表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
418/521

第二部 第41話 乙女Ⅱ②





「いや‥‥僕の目は誤魔化せないぞ。‥‥アマリアの女子は、初対面の男には作ったキャラで来るから‥‥」


 あごに手を当てて思案顔のぬっくん。‥‥‥‥何のハナシ?


「咲見さん。このアーフィリア女王は、海を越えた大陸、そこにあるグラロスという国の女王様なのです。今回この空中戦艦が起動するにあたり、主に食料などの資材面で、援助を申し出てくださった方なんです」


「え? 春さんっ! この人コーラと瓜二つじゃん。だったら‥‥」


 私もそう思った。私は直接面識はないけど、名前が同じで容姿がまったく同じ!


 この「コーラ女王」とあっちの世界のアマリア村の「ラポルトで一緒に戦ったコーラさん」は同一人物だよね。

 もちろん、エイリア姫と愛依さんみたいな感じで、って意味だよ。あっちの世界の愛依さんとこっちの世界の人で、別人なんだけど遺伝子とか色んな意味で「合わせ鏡」の状態、ということ。

 この「エイリア姫イコール愛依さん」ってのは最重要機密だから、あまり大きな声では言えないけれど。



「ああ、失礼を致しましたコーラ女王様。どうやら咲見さんは、転移前の世界で貴女にそっくりな女性をご存じのようです」


 春さんは、「女王様」にそう答えた。‥‥そっか。これは春さんにハナシを合わせたほうが良さそう。


「まあ、エシスで? それは興味深いですね。イディアとエシスは鏡写し、表裏一体の世界。全く同一としかいえない方が、あちらにいてもおかしくないそうですね? それにその方同士が何らかの【リンク】をしていることもあるとか。あちらの世界の私。逢ってみたいわ」


「‥‥失礼しました。‥‥そうなんです。てっきりアイツかと」

「私も動画で見たことしかないけど、本当に瓜二つで。思わずその人かと思っちゃいました」


 姫様に、ぬっくんと一緒に「取りあえず謝っておく」作戦。



 私は、このコーラさんの顔を知っていた。もちろん私の代わりに人型兵器DMT「テオブロマ」に乗った人、ってこともあるけど。

 ぬっくん達が「夏休み戦争」を終えてみなと軍港に帰ってきた時、彼女、コーラさんもラポルトに同乗していた。

 その後、軍港で退艦式や記者会見をやったんだけどさ。



 彼女はその会場にいて、軽く大暴れをしたんだよね。



 ひな壇の出席者、つまりぬっくん達は未成年だし、個人情報保護もあって顔出しNGだったよ。声は加工されて画面上の見た目もアバターに置き換えられてた。


 でも、記者席の後ろにいたコーラさんは、式に出席する予定もないしそういう準備も一切無かったから、カメラに素顔が映っちゃったんだよね。まあ本人が気にしなかった、というか積極的にフレームインしていったんだけど。




「いえいえ。無理も無いことです。‥‥では‥‥また後ほど」


 コーラ女王は、ゆっくりとお辞儀をして脱衣所を後にした。それに春さんが付き従う。廊下には、姫の随身みたいな人が数人待機していたよ。全員、例の民族服の女性だった。



「いや~~。びっくりしたね」

「いきなりコーラさんだもんね」


「アイツ、本当に別人なのかな‥‥‥‥」

「でも、そういう感じだったよね。初対面って言ってたし」


「う~ん。まあどっちだったとしても、他国の姫様にタメ口ってわけにはいかないか。向こうや春さんに合わせるしかないよね」

「そうそう。もし同一人物とか、コーラ女王とコーラさんが入れ替わるキャラだったとしても、私たちは普通にしてるしかないよ。春さんだってラポルトでコーラさんと会ってるんだよね?」


「そうだよ‥‥あ、そっか。‥‥もしあっちの世界と関係性があるんなら、春さんはとっくに知ってるハズか?」



 腕を組み、考え込むぬっくん。



「しかし、アイツが女王様だと! ‥‥むう‥‥むうう」


 ものすっっごい、釈然としない感じのカオだった。




 ***




 ちなみにお風呂に浸けてあったあのタコ魔物。春さんに「貴重な食材が~~」って言われた。

 でもこのタイミングでコーラ女王が物資を差し入れてくれたから、夕ご飯のおかずが一品減る、みたいな事態にはならなくて済んだよ。


「僕が尻尾を掴んでやる‥‥! アイツがあんなおしとやかなワケ無いし!」


 妙にこだわるね。ぬっくん。

 意外とコーラさんと相性良いんじゃないの? 女子の勘だけど。


 女王様と取り巻きの御一行様は、居住区4FのVIPルームで休むそうな。

 一応、今はぬっくんが私を艦の案内してくれてる態だから、様子見に4Fに行くことにした。さっき行ってきたばっかなんだけどね。


 あ、子恋さんが私たちに「艦内の安全確認を」とか言ってたのも、桃山さんがそれが完了すると同時に4Fのトイレ掃除始めたのも、もしかして?


 コーラ女王様御一行が4F使うからだよね。きっとそうだよ。



 ぬっくんとこっそりエレベータに乗る。目指すは4F。


「ねえ。ぬっくんはなんでコーラさんにこだわるの?」

「別にこだわってないよ。アイツはゼッタイ素のキャラを隠してるから」


「ハシリュー村の露天風呂に一緒に入ったから?」

「‥‥げっ‥‥ひ、ひめちゃん何でそれを!?」


「大丈夫よ。不可抗力だって聞いたし、ぬっくんは紳士だったって信じてるよ?」

「‥‥そりゃどうも」


「私の『テオブロマ』を、私の運用思想そのままに使ってくれたって」

「それは認める。コーラの前衛役は即席とはいえ、ちゃんと機能してくれた。なんか変なセリフ口走ってたけど」

「‥‥‥‥(へ、変なセリフ? ‥‥ま、まさか‥‥ね‥‥?)」



 なんて言ってる内に4Fに到着。


 でも皆さん、さっさと部屋に入ってもの静かだった。私たちは魔物がいるか見廻る態で廊下をウロウロして、ただの不審者だった。客観的になったぬっくんは、すぐに「もう帰ろう」って言い出したけど、私がねばったよ。


 だって。ぬっくんの腕を掴んで廊下をおそるおそる歩くの、ドキドキしてちょっと楽しかったんだもん。けど。


 結局コーラ女王の情報を得られずに、無念の撤退をしました。



 帰りのエレベータで私は訊く。


「でもコーラさん。なんでそんなにぬっくん的に、信用ないの?」


「じゃあ話すよ。ひめちゃんも動画とかで知ってるよね。切り抜き動画じゃなくてその前の経緯からちゃんとさ。あの、ラポルト退艦式後の記者会見で‥‥」





「‥‥アイツが大暴れしたハナシ」





※次回からしばらく(というかようやく)、第一部のお話に戻ります(なんかすみません笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ