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第二部 第55話 異世界は空中戦艦とともにⅡ②






 そんな、元魔王領と各国をを往復する日々が続いて、二週間くらい経ったかな?


 ついにあのアルクトス国へと、出発する日が来たのです。

 パーティーは午後からだから、朝イチで出発すれば余裕で間に合う。



 だけど。



 ――愛依さんは――


 愛依さんのままだった。この数日、【召喚】って言うの? エイリア姫に入れ替われないか試したけど、ダメだった。そうなった時を想定して「愛依さんがエイリア姫に成りすます」案を練ってきたけど、ああ、心配だよ。


 こういう「成りすまし」って、バレずに済んだハナシって皆無だもんね。‥‥ソースはマンガだけど‥‥。



 向かう艦の中で、順番にお着替えタイムになった。


「じゃ~~んっ!」

「おお~~!!!!」


 祝勝会用の、お貴族様風なドレスだよっ! 女子のテンションは上がる!


「いかがでしょうか? 皆様のご要望に沿う形でご用意致しましたが、何か追加やご変更がある時にはお申し出くださいませ。できうる限りお客様のご希望に沿わせていただきます」


 いや泉さん。結婚式場の衣装係みたいになってるよ。


 しかし、この異世界でこんなドレスを用立てるなんて。


「イズミ商会作っといて良かったわ~。毎度あり」


 ん? 泉さん、何か言った?





 そして女子でも見とれたのが、水色(スカイブルー)の宝飾豊かなドレスだった。


「愛依‥‥!」

「こんなの着れるなんて。夢みたい。ごめんねみんな」

「いやいや。逢初さんはつまりエイリア姫なんだからね、うん。我々と同格ではおかしくなるから」

「よく似合ってるわ。逢初さん」

「ぬっくんも見とれてるゼ☆」

「うっさいな麻妃」

「否定はしないのな。‥‥‥‥ひひひ」


 私はぬっくんを肩で押す。


「ほらぬっくん。愛依さんにちゃんと『キレイだよ』って言わないと」

「ひめちゃんまで。‥‥なんだよもう‥‥」

「ちゃんと言わなきゃだめなの。聞いたよ。ぬっくん小さな結婚式(ミークロガモス)の時にちゃんと告ってなかったって」

「麻妃のヤツだな。大きなお世話だよ」

「それは責めてないから。ほら、ぬっくん」

「わかったよ‥‥‥‥」

「え? なんで私を睨むの? なぜなぜな~に?」


「愛依にはちゃんと言うよ。後で。‥‥でもひめちゃんだって‥‥その深紅(クリムゾン)のドレス、‥‥す‥‥すっごい似合ってるんだからね!」


 そう言い捨てるとぬっくんは、どこかへ行ってしまった。

 私は立ち尽くす‥‥‥‥。


 いやさ。私だってドレス着てるけれども。え?



 ひょえ!?


 ひょえええぇぇ!?!?




 ***




 アルクトス国、王都空域に到着。さすが大国だけあって、王都も宮殿も大きいよ。


 街の北門から2キロ離れたところにラポルトを降ろすと、アルクトスの人とグラロスの人が迎えに来てくれた。その人たちに警護されながら、コーラ姫と一緒に入城だよ。


 コーラ姫は黒を基調にしたドレスだった。ただデザインも斬新で落ち着いた感じとかじゃなくて。若い子が着る用って感じだったよ。



 私は周囲を見渡す。


 ここは街の大通りへとつながる王城の一角。大きな広場みたいなところだった。


 他の貴族さんとかも続々と馬車から降りてるから、迎賓館かバスターミナルみたいな施設かな?


 そんなガヤガヤした空気が、一瞬で変わった。


「おお!」

「これは‥‥何とも‥‥」


 愛依さんが馬車を降りたから。


「なるほど。アトミスの子倅(こせがれ)が熱を上げるワケだ」

「それで人類同盟に亀裂が走った。魔性とはあのことよ」


 ギリ聞こえる感じで、よからぬ声も聞こえてくる。


「さ、姫。そうだなあ。エイリア姫の白いドレスは、『着こなしてて似合ってる』って感じだけど」


 姫のエスコートは、タキシード姿のぬっくんだった。


「僕はこの、水色(スカイブルー)がいいと思うな。なんか初々しいし」




「そんなこと言われたら、恥ずかしいですわ」




 ‥‥‥‥愛依さんはノリノリだった。しかもテンプレなお姫様口調。

 ‥‥‥‥どした? ハナシ聞こか。愛依さん‥‥‥‥。


「だって。急にお姫様の話しかたなんて。わからないもん」





 広場から会場へ。


 色とりどりのドレスが、一斉にしずしずと歩く。17人だと壮観だよ。


 人が密集してきた。警護してくれてるグラロス兵の表情が明らかに変わったよ。

 少し不安になってきたので、前を歩く渚さんに訊いてみる。


「私たち、ラポルト乗っ取り勢に全員暗殺されたりしない?」

「そうね。魔王が健在だから殺さないんじゃない? 私だったらまだやらないわ」


 恐いんですけど。「私だったら」、とか「まだ」って。


「だって今全員殺したら、ラポルトの所有権でモメるでしょ? 友誼を結んでいたエリーシアか、基地提供のグラロスで動かせる人、動かしかたを教わった人がいるかもしれないし。私がアルクトスの王様だったらまだ生かしておくわ」

「‥‥‥‥」


 ああ、訊く人間違えたかも。同じ附属中三人娘でも、子恋さんと渚さんは微妙に視点が違う気がする。

 ああ、残りひとりの紅葉ヶ丘さんは、例によってラポルトでお留守番だよ。





 大広間。シャンデリアが豪華な中世欧圏風。

 ザ・異世界、ってカンジ? 私はそんな詳しくないけど。



 数段高いところに玉座があって、アルクトスの王様がどで~んと座っている。45歳くらい? そこから二段低いところが少し広くて、そこに司会の人がいて、色々仕切っていたよ。


 まず王様からの挨拶があって、司会の人が戦功を読み上げて、名前を呼ばれたら壇上に上がる段取りみたい。何か卒業証書授与式みたい。

 ひとつ違うのは、校長先生にあたる王様がさらに高いところに座って、私たちを見おろしてるってところだけど。これって?


「まるでアルクトス王が、部下の論功行賞をしているみたいな形ですね」


 春さんも少し呆れていた。そっか。ラポルトには友好国はあっても、国家とかではない。

 純然たる戦力、「ただの戦艦」だから、いくら戦功があってもこういうところで主導権を取られちゃうんだ。エイリア姫不在の不利が、身に染みてわかったよ。



「次、戦艦ラポルトの諸君!」



 この世界で反則級の性能を持つラポルト。単独で四天王を撃破した戦果を持つのに、呼ばれたのは五番目くらい。コーラ姫の後だった。


「「うん」」


 みんなで目を合わせて、馴れないドレスの裾を気にしながら。





 壇上へと向かう。





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