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第94話 泣きべそ狂戦士①

 





 ガンジス島の西の洋上。そこに浮かぶ艦隊が、お互いに距離を取り整列しだした。病院を砲撃する構えだ。対ゼノス戦で曲射攻撃をしてきた時とほぼ同じ艦隊行動。


「初撃被害の把握を!」


「病院は!? え!?」


「ラポルト発進! 南部更地へ」


「観測から規模を割り出すよ」


「慌てないで。みなさん」


「いっくぞソーラ! 敵が押し出してくる!」



 一斉にブリッジに声が溢れて。


 僕らは軽い狂騒状態になった。



「暖斗くん。待て! 004が先だッ!」


 みんなでDMTデッキに走って、操縦席に乗り込む‥‥けど、一度に出撃できるワケじゃあない。さっき帰投した逆の順番で発進していくしかない。



 コーラが叫ぶ。


「3人娘! 第2射まだ?」


「まだよ。さっきの斉射は規模小なり。明らかに照準砲よ」


「じゃあ病院守らないと不味いわ。私とコーラで先行します」


 やっぱりアマリアと附属中は慌てなかった。



 僕は、順番待ちの発進デッキで焦れていた。まさか敵が平和都市、その病院もある南部をあからさまに狙って撃ってくるなんて。何考えてんだ。


 それに、病院の人たち。市街の人はある程度避難しだしたらしいけど、病院とか公共の施設はまだ残っている。被害が出てなければいいけど。



 クルーザーを護衛して、愛依を病院まで送るつもりだったけど、状況が変わった。ラポルトがもう隠れ家から病院方面へ向かってるから、そこで降ろす算段になった。――オリシャさんの手術は、もう始まる。僕らの戦い、愛依の戦い。。




 *****




 砲撃のあった病院の地下、暗い通路をひとりの女性が歩いている。


 先ほどの曲射(パラボレー)砲撃(ショット)で、病院施設に2発の着弾があった。――幸い病院のシールドバリアで、防ぐ事はできていた。

 やはり、戦時中にトーチカとして建てられたのは伊達ではないようだ。建物自体が強固な構造体となっており、病院別棟の地下には軍事用のシールドバリア発生器と重子力エンジンが備わっている。





『姫様。守衛は全員【催眠】をかけました。進路クリアです』



 と、耳につけた白い機材。――インカムから音声がもれ聞こえた。


 女性は、セーラー服に白い白衣を羽織っている。女性はインカムに手をそっと添えて語りかけた。




「ご苦労様、(やよい)。ですが、あなた大丈夫ですか? もうすぐ第2射がくるのでしょう?」


『問題ないです。【予言】に従って地下の安全な場所に移動中です。(とき)の【()し方つ言上げ】は完璧ですから』


「そうですか。私も間に合いそうですね。ここにも。オペにも」


『姫様こそお気をつけて』


「ええ、ですが春。状況は刻々と変わっていきます。可能であれば、(とき)との【霊信】を今一度。――この戦争で犠牲者が出れば、あの子達が悲しみ、深く傷つくでしょう。できればあの子達には、ずっと笑顔でいてほしいのです」


『御意』




 女性は耳元のインカムに添えていた手を離すと、歩く速度を速めた。そのまま廊下の突き当りに至り、階段を上っていく。


 扉を開けると、病院の裏手、北側へと出た。あたりには、屋内退避を告げるアラートが大音量で流れていた。


 ここは女性にとっては一度来た場所だ。‥‥‥‥そしてさらに歩を進めて、「エネルギー棟」と書かれた施設に入っていく。守衛がいる筈だが、既に退避していた。砲撃が来るから、ではなく春の能力、【催眠】で誘導されているから、だ。



 女性は施設の内部、奥深くを目指した。幸い一本道だった。


 そして、その終点には大き目なホールがあり、黒い金属の塊でできた構造物があった。ゴウゴウ、と低い音を立てている。重子力エンジンだ。


 女性は、その構造物に最大限近づくと、「右手」を上げて、その手のひらを機械にかざした。



「本来、この世界への干渉は必要最低限とすべきなのですが、そんな御託はもういいのです。私は、あの少年の誠意に応えます。我が誠意を以って。――――さあ、異世界の機械よ。その機能であの天からの悪しき厄災から人々を守るのです。私の残りすべての魔力と共に! そして、あの少年の『魔法』とともに!」



 女性が掲げた「右手」が、ほんのりと光をまとって。


 夕焼けでも、赤色灯の反射でもない。女性の両目は、煌々と赤く輝きだした。


 そしてその、可憐な声がホールに響き渡る。





「【リンク】、【大魔力】、‥‥‥‥そして、【リンク】、【マジカルカレント】!!」





※第1部と第2部が混ざって進む、こんな不親切な構成のその訳は? という事でしょうか。

ここからノンストップで、最終決戦です。


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