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第二部 第25話 ねえ教えて。【必殺技】のルビの横文字って、一体いつ誰が名付けてるの?①






 えっと。肘や膝に、革製の防具がついた冒険者風のパンツルック。

 初島美羽(はつしまみう)さんと来宮櫻(きのみやさくら)さん。

 

 商人風のゆったりしたいでたち。ワンピース姿の泉花音(いずみかのん)さん。


 そして~~。大胆かつ無意味にふとももとおへそを出してるのが、折越(おりこし)ちなみさん、ね‥‥‥‥! スカートも短い!



 旅装といっても、各自ちゃんと着こなしてるのよ。そのへんは女の子。


 向こうも驚いてるみたいだった。こっちへ駆け寄りながら。


「え? 待った? 逢初(あいぞめ)さんっス」

「でも今はお姫様だって」

「奇遇ね~~。あら。(やよい)さんも」

「暖斗くぅ~~ん! ちなみにちなみは元気よぉ!」


 口々になんか喋ってる。負けムード撤退モードだったのが、一気ににぎやかになったよ。



 取りあえず今は戦闘中。挨拶もそこそこに4人に状況を伝えた。すると泉さんが。



「‥‥行けるかしら。美羽さん」


「やらせて。復帰戦にはちょうどいい」

「私も当然やるっス」

「ちなみは見てる人~」


 なんだか初島・来宮の「フェンシングペア」参戦で決まったみたい。そのふたりが前衛につき、残りがエイリア姫の後ろに立つ。‥‥けど、あれれ?


「私は魔力量が少なくて。土魔法も攻撃用は苦手なの」

「ちなみは射出系の魔法ないし~~」


 泉さん折越さんは――――立ってるだけ?


 と、びっくりする私に、泉さんが弁解した。


「あ、あなた姫の沢ゆめさんね。ごめんなさいね。ただ、対魔物だったら、あのふたりはスゴイ【固有スキル】持ってるわ。当たりスキルよ」



 そのふたりが、私と春さんより一歩前へ出た。


「【無敵の矛(パーフォレーション)】!」

「【無敵の盾(リミネラリゼイション)】!」


 初島さんの右手に光りかがやく矛、来宮さんの左手に煌めく盾が出現する。黄金色!


 うわ。武器創生スキルだよ。しかも仲良しコンビに攻防一対で発現してる。


 そうか! ラポルト16の病院攻防戦で、このふたりは人型兵器(DMT)の片方ずつの腕をやられても、こうやって破損した部分をカバーしあって。

お互いをフォローして戦ったんだよね。動画見たよ。


 そっか~その再現か~。初島さんの右手の矛が攻撃、来宮さんの左手の盾が防御。ふたり合わさって息のあった攻防をするんだね! とひとりで納得していたら。



 違った。



「「【リンク】!!」」



 ふたりが空いた手でハイタッチをする。



 うおおおお!?


 それぞれの空いた手に、矛、盾、が発現する――!? ああ~~!!??


 気がつけばそれぞれ両手に一対の矛と盾を装備していた。ふたりともに。



 そうなのよ。この世界には【リンク】があった!! そしてお互いの相性、絆が太いほどお互いの能力を満額でトレースできる!


 【リンク】!! まさにこのふたりのための能力じゃないの!




「いくよ? 櫻」「‥‥っス!」


 2つの盾が中段に構えられ、2本の矛が敵に狙いをつける。


 ふたりはヘクトアロペクスの群れに吶喊(とっかん)した。


 金色に光る盾で爪牙を受け、まばゆいばかりの矛で敵を突き伏せる。


「一撃!?」「マジで強いな」


 思わず声が出た。まきっちも驚く。


 手強い大型魔獣を、難なく駆逐している。しかも剣技が秀でていて、ふたりの連携が凄まじい。――どうやら釣り役と決め役を高速で交互に入れ替えているらしい。


 フェンシングの動きなのかな? 腰を落とした形で前後に入れ替わりながら、機を見て一瞬で間合いに踏み込んで、急所への刺突。


「私も子恋さんの【君の名は(ダイヤグノーシス)】で見たわけではないので」


 と姫様が前置きした。


「あくまで、魔力の流れをひも解いた推論です。あの2つの武具は同質のモノ。魔力消費を担保に細かい破損修復をしています。壊れない矛盾(ほこたて)ではなく、高速で修繕(リペア)している武具なのです。火力や防御力を維持するために」


「やっぱりあのふたり、スゴイや。僕も【リンク】したいなあ」


 あっさり攻撃が成功しているように見えるけど違う。初島さんが右足で踏み込むと同時に、鋭く矛を繰り出す。カウンターがあれば来宮さんが盾で防ぎ、無ければ彼女の矛も追撃する。体躯の正中を貫かれた魔物が、あっけなく光になって消えていく。


 来宮さんの持つ矛は【リンク】で初島さんから複製したモノだけど、威力でオリジナルに遜色ない。初島さんの盾もそう。ふたりの心が通じてるから、これができるんだ。


 一心同体。フェイントや予備動作で生んだ隙をあるいはふたりで加撃して。あるいは片方が受け役になって。



「盾も矛も、DMTの装甲に近いよ」


 ぬっくんが少しうわずりながら呟く。――私もラポルト候補で研修受けたから知ってるよ。

DMTの樹脂(よう)装甲素材S-HCR―N(シュクルン)は、空気中の窒素を取りこんで、戦闘中だって自動自己修復する。これと似た仕組みなんだよ。


 ヘクトアロペクスの爪牙が当たって削れても、その盾は、使用者の魔力で少しずつ耐久値を回復させていく。矛もそう。鋭利な刃先が何度も再生していくんだよ。

これは敵に回したら厄介な武器。



 そうやってスポ中コンビが魔物を倒し続けていると、地響きのような大きな足音。

 ひときわ大きなヘクトアロペクスが出てきた。


 通常で2メートルくらいの大きさの魔物、それでも街道に出現するにはびっくりするくらい大きかったけど、これは。


 ざっと3メートルくらいあるよ。となりのヘクトアロペクスが肩くらいまでしかないもん。



「この群れのボスでしょうね」





 姫様が言った。






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