第二部 第19話 茶飲み話だよ。みんな集まれ。Ⅱ①
※ 第262部分、第二部 第18話「布陣Ⅱ」からの続きです。
(第一部完結させて一息ついてたら、第二部にて第一部の重要伏線を回収させてるのを失念しておりました←おいコラ!)
ミナトゥ村のぬっくんの家での、思い出話。住んでるぬっくん、まきっち、エイリア姫様に加えて、私と仲谷さん。
それに。来訪した浜さんと桃山さんも交えた夜語り。
いつの間にか寝てしまって、気づいたら朝だったよ。
そして私は土間で寝ようとして、ちょっと怒ったぬっくんに、その隣に強引に戻されていた。「だめだよひめちゃん。そこは冷えるから」って。
うお。
ぬっくんは24時間365日、基本温厚なんだけど、道理に合わないことするとちょっと男の子の顔になる。
「ひめちゃんは僕の隣」と言い切られて、ドMの私は「‥‥はい。ごめんなさい」と、すごすご元の位置に戻った訳です。
でもうれしかった。それはやっぱり。もちろん。
で、みんな揃っての朝食の後、またしてもちゃぶ台を囲んでの雑談となりました。
いいのかな? この異世界ってけっこう生活していくのって大変なんじゃ? と思ったら姫様。
「午後はこの7名で魔物討伐に行きましょう。このパーティならギルドに依頼の来ていた高難易度のクエストも可能です」
と。どうやらこのメンバーのクエストで生活費を捻出しようというお心のようです。
「は! 賢明なるご判断! 姫様!」
春さんも姫様の前だと調子いいんだから。これが城仕えだよ。まあ桃山さんと浜さんは、懸案だったぬっくんの呪いを、姫様の【大魔力】が一瞬で解呪しちゃったからのんびりしても問題ないみたいだけど。
あ、でも姫様の固有スキルは【大魔力】かあ。あとこの前使ってた【リンク】って? もっと詳しく知りたい。ちょっと訊いてみる?
「そういえば姫様。この前の討伐で春さんにやっていた、【リンク】。もう一度詳しく聞きたいです」
「あ、それなら春が」
台所に立ち、食器の洗い物をしている姫様が振り返った。姫様が家事なんて意外で、最初春さんが「姫様がそんな些事を~~!!」とか言ってたんだけど、彼女は「春は長旅を続けるのだからここではなるべく体を休めなさい。これは命令です」とか言って。春さんも一応は引き下がった。
それに、姫様の中に眠る愛依さんの無意識があるから、家事もついしたくなるそうで。「ふふ。紘国にいた時とは真逆ですね」とか。
「では代わりに私が。【リンク】ですよね。ゆめさん。ええと、あの時は歩きながらで説明も足りませんでしたか? ゲームに例えて説明しましたよね」
私の隣の仲谷さんが話し始める。「な、仲谷さんゲームやるの?」と浜さんと桃山さんも入ってきた。ちなみにぬっくんとまきっちは外で洗濯物干してる。
「もう一度最初からご説明します。【リンク】とは、他人から魔法を借りる能力の事です。ゲームであるでしょう? 武器やアイテムを強化する『エンチャント』とか『付与魔法』とか。あれの人間版です。【リンク】をして、一定条件下で対象者から魔法能力を借り受けることができ、その力を行使できるんです」
「ほええ。村のおおばば様そんなの教えてくれなかった」
あ、この「村のおおばば様」っていうのは、ザイガ村の女性長老さんのことね。浜さん桃山さんの転移先で、ホームグラウンドにしている村。
今回ふたりはこのおおばば様の水晶玉の予言で、さっき言った「ぬっくんの呪い」の対処に、このミナトウ村に滞在しているワケです。
「ええ。対人戦闘などがあるので、個々の能力も『誰から何を借りているか?』も秘匿する傾向にあります。ラポルト乗艦中に私と姫様が【リンク】して、私の【催眠】を何度か借りてますが、万が一を考え秘匿していました」
「そ、そうだった。ほんといつの間に」
「ええ。実は簡単なんです。借り受ける時に『体の一部が触れている』のが条件です。ほら」
仲谷さんは立ち上がり、一礼して姫様の背中に触れる。と、振り向いたエイリア姫の黒瞳、そして仲谷さんの瞳が赤く輝いていた。
「‥‥こうしてわたしは何度も春の【催眠】を借りています。あちらの世界でゼノス王子に行動制限を課したように。【催眠】は元来この、春の【スキル】なのです」
「「ほえ~~」」
感心するさいはて中コンビ、だけど。
ん?
んんん??
よくあるパターンだけど。
今超重要な話、さらっと言わなかった!?
なので、第一部の続きと思って読んでいただければ。
今日現在、40部分ほどストックありますので、週一くらいで投げていきます(*^▽^*)




