表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
431/521

第二部 第42話 浮上③






「さすがひめちゃん! きっといいお嫁さんになるよ。塩加減とか、ホントに絶妙なんだよ」


 マジでもう死んじゃうんじゃないか? ってくらい私は、ぬっくんの言葉で満たされていく。


 やめて。それ以上言わないで。でももっと言って。やめないで。


 生きてて良かった。異世界転移バンザイ。バンザイ!



 とは言え、春さんも鶏肉料理を作ったよ。実はコーラ姫は、異世界風の(正確には春さんの異世界での実家の地方の)あの甘塩ナナメ上味付けが好みなんだって。なんか以前食べた気がするんだって。


 こんな話があると、いつもの私はちょっとモヤっとしたりするんだけど。

 ふっふっふ。ぬっくんに褒められてライフMAXの私は、1ミリも気にすることはなかったよ。




 ***




 そんなワケでけっこう楽しく、みんなで朝ごはん食べてたんだけど。




「ああ、そうですか。姫様が休眠中なのをいいことに、好き放題ですね」


 春さんのひと言で、場の空気が変わったよ。「なぜなぜな~に?」と問うまでもない。これは、この春さんの反応は。


「敵ね?」

「ご明察。ゆめさん」

「どうして?」

「この山はカミヒラマの領内です。ダンジョン守護のため、カミヒラマの国軍が魔石を各所に設置してあったのです。紘国の防犯カメラのようなものです。そして、その魔石と【リンク】していたのは‥‥」


「うん。エイリア姫だったんだけどね。愛依さんと入れ替わっちゃったから、仲谷さんに代わってもらってたんだ。早速来たね‥‥もぐもぐ」


 子恋さんがそう言いながら、残りの朝ごはんを急いで口に運ぶ。


「みんな、所定の配置について。第三種戦闘配置よ」


 第三種‥‥! えっと確か、私はぬっくんとDMTデッキでスタンバイだったよ。


 あ、でも? この艦DMT未搭載なんですけど? 私、やることナシ?


「みんな聞いて。ラポルトは今から浮上して地上へ出ます。そして敵、恐らく魔王軍を迎撃します。その時に若干、『特殊機動』をするかも。だから所定の席で体を固定して欲しいんだ」


 この「特殊機動」って、例の潜空艦ラポルトの、だよね。重力子回路を使って音速で移動するヤツ。

 確かにイキナリ実戦で不安じゃないといえば嘘になる。


 失敗したら、つまり移動の時のGを殺すことをしくじったら、戦艦の加速度で乗組員はみんな壁に叩きつけられるからね。音速で。

 そりゃ、所定のシートでちゃんと身体を固定しとかなきゃだよ。


 メンテ三人組は整備デッキに行った(そこが一番落ち着くらしい)けどDMTも無いし、結局みんな、艦橋(ブリッジ)に集まって来た。

 ラポルトはAI自動運転艦。もともとの触れ込みは「素人中学生でも動かせるよ?」。で、そのデモンストレーションだったのが「ふれあい体験乗艦」だった。


 ラポルトの真の性能を隠すためのカモフラージュだったけど、自動運転がウリなのは嘘じゃないもんね。

 と、言うワケでこの艦は、附属中三人娘と舵取りの泉さんだけで操艦できるんだけど。でもやっぱり超巨大艦の艦橋(ブリッジ)なので、席はたくさんあったよ。パイロット組と折越さんだけど、思い思いのシートに座った。


「で、どうやって出んの?」


 KRMの操縦ブースからまきっちが顔を出す。


「主砲を使うんだよ。うん。この洞窟の天井を吹き飛ばして、作ったその穴から出る。一点突破型の収束砲(ラテラル)だ」



 なるほど。確か一本の線状にビームを束ねて撃つのが「収束砲(ラテラル)」、お風呂のシャワーみたいに散弾でまき散らすのが「拡散砲(バーチカル)」だよ。

 敵にダメージを通したい時にはラテラル、面制圧したい時にはバーチカル、って感じみたい。


 で、収束する度合いは「%」パーセントで表される。その基準が出来上がった当時の最高収束率を100%、としてるから、さらに技術が進歩した今は、1000%とか2000%とかで表記されるよ。

 見た目同じ太さのビームでも、収束率が10倍ならエネルギー密度もそうだから、威力も10倍ってことになるよね。


「天井の岩盤を吹き飛ばして、この艦が通れる穴を作る。でも、細かい岩や破片が落ちてくるから副砲でさばくんだけど、全部はね? だから撃った後、一瞬でヨコに逃げたいんだ。そのための機動」



 なるほど~~。でも、魔王軍? 


「私たちがこのダンジョンに入ったのは、察知されていただろうね。そして何かしらの新戦力を得ることも。だから、その力を見極めるための威力偵察(スカウト)だと思うよ」


 なるほど。子恋さんの見立てにうなずく。


 と、同時に、疑問も湧いた。


「ねえ子恋さん。穴から出る時、艦橋とか狙い撃たれない? 出る瞬間って結構無防備な気が?」


「そうなんだけどね‥‥。吹き飛ばず予定の地面は、もう測量済で警戒線張ってあるんだよ。人が入らないように。この辺はカミヒラマの国土だからねぇ。今さら変更できないし」


「ラポルトって潜空艦でしょ? 地面の中を、ずずず~~っってゆっくり進んで、敵が気がつかないところでゆっくり浮上したら‥‥?」


「え!? この上岩盤よ? 無理だわ!」

「姫の沢さん、いいかい? ラポルトの潜空艦能力を支えるのは、外部装甲に貼ってある26129枚の重力加速度遮断材なんだ」

「だから、それが1枚でも剥がれたらアウトなんだよ? なのに地面の中を進む? ダメだよそんなの!」



 附属中三人娘に、三人がかりで。うう。





 強めに否定された‥‥‥‥!






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ