺症候群だからかな。ところで」

「ん?」



「ゆめさんって。モデルさんだからもっと、自分に自信があるのかと思ってたけど」

「ぜんぜん。ぜんぜん。私なんて」


「そう? 羨ましいけどな~。背も高いし、スラっとしてるし。手足長いし」

「ぜんぜん。ただ細いだけだよ」

「そんなことないよ。見てよ。このぷにぷにの二の腕」

「男子はモデル体型より、愛依さんみたいな感じ好きだよ?」


「おしりおっきいよ。はあぁ。自分でイヤになるもん」

「安産型だよ。それだって男子のニーズあるから」


「ウエストは? ほら。わたしこんなにぷにぷによ? ゆめさんみたいに細いの、うらやましい」

「でも私だって、『もっとヒップと太ももは痩せて来い』とか普通に言われてるよ」


「え~~。ちょっと見せて。え~~? これで太いなら、わたしはどうなるの? 見て。この太もも」

「でも愛依さん肌がとっても白いしキレイだし」


「血色が悪いだけよ。もう。どうしたらこんな細くなれるの。高身長にも」

「‥‥‥‥あのね。身長に関しては。私、コンプレックスなんだ」

「え~~?」


「あの時。小学校六年だったかな? ぬっくんが誰かに『将来の彼女像』訊かれて。『そうだなあ。自分より背が高いよりは、低いほうがいいかな?』って言ったことがあって」

「あ、もしかして?」


「そう。それ以来私、高身長なのがコンプレックス。中学になったらぬっくんのほうが高くなってるって祈ったけど、駄目だった。それでまきっちからで知ってたけど、ぬっくんよりまだ私、2センチ高いの。だから‥‥‥‥」

「もしかして。ゆめさんが暖斗くんと逢いたくても躊躇してたのは‥‥?」


「うん。タイミング外して逢いにくくなったのが半分。あとの半分は、身長」

「そっか。暖斗くんはそこまで考えてないとは思うけど」

「うん。わかってる。でも私は、恐くなっちゃって」

「うふふ。ゆめさんって。本当にいじらしいのね。笑ったら悪いけど」

「う、うん。そうかな? そうだね」



「ふふ。暖斗くん、起きないね。ミルク飲んだから。ふふ~、ねんねでちゅか~」

「こうやってぬっくんの寝顔見て、同じベッドで眠るとか。‥‥就航前の私が知ったら‥‥尊死してそう」


「さっきの過呼吸だってね? もう丸わかりすぎるんだけど、やっぱりゆめさんは、ね?」

「うん、好き。大好き。だって、もうそれ以外なんにも考えられない」


「そう。うふふ。いいな~。わたしは、医者になってたぶん結婚はしないから」

「え? あ、彼氏とかもいらない感じ?」

「どうかなぁ。まず医者になるのが最優先だけど、取りあえず今は、男の人と仲良くなるイメージは湧かないかも」

「もったいないよ。もちろん無理強いすることじゃないけど。愛依さんカワイイのに」

「ふふ、ありがと。私の理想の体型の人にそう言われるのは、素直にうれしいかも」


「ふふふ‥‥‥‥あっでも愛依さん」

「な~に?」


「胸。胸はけっこう愛依さんのほうが」

「そうかな? 普通よ?」

「C?」

「ううん、B。Cか迷ったけど」

「いいな~。私はぜんぜんだから。確かにモデル業だと胸はそんなだけど、グラビアやる子とかもいるし」

「え? ゆめさんもグラビア?」

「ううん。全部断ってる。今の事務所の方針だとグラビアは無いと思うし、私もイヤだし」

「そっか~。色々大変な世界ね?」


「愛依さんブラしてる?」

「してないの。お風呂上がりは着けない主義」

「やっぱり。でも今はいいけど、着けといたほうが形が維持できるよ?」

「うん。言われたことある。でも‥‥なんでかな? ‥‥お風呂上がりはどうしても」


「ちょっといい? うわ。愛依さん形が理想的だよ。一番いい形してる。愛依さんこそグラビア向きだよ」

「え~~? グ、グラビア」

「うん。張りも申し分ないし」

「や。ちょっとゆめさん。もっと痩せないと。グラビアなんて無理よ?」


「そんなことない。えっとね。一見真面目で保守的で、知的そうな清楚女子が急に服脱ぐほうが男子にウケるんだって。それはもう今までの膨大なデータが立証してるんだって」


「え~~。誰が言ったの~~?」


「事務所の社長。だから愛依さんもグラビ‥‥あっ! ‥‥思いついちゃった! 愛依さんには女医属性もある! 私確信した。これは売れるっ!」

「まさか」


「現役のJC女医が、スクール水着の上に白衣まとうの。あの、愛依さん用のジャケットみたいないつもの白衣!」

「え~~。おなかぷにぷによ~~っ?」

「ちょっと見せてっ!」

「きゃっ?」


「ぜんぜん大丈夫‥‥‥‥っていうか、愛依さんむっちゃ男子にウケるボディかも。色白だし、清楚だし、知的だし、ぷにぷにっていうけど程よいぷにぷにはむしろ正義。華奢で、でもお胸やヒップは肉付きいいし。‥‥‥‥ほら、ウエストだってもともと、骨格が細いから」

「や。ちょっと脱がさないで。暖斗くんが起きちゃう」


「大丈夫寝てるから。ほら、こんなに肌キレイだし」

「ちょ~っと~~っ」





(暖斗です‥‥一旦目を閉じて、寝ようとしていたら声で目が醒めただけです。‥‥不可抗力です。‥‥‥‥このまま寝たふりを続けるのは‥‥‥‥苦しいです‥‥‥‥)






※作者注

でも起きれません。

あと暖斗くんは「確かに愛依さんは、そういう需要あるかも」という意見に賛成です。


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