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第121話 重力子エンジン解説④ #設定語りだみんな逃げろ!

※あと今話はスイーツテロ回です。






「小休止するか」



 その言葉には、食堂をチラ見してた僕が反応する。


 4面扉の業務用冷蔵庫を開け、番重(大きなタッパーだね)を取り出す。その中には――。


 さっき焼成したプリンだ。よくある市販と似た透明のプラ容器に、(かさ)は低めに入れてある。それに絞り袋でくるくる、生クリームを一層敷いて、上に細かくダイス状に切ったマロンの粒、その上にカステラスポンジを乗せていく。


 スポンジに一発、香つけの洋酒を湿らせ(ポンシュ)


 さらにもう一層生クリームをひいて。


 おっと! ポンシュで濡らしたカステラスポンジは、生クリームと絡みにくいんだった! 左手で容器を押さえて、右手の絞り袋で押さえつけるようにして生クリームを敷いていく。

 さらに中央に薔薇型の丸絞りをひとつ。


 表面飾りはさつまいもペーストに決めてあるよ。実はアマリアの人に貰ってたのさ。いもを蒸かして裏ごしして、冷ましてから生クリーム、カスタードクリームと合わせて攪拌して。


 出来上がったタンポポ色のペーストを三角形の絞り袋で絞り出す。本当は「おだまき」って道具でやりたいんだけど、流石に戦艦には無かったよ。先端の口金には小さい(あな)が四つ開いていて、そこからペーストがにゅるにゅる出てくるのを、丸い容器からはみ出さないように重ねていくと――?


 プリン下地のさつまいもモンブラン。


 完成だ。


 仕上げに、濃い茶色の渋皮付きひと粒栗のかけらを天頂に置き、色味足しに平葉のパセリを添える。

 仕上がったスイーツを番重ごと食堂に持って行って、網代さんに手渡した。



「「きゃあぁ~~!!」」

 天井に刺さるような高音域の、黄色い声たちが響いてくる。

 僕はそのまま厨房へと身を隠すよ。気恥ずかしいからね。



 うむ。僕がスイーツ差し入れることは伝えてなかったからね。不意打ちを食らった女子の悲鳴は何度聞いても良い。良い音色じゃわ。ふっふ。(←キャラ不明)




七道「じゃ、『ぬっくん伝説』的なスイーツもいただいたトコで、講義に戻るか」



 あ、麻妃とひめちゃん以外の子に言われたの初めてかも。「ぬっくん」って。


 でももうなんか。


 そういう呼び名とか、嫌がってた自分が逆に恥ずかしい。今は。

麻妃(マッキ)」って僕もいつの間にか呼ぶの止めてたし。


『どうでもいいんだよ。その程度の呼び方くらい』


 そうなんだよ。そうなんだね。この艦での旅が色々ありすぎて、そんなことはもうどうでもいいんだ。もっと。もっと大切なことがあるのがちょっとはわかってきたから。



七道「さっきさ。逢初のひいおじいさん、逢初博士のハナシが出てきてたろ? その辺も含めて重力子回路の開発と作用機序のハナシしてくから」


一同「「は~~い」」


七道「まずじゃあ。その『逢初博士が重力子回路を開発した』ってハナシな。逢初」


愛依「はい。えっとね。違うの。わたしの曽祖父は開発はしてないの」


来宮「あ、違うんスか」

初島「え~?」


七道「その辺混同してるヤツ多いのな。逢初博士は数学者。完成した重力子回路を『完成した』って証明した人なんだよ」


浜 「え? か、完成したんだったら‥‥」

七道「ああ、順を追うけどさ。『回路が完成して重力子をコントロール出来ます』って言ってもさ。世界中の誰も『これをこうしたから、こんな結果が得られたのです』って説明出来なかったんだよ。『なんか電源入れたら重力っぽい現象が観測されるんですけど?』で止まってたんだ。当時の人類は」


桃山「へぇ~~。あ、でもそっか。それだけ『重力子エンジン』が凄すぎたんだね」

泉 「ふふ。人類には早すぎたのかしら」





七道「そこで逢初博士が登場。超絶計算能力で回路の上の空間で起こってるコト、を数学的に証明してくれたんだ。――でもその前に。物事は順序立てて説明しなきゃだな!」






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