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第二部 第26話 泉花音Ⅰ② 第一部で目立たなかったキャラが第二部デビューってありですか? あ、それ私のことか。

 





 私が市場(いちば)まで走る役を買ってでた。泉さんは何回も謝ってた。


 まあお互い久しぶりなんだし、泉さんがそんなにじゃんじゃんお金使うとか予想できないし。誰も悪くないよ。


 市場へ来てみると、夕方の時間帯だから人は多かった。スーパーの混雑と同じだね。


 で、私はまきっちのトレードマーク。赤い帽子を探す。‥‥たぶんだけど、まきっちはこういう時出来合いの物、お弁当とかを買う傾向にある。簡単に済ませようとする。


 そして春さんも、それに同意しそうな気がする。


 と、推理して総菜とかお弁当屋さんを見て回ったら。



 ふたりを見つけたよ。よかったまだお弁当買って無かった~。

 それで、その足で夕食へ――そのままギルド横のレストランに向かった。





「へえ。ここがVIPルームかあ。僕は初めて入ったなあ」


 うん。ぬっくん。庶民同士仲良くしようね? まあミナトウ村自体がそんなに都会ではないから、ギルドもそのVIPルームも豪華ってほどでもないかもだけれど。


 最大15人くらいは入れる個室に9人の中学生。円形のテーブルにこの世界ではあまり見ない高価そうな布がかけてあって。

 陶器のお皿も模様が洒落てる。あ、銀食器だ。


 出てきたゴハンは美味しかった。一番高いコースだったのは後で聞いたよ。‥‥‥‥一体いくらしたんだろ?




 それから、ぬっくんハウスに一旦戻って、村の反対側、例の空き家に泊まった。メンバーは私とまきっち、ぬっくん、それに初島さんと来宮さん。

 小屋敷小学校トリオとスポ中コンビって言ったほうが早いかな。


 で、あっちのぬっくんハウスに残ったのは、姫様、春さんと。泉さんと折越さん。


 例によって泉さんが、色々姫様と話があるんだってさ。逃亡中とはいえ、やっぱ一国のお姫様ともなれば、色々といそがしい、のかな?


 みんなで布団に入ってトークに突入。


 話題は「泉さんは一体何者?」。


 あ、お布団が空き家に据え付けの物しかなかったから、これまた泉さんが新調してくれてた。後日届くとのこと。



 あ~。春さんとの旅も、ぬっくんハウスでの生活もお金に余裕があったわけじゃなかったから。泉さんが来てからなんか金銭感覚がどっか行っちゃいそう。


 ちなみにぬっくんの左右に私とまきっちが寝て、その反対側に初島来宮コンビだよ。



「大丈夫。ぬっくんはふたりに変なコトしない、させないから」

「ウチも見張ってるゼ☆」


「しないよ! 毎日女子と同部屋で寝起きして、これでも気使ってんだから!」


 必死に抗弁するぬっくんを囲んで、みんな笑顔だった。



 そして語られる泉さんのこと。――って、みんなあまり彼女のことを知らないらしい。もちろんラポルトでは交流はあったんだけど、さ。



「ふれあい体験乗艦」には「操舵手枠」で選出。周防中学。

 みなと市の、民間港のほうにある大きな企業の、創業者の孫娘。

 さらに社長令嬢でお金持ち。

 それ以外は特に普通の女子中学生。

 なんだけどその落ち着いたルックスと大人びた物腰は、どうみても20台後半。

 それを本人は、意外と気にしてるらしい。

 乗艦中は春さんと一番仲が良かった。

 附属中3人娘の悪だくみを、艦橋で盗み聞いて楽しみにしていた。

 大型船舶の免許持ちで、艦の舵はほとんど放す事はなかった。


 ――と。



 出てきた情報はこのくらい。ラポルト乗艦中は、あまり目立たないキャラだったと。



 この異世界に来ての適応の速さや商売繁盛ぶりは、ラポルト勢も予想外だって。



「あ、でも各地で変な紙を配ってたっス」

「紙? 各地ってその、交易で訪れた村々?」

「そうそう。泉さんは『ギフト券』だって言ってたよ。たまに金貨と交換したり」

「もしかエリーシア金貨? ウチらのお金で1万円ぐらいだゼ☆」

「僕らだと、大物魔獣倒さないと、金貨なんてなかなかねえ?」


 そんな、現代的な印刷技術もないこの世界で? 紙に何を書いたら金貨になるの?


 さっぱりわからない。なぜなぜな~に? まるで魔法だよ。


 交易ってそんな儲かるのかな? それに同行したことがある初島来宮さんも、よくわからないって言ってた。

 ふたりはたまに声をかけられて、荷物持ちや警護をしてたみたい。「魔獣討伐クエストと行き道が一緒だから、じゃあ」くらいだって。


「ウチにもくれないかな~。その紙。タダで☆」

「麻妃~ダメだよ。新品の布団来ちゃうのに、そんな何から何まで泉さんに寄っかかっちゃあ」

「ぬっくんはマジメだな~。オンナは貢がれてナンボだゼ☆」

「同姓にたかってどうすんのよ~~?」




 そんなトークの中、突然私は閃いた。


「わかった! お(フダ)だよ。魔除けのお(フダ)!」




「え? ひめちゃん!?」

「どした? 急に」


 驚くぬっくんとまきっち。呆れる初島・来宮コンビ。


「‥‥‥‥姫の沢さん? 私『ギフトカード』だって言いましたよね‥‥?」

「言ったっスよ~」





 ああ、思いつきを口に出しちゃった。やらかした‥‥‥‥‥‥。





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