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第121話 重力子エンジン解説③【画像あり】#設定語りだみんな逃げろ!






 講義が続く食堂。


七道「ってワケで、重力子エンジンの回転発生部には、羽根と回路でらせんが逆向きに付けられている、と。安定した回転を得るため。主軸のダメージを押さえるため」


 と、教壇に立つ七道さんが、厨房から顔を出す僕を見つけた。


七道「そこにいる暖斗くんみたいにさ。瞬間起動(フラッシュブート)なんて変態技使いもいるんだけどさ」


 誰が変態技使いだ。


七道「あれはマジカルカレントで無理やり重力子エンジンを最高速に持ってくヤツだからな。それこそメインシャフトにかかる負担がハンパねえ。そんな乱暴な使い方もあるんだけど――?」


 じろりと睨まれた。


七道「まあそれは。主軸は交換きくしな。部品痛める不利益(ダメージ)より戦果(ベネフィット)のほうが大きいから、不問としてやる」


 ほっ。助かった。僕は頭をかいて誤魔化した。




七道「で、今言った重力子回路と錘羽根が入った箱が、電気→重力→回転運動、を生み出すモジュールな。そっから下にあるのが発電モジュールになる。ここはもう従来の発電機と同じだ。なんのヒネリもねえ。風力・水力だったり、原子力で沸かしたお湯の蒸気だったりと、人類が回転運動を電気に換えてきた仕組みと同じだ」


 PCを受け持つ多賀さんが、さらに詳細な図解を送ってきた。


挿絵(By みてみん)


七道「ただこの電磁誘導型の発電機部分、よく『重力子ジェネレーター』とか『重力子ダイナモーター』とか言われてるけどな、ソコも含めて『重力子エンジン』って呼ばれ方で一般的に定着してんのは一応付け加えとく。回路に流した電力より、ココで発電した電力のほうがデカいのが、この『重力子エンジン』のすっげえトコだな」


初島「少ない電力でより大きな電力を取り出せる。ホントすっごい機械だね。コレ無かった時代って考えられない。みんなどうやって生活してたんだろ?」


桃山「普通に電気の料金払ってたんだよね? 『今月の電気代が』とかって?」

網代「うわ~。え? それどうやって計るんだろ? ダルそう」

愛依「各家に使用量のメーターがあって、電力会社の人が見に来てたみたいよ」

網代「やっぱ。思いっきりダルいヤツだ~~」

仲谷「その『電力会社の人』は‥‥やはり給金で働いてるんでしょうか?」

愛依「そうよ。水道料金と似てるね」

泉 「お金は大切ね。そういう人件費もきっと電気料金に上乗せされてたでしょうから」

多賀「‥‥‥‥。使用量気にしながら暮らすあの頃には戻りたくない、っておばあちゃんが言ってた」

浜 「い、今はもう重力子エンジンの維持費だけだし」


七道「そうだよな。今主軸(シャフト)の金属疲労云々言ったけどさ、部品が壊れるとかあんまね~んだよな。そもそも重力子回路のおかげで主軸は常に非接触、宙に浮いてるし。使い込んだ軍事用ならともかく、家庭用で普通のメーカーのヤツだったらまず壊れねえし」



 初島さんが、感心した感じで愛依の制服の袖を引いた。


初島「すごいねえ。この発明で紘国の、いや人類のエネルギー問題解決しちゃったんだから。逢初さんのひいおじいさん? スゴイ人だったんだねえ」


 愛依は一瞬照れたけど、すぐに困った顔になった。


愛依「あ、わたしの曾祖父は、発明はしてなくて」


初島「え? 阿井染愛壱(あいぞめえいち)博士って逢初さんのひいおじいさんなんでしょ?」

来宮「その功績で佳字恩賜で『阿井染』から『逢初』になったって聞いたっス」


愛依「そうだけど、重力子回路の開発には‥‥」



 ぺしぺし。ここで七道さんのポインターがまた音を立てた。





七道「逢初スト~ップ! ちょっと小休憩するか。その後今日の本題、エンジンの細かい話いくぞ」






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