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第115話 赤ちゃんになっちゃった!(発端Ⅵ)②

 





 あの激闘があった陣地。


 そこで擱座した僕らラポルトの艦載機は、騎士団に回収してもらっていた。


 そんな中、騎士団長の錦ヶ浦さんに話しかけられて。僕と愛依、ハッチを開けた操縦席にふたりで座るあのポジションのまま、乗り込んできた錦ヶ浦さん話を聞く事になった。



 っていうか、ものすごい真実をさらっと言われて‥‥‥‥僕は吐きそうなんだけど?




「UO-001って、機体名称じゃないんですか?」


 そうだ。ラポルト艦載機が騎士団所属だった! って話だ。



「それはナンバープレートみたいな物だよ」


「で、では『パラクセノ・エリュトロン』‥‥は‥‥?」


「それは『機体固有名称』、もしくは『愛称』だねえ。今のところ。アマリアのDMTだって、X-45で『オルフェ』だろ?」


「‥‥‥‥はいぃ。‥‥じゃ、何で? い、いや‥‥聞くのが怖い‥‥!」




「機体名称じゃなくて機種名称。君たちの戦艦搭載DMT群の正式な機種名称は、モニタ重工業製、T-5000『セプタシオン』だ。‥‥‥‥あ、ちな中型機(ケントロン)はT-4000ね」


「げえ! それって。うわ! うわあああ!!!!」


 冗談じゃないよ!! いや!! 冗談であってくれ!!




「うん。『セプタシオン』は俺達が乗ってる、皇帝警護騎士団(イポテス)の主力運用機だ。同じだよ俺らと。正確には内部機器と骨格(スケルトス)が、だね。流石に装甲はウルツサハリ仕様に変えてあるのさ~~。‥‥‥‥気づかなかったか」



「‥‥‥‥し、知らずにあの! あの!! 『セプタシオン』に乗ってたと‥‥‥‥騎士団の栄光と紘国の名誉そ、そのものに!」


「さらに君のは、紘国が誇るDMT博士(マイスター)の土師教授が『手ずから組み上げ(フル・スクラッチ)』した特別機だ。そんなの英雄クラスの功績で無いと下賜されないねえ。あの教授が仕事受けるなんて、光莉ちゃんどんな寝技を使ったんだい?」


「‥‥‥‥!!!」

「暖斗くん大丈夫?」


 愛依に心配されてしまった。


 そんな卒倒しそうな僕に、錦ヶ浦さんは追加ダメージを与えてくる。



「重力子エンジンもそうさ。『アフトクラトラスイポテスの発動機』だろ? そのまま『皇帝の騎士団』じゃないか。それにこのナンバリングのエンジンシリーズ――御機――は、皇太子が(おん)手ずから組み上げられた発動機だ」



 はあああ!? いやちょっと待って!


 確かに子恋さんが言ってた。「雑に扱ってはいけない。そんなことしたら体が宙に浮くほど殴られる案件だ――」みたいなことを。



「この栄えあるDMTと発動機を駆れるのが騎士団の、『セプタシオン』を駆る『操縦者(ケラメウス)の冥利だ。まあ、万が一敵に不覚をとったら詫びと機密保持のために自爆する不文律なんだけどさ。‥‥‥‥ああ、君もこの御機に乗ったから、『騎士』の称号もらえるよ」

「‥‥‥‥騎士!? ‥‥騎士様だって暖斗くん!」


 愛依に後ろからぺしぺし叩かれて、首がぐらぐら揺れた。




 ‥‥‥‥え? ‥‥‥‥はい?


 ‥‥‥‥‥‥今さらっと重大な事実を言った気がするけど‥‥!?


 それに。‥‥‥‥‥‥き、「騎士」ぃぃ!?




「あ゛ッ!? はッ!? ちょっと待って! ありえない!!」


「いやいや~、御機搭載のセプタシオンを駆った人間が『騎士』じゃない、って方が色々とありえないんだ。拒否権は無い。追認する形だけど、まあ、諸々全部本土に帰ってからの手続きだねえ」


 ぐ! 息が!


「げええええ~~~~~!! げふっ!」



 もう‥‥‥‥過呼吸になった。


「‥‥‥‥僕‥‥が『騎士』!? ぐふ! ムリでず! 無理でずってば!」



「はっはっは。そりゃあいきなり入隊もしてない中学生には無いだろうさ。まずは『名誉騎士』とか? あたりからだろうなあ。はっはっは!」


 はっはっは! じゃないよ!!


「無理です! 無理‥‥‥‥ムリムリムリ!」

「良かったじゃない? 暖斗くん認められたみたいでわたしは嬉しいな。ふふ~」


 事の重大さがわかってない愛依は、あくまでも天然だった。



 展開がものすご過ぎて脳の理解が追いつかないよ。‥‥うえ゛吐きそうだ。‥‥‥‥待てよ。この操縦席で吐くって、騎士団のDMTを汚すって事じゃないか!?


 御機搭載の!! セプタシオンを!! 



 やだもう助けて! 誰か!



「‥‥ま、とにかくそういうワケさ。俺はこれで失敬するけど、元気でな。‥‥‥‥あ、違うか。また咲見君とは会いそうだ。こんど騎士団(ウチ)に『特別教導大隊』ってできるんだけど、全員マジカルカレント使いで構成されるんだ。たぶん君にも話が行くだろうから、よろしく頼むよ」



 ぽんっ、と肩を叩かれた。分厚い大きな手だ。



「この部隊の特徴は。なんと言っても戦闘とマジカルカレント後遺症候群、そこからの恢復までがワンセットで運用される事なんだよ? 騎士団でもマジカルカレント後遺症候群を発症する操縦者はいるからねえ。あ、あんなに寝込むのは咲見君くらいだが。――その辺も含めてワンセットってことさ。君がどんな風に寝込んでどんな風に復活するのか研究しながら、恢復役の医療スタッフとペアになっての運用。つまり‥‥‥‥」



 と、不意に、錦ヶ浦さんは僕の背中にくっつく愛依に視線を移した。



「あ、ミルク係‥‥‥‥じゃなくて『恢復役(ママ)』は後ろの女医さんか。良かったじゃないか。もうパートナーが見つかってて。手間が省けたな」




 ‥‥‥え? 何だって!? 「母親役(ママ)」? 愛依が? 僕の?


 そして「ミルク係」!!?? もう聞き返すのが怖いわ!!





「はっはは! じゃな! また会おう!」


 ムチャクチャな情報量と密度と重さをぶちかまして、錦ヶ浦さんは爽やかに去っていった。


 途中。





「やっっっべ!! 『教導大隊』の件はまだ機密だった‥‥ま、いっか」


 と頭を掻きながら。






※色々伏線回収の回でした。

(そんな回の更新忘れてました‥‥(*´ω`))

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