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第二部 第42話 浮上①

 第42話 浮上①





 ぬっくんから、コーラさんがラポルト退艦式の記者会見で大暴れした話を聞いて。


 コーラさんを彼が「危険生物」と認定しているのに納得。


 ついでにあの時みなと市に襲来した敵についても教えてもらったよ。そっかあの時ぬっくんも出撃してたのか~~。スゴイね!!


 ‥‥あれ? ‥‥あの後敵ってどうなったんだっけ? 確か私舞台の稽古か何かでみなと市に居なかったんだよね‥‥まあいっか。結局街もぬっくんも無事だったんだし。うんうん。



 そして。


 コーラ姫と、そのコーラさんが同一人物なのか? 手がかりも無いまま私とぬっくんの艦内哨戒は終わった。

 結局異常無しだよ。‥‥‥‥あっ、タコ魔物いたけど。


「お疲れ様。先に食事にして」


 子恋さんにそう言われて1F食堂へと。附属中三人娘はラポルトの基本設定打ち込みで、後で食べるんだって。


 食堂へ入ると、もうみんなが先に集まっていた。。


「お、来た来た。まあ座れ」


 まきっちのいる席へと誘われ、私とぬっくんは腰を下ろす。4人掛けのテーブルのそこには、愛依さんもいた。

 あ、これは。厨房まで食事を取りに行って、そこで配膳されたのは、旅人がこの世界でよく持ち歩くような保存食、堅パンや干し肉だった。


 ん~そっか。ラポルトが近代戦艦だとしても、まだ食材が無いか~~!


「どうぞ」

 さらに春さんが、あったかいスープを持ってきてくれた。でもこれも、冒険者がよく使う、沸かしたお湯に固形のスープを溶かすタイプだよ。


「止む無きこととはいえ、夕食に供する予定だったタコ魔物が、魔石になってしまったので」


 うぐぐ。言い返せない。知ってたらあのタコやっつけなかったし。


 みんな試練のダンジョン攻略でお疲れなのか? 食べ物に含むものがあるのか? 静か目の食事風景だったよ。目の前の愛依さんも医務室に引きこもってたし、おとなしい。


「ひめちゃん? どこ行くの?」


 私は春さんの後を追って、厨房へ入る。実は私、ココの調理機器の研修受けてるんだよね。正直、異世界出身の春さんより、紘国ネイティブの私のほうが使いこなせると思う。


 ふむふむ。けっこう憶えてるよ。私は春さんの割り込みが無かったら、本来ラポルトの「特別枠」で受かってたからね。実際に働く想定で調理担当の研修(レクチャー)受けてたよ。


 春さんが機器を使わず(使いこなせず)、「ひとり人海戦術」で三度三度のゴハンを作っていたんだけど、本来ラポルトの調理は「スーパー時短でスーパー美味しい」、「そして全自動調理の限界突破へ」が基本コンセプト。

 ラポルトってその正体は「空に潜む潜空艦」だから、ガチで敵地の空に数ヶ月、潜んで静かにしてることまでも想定してる(でもこれはガンジス島戦役の後にまきっちから聞いたことだけど)。


 だから、艦内のアメニティは「戦艦か!?」ってツッコまれるくらい充実していて、お料理もそのひとつ。

 生野菜は品種をちゃんと打ち込めば洗浄、カット、保存、下ごしらえまでやってくれるし、冷食をチンしたり火にかけるだけ、でも十分に美味しい。


 だから私は、調理係とパイロット、――ぬっくんの前衛職との両立ができるハズだったんだけれど。



「う~~ん。サラダ油も塩コショウも無いか~~。じゃあ冷食も‥‥そりゃあね‥‥」


 各ストッカーを見てみたけれど、予想どおりというか、私たちの世界の食材は入って無かった。まあ、ダンジョンの奥で長い眠りについてたんだから、あたり前か‥‥。


 この夕ご飯は、私たちのバックアップで随行してたカミヒラマの医療部隊さんと、例のコーラ姫が用意してくれてたらしいよ。子恋さんの段取り。


 でも今後を考えると異世界産でいいから、色んな食材が欲しいところ。私がここの機材をフル活用できれば、紘国に近い食事ができるハズだよ。



「その辺のことを特に、コーラ姫さんがやってくれるそうだゼ☆」


 席に戻ってからのまきっち情報。姫の治める国は緑豊かで、そこで採れる農産品を提供してくれるんだって。それで早速乗り込んできたのかな。


 その代わりに姫様の国の防衛を、このラポルトがお手伝いする、か。


 まあどうなるかはわからないけど、この戦艦が空飛ぶんなら、この世界では無双しそうだよね? 魔王とかも倒せちゃう?



 その後、附属中三人娘が降りてきたから、部屋の割り当てとかを相談したよ。みんなは元あった部屋で、新参の私も2Fの空き部屋をもらった。ぬっくんは3F。

 ちなみに愛依さんも元居た部屋だけど、エイリア姫に入れ替わったら4Fの士官室に移っては? だって。その時は春さんもプリンセスガードで4F行き。


 この艦の食事係はメインが私でサブが春さん、になったよ。春さんは本来は姫様のお付きだからね。そこまでミーティングしてお風呂と自由時間になった。



 お風呂。


「タコもういないよね? いないよね?」


 予約表で遅い組になった愛依さんと、ほぼ一緒に入った。彼女はタオルで胸を隠しながら、しきりに魔物を警戒していた。


「だって。この世界の魔物ってわたしに何かえっちなことばかりするんだもん。植物でも動物でも」

 反論できない。それはもう「愛依さんにヒロイン属性があるから」としか。



 そして自室へ。


 おおう。ラポルトのベッドムチャクチャ寝心地がいい。まきっちから聞いた通り「ちょっと良さげなビジネスホテル並み」だよ。快適~~♡

 渚さんが「このラポルトは洞窟に眠っている間、時間の進みが遅くなる魔法がかかっていた可能性が高いわ」って言ってたな‥‥。むにゃむにゃ。



 まあ異世界が、野宿デフォだった、それに慣れ過ぎてた、ってのもあるんだ‥‥け‥‥ど‥‥ね‥‥‥‥。




 むにゃむにゃ‥‥‥‥。






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