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第10話 女子会(議)Ⅰ④

 




 なんか、みんな――「ふれあい体験乗艦」中の中2女子のみなさん――が、この絋国軍の最新鋭空中戦艦「ウルツサハリ=オッチギン」のお名前にアヤをつけて。



 なんと艦名変えちまおう! って流れになってるよ。(僕知らね)




 あれ? 軍事顧問の人は? そのご恩は? 


 いいのか!!?? 国防大学校附属中学3人娘‥‥!





「ちなみに、DMT(ディアメーテル)の導入でお世話になった軍事顧問の方は、欧圏の方だそうで、聞きなれない外来用語は、その方の母国の言葉だそうです」


 あ、やっぱり。(めい)国の外来語はもう僕らの言葉で根付いてるけど、それとは語感が違うなあって思ってたんだよ。‥‥って今言うことか?





 そして、艦名を変更すべく、熱い討論が始まった。


 で、みんな思い思いの単語を言い出したんだけど、やはりというか議論百出で、収拾がつかない。ある子は気にいった名前を強烈に推すし、それカワイイ、いやかわいくない、と大激論になった。


 とりあえず子恋さんが、「自分家の犬猫の名前は除外」と、「自分家のぬいぐるみ類の名前は除外」と言い出した。


 あと、「芸能人名や創作物からの引用」も。




「我々の艦名決定の協議は、混迷を極めた」

 って、誰かナレを入れてほしかったね。ぜひ。




「みんな、そういう名前はかわいいし、みんな思い入れがあると思う‥‥ぜえぜえ。でも、戦艦なんだから、もうちょっと全員で納得できる名前にしようよ‥‥ぜえぜえ」




 すっげえ。




 あのクールな子恋さんが肩で息してるや。ってボーっと見てたら、彼女と目があってしまった。


 うわ。ロックオンされた。


「咲見くん。この中で唯一の男子だけど、何かアイデアありますか?」




 う~~ん。そう言えば、‥‥‥‥ぼおっとしてて艦名のアイデアなんて1ミリも考えてなかった。変える派でもないしね。はっはっは。はっはっは‥‥‥‥‥‥‥‥。



 ‥‥‥‥どうしよう。



 正直、本当に頭は真っ白だった。でもまあどうせ、「一応アナタの意見も聞いたよっていうアリバイ作り」でしょ? そう考える事にする。


 通したい意見とかも無いし。適当に頭に思いつく物を言っとくか‥‥。




「ええと、『ラングドシャ』。あ、沸国語で猫の舌って意味なんだけど、ああ、猫はダメか、それじゃあ、『オ フリアンディーズ』、『サン・ベルジュ』、『パーターシュクレ』、『ビスキュイ・シャルロット』、『ブランマンジェ』、とか?」




「‥‥‥‥」


 脳内に浮かぶ、僕の思いつく単語。――――どうせすぐ却下される。





 ‥‥‥‥かと思いきや、みんなザワザワしだした。




「なんか、私達の案より良くない? 軽い響きとか。意味はわかんないけど」


「なんか、咲見くんから出てきたというのが意外、というか新鮮。意味はわかんないけど」


「なんか、スッと入ってくるね。どっかで聞いた事あるような単語? 意味はわかんないけど」




 場の空気を汲んだ子恋さんが、僕にさらに振ってくる。


「なんか感触よさそうね。ね、咲見くん。もっと案ありませんか? こんな系統で」



 そう言われて、真面目に考えてしまった。


 麻妃だけが、口を押さえてクスクス笑っている。



 その時頭に浮かんだのは――




「‥‥じゃあ、『ラ・ポルトドール』‥‥とか。えっとあの、『黄金の扉』って意味で」





 その単語に反応したのは、意外にも。


 ――――インカムの向こうの紅葉ヶ丘さんだった。




「それ、いいんじゃないかな。沸国語だと『ラ・ポルト』は扉、だけど尹国語で『ポルト』は港。みなと市から来た私達にピッタリじゃないか?」




 そこに渚さんが乗っかった。


「沸国語だと港は『ル・ポール』よ。ちょっと違っちゃうけど、『ラポール』って、臨床心理学用語で『信頼、調和、架け橋』って意味の言葉があるんだけど」




 で、止めとばかりに、ふたりからのパスを受け取った子恋さんが。


「じゃあ、ラポールのラ、をポルトに定冠詞みたいにくっつけて、『ラポルト』って造語はどうかな? みんな‥‥」


 ここまで3人のやりとりはノータイムだよ。一瞬でここまで話が進んだ。




 子恋さんはみんなの顏を見まわす。




「『みなと市から来た、信頼しあう16人』、空中戦艦 『ラポルト』、よ!!」




 最後は上手いことまとめた。


 あれだけ、とっ散らかってた意見が、あっという間に仕上がった。





 すごく後になってだけど、この「附属中3人娘」の連携というか、3人が力を合わせて動いた時には、とんでもない事が起こる、というのを、僕は身を持って知る事になる。


 まあ、それはまだ、ずっと先の話。




 みんな、「ラポルト」って、口々に言いながら、うなづいてる。逢初さんも終始静かだったけど、口角を上げていて、納得した様子だ。


 麻妃といえば、口もとを両手で押さえながら僕を見てずっと笑っていたけれど、僕と目が合うと、サムズアップしてこう言った。



「いや~。暖斗くん、グッジョブ。何でこんなオシャンな単語が暖斗くんの口から出てくるのかねえ。不思議だねえ。――――これはネタバレが楽しみですな。ぐぷぷぷぷ‥‥」





 第2回 女子会(議)に於いての、厳正なる協議の結果、この、第054作戦区域、みなと軍港所属の空中戦艦「ウルツサハリ=オッチギン」の艦名は!



 本日只今から!!



「ラポルト」!!!



 ――――に変わった。





 いいのかこれで。





※可愛い名前は正義。

※作戦区域の番号には法則性あり。


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