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第二部 第19話 茶飲み話だよ。みんな集まれ。Ⅱ②

※前回「週イチで投稿します」と宣言しましたが早速撤回。

 ‥‥‥‥第二部だけでストックが46話(今現在)。週イチで投げたら1年経ちまする。

 それに第一部第4章も入るし。‥‥なので投稿スピード上げます。

 





「‥‥こうしてわたしは何度も(やよい)の【催眠】を借りています。あちらの世界でゼノス王子に行動制限を課したように。【催眠】は元来この、春の【スキル】なのです」


 姫様と仲谷さん主従(コンビ)の衝撃の告白!



 私たち転移組は、全員もれなく「ほえ~~」と言うしかなかった。

 だって唐突なんだもん。頭の整理がつかないよ。


「ちょ、ちょっと待って?」


 この中で、最速で情報を処理できたのは、桃山さんみたい。


「ゼノス王子、って、あっちの世界の『ツヌ国の情報将校ゼノス氏』で、ハシリュー村で逢初さんを尋問した人よね?」


「そうです」


 姫様はすまし顔。


「それで、逢初さんは最後気を失って『記憶が無い時間帯があった』って聞いてるけど?」


 浜さんも参戦する。

「そ、そうだよ。『アイゾメ・レポート』に詳しく書いてあったし、逢初さんはその間の記憶が無い時間帯のせいで、自分の身体が、だ、大丈夫なのか、苦しんでた」


 うん。私も経緯は聞いてる。結局愛依さんはキチンと身体検査をして「敵兵のDNAの付着無し!」で決着はしたんだった。

 でももやもやするよね? 女の子なら。記憶が無い間、敵兵が何してたか? 次に目覚めたのが村の外だったんだから。


「もしかしてその空白の20分は、姫様の意識が起動してたってこと? それで合ってる?」



「そうです。ゼノス王子は、愛依さんを手籠めにしようと、まさにこの肌に手を伸ばしていました。なのでやむなくわたしが」


「「や~だ~ぁ!!!」」


 思わず悲鳴を上げた。女子全員で!


「こういう場合を『グッジョブ』と言うのでしょう? 姫様が、逢初さんの純潔を守ったのですから」


 ドヤ顔で親指を立てる仲谷さん。け、結果論が過ぎるよ‥‥‥‥。


「危なかったですよ? 愛依さんは敵兵の巧みな話術に翻弄され、自分の価値を見失ってしましたし、お風呂上がりということで、着衣も乱れていました」


「あわわ。ブカブカだもんね? 逢初さんのあのキャミ‥‥」


「あ、あれは確かに」


 あ、信じられないくらい防御力の低い愛依さんのくれびれキャミソールか。


 うわさに聞く伝説の装備。


 詳しく訊ねようとして思わず生唾を飲む。

「‥‥‥‥そんなにすごいの?」


「ええ。あの時、愛依さんはソファに仰向けに倒れていたのですが。胸などもう、こぼれんばかりでしたよ。隠すべきだけはよく隠したと、逆に褒めたいくらいです。好色なゼノス王子ではなくてもあれだけ肌を殿方の眼前にさらせば、何が起こってもおかしくはない状況でした」


「そうよね~」

「結局オトコってさ。そ、そういう生き物だし」


 んん? 今何の話してるんだっけ?


「無防備な寝顔を見せる愛依さん。それに魅入られたように熱い男の目を向ける敵兵。敵兵はおもむろに、愛依さんの白肌に手を伸ばします」


「に、逃げて~」

「あれ? 姫様『白肌』って自分の肌、(われ)褒めしてる?」


「節くれだった軍人の屈強な掌が、愛依さんの胸の双丘に届きます。わずかな布に覆われただけの、無垢なふくらみ」


「「やだ~」」

「こ、こほん! ‥‥姫様!」


「あ! (やよい)! ‥‥‥‥失礼しました。以前城に逗留していた吟遊詩人の語り草を、思い出してしまっていたようです。大丈夫です。ゼノス王子になぞ、この身体を汚されてなるものですか。悪さをする直前、【催眠】をかけてあげました」




 ほっ。


 良かったよ。いや、無事だったとは聞いていたけどね。そんなにギリギリだったとは知らなかったし。


「‥‥ふふっ‥‥彼。情報将校ゼノス氏の中には、この世界のゼノス王子の魂が宿っていたようです。わたしと愛依さんの関係と同様でした。しかし、よっぽど逢初さんの身体に懸想して心を囚われていたのか、まったくの無防備でしたよ。不意打ちとはいえ、あんなに綺麗に【催眠】が決まるなんて。おほほほほ」


 と、それを聞いた仲谷さんはジト目になる。


「‥‥‥‥まあ、姫様が【催眠】の条件付けを曖昧にしたせいで、もう一度ピンチになっちゃうんですけどね? 逢初さん」


「‥‥こほん。‥‥それは【催眠】の持ち主である春には敵いません。それにあの世界は【魔素】が薄いです。わたしの【大魔力】で支えたからこそ、実現しましたし」


 は~~。なるほどね~。

 あの村での大事件、陰でこんな内情があったんだ。



 あ、そうだ! 姫様の【固有スキル】。


【大魔力】。


「春さんの【アイスアロー】があんなにパワーアップしたのも、姫様と【リンク】したせいね。納得だよ」


「いいえ。わたしの【大魔力】は固有ではありませんよ?」



 え? 今何て?




 姫様の言葉に一瞬思考が止まる私の傍らで、それでも会話は止まらなかった。


「でも? その【リンク】って私たちもできるんですか?」

「ああ、【リンク】ができる条件ですね。それでしたら‥‥」



 桃山さんの質問で、話が先に行っちゃった。あ~~。


 別の話題で盛り上がる場の空気をよそに。



 私はさっき聞いた姫様の言葉を反芻していたよ。



 姫様が自分で言った。彼女の能力、【大魔力】は‥‥‥‥【固有】ではない??



 ‥‥これはまた重要なコト。





 さらっと言ったような?






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