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第2部 第15話 発見Ⅱ さっき見た懐かしい夢の続きだよ②

 





「本当に息があってるのですね」


「これは長年連れ添った熟練パーティの連携です」



 エイリア姫様と(やよい)さん。ふたりに褒められた。うや~い♬


 折角大人数になったので、姫様の提案で遠出をする事になった。このメンバーなら、より強い魔物を倒せるから、と。それで魔石で資金を作れば、私と(やよい)さんの旅も良い宿に泊まれたりするから、と。


 森の奥まで来ていた。ここには妖樹系のデカデンドロンとか、妖獣系のデカスキロスとか、けっこう手強い魔物が出没する。


「【ライトニングボール】!」


「【ファイヤーボール】!」


 万能手の私と春さんが前衛を務め、ぬっくんとまきっちが魔法で射程攻撃だよ。



「ガアアア!」「ギャイ~ン!」


 私が剣を振り、敵が防御するのに合わせて、ふたりの魔法が命中する。息がピッタリだ。


「これでは、私の出番が無いじゃないですか」


 春さんにそこまで言ってもらった。




 *****




 一回街道の安全な所まで出て、そこでみんなでお弁当を食べた。


 クリームチーズと燻製肉をサンドしたパラストミだよ。


 ぬっくんがいて、まきっちがいて。姫様も春さんもいい人だし。私は異世界に来て、「ここにいるのも悪くないなあ」なんて考えだしていた。そうしたら。



「そういえばさっきの夢。みなと市のドローンレース、あの後ひめっちが知らない続きがあるんだよな~」


 まきっちが、ぬっくんと私を交互に見ながら意味ありげに笑う。


「え? 何?」


 って反応したら、そのタイミングで春さんが姫様を誘って席を外した。何か「(とき)からなんですが今後の‥‥‥‥」なんて言ってたよ。でもよかった。これで3人で思い出話がしやすくなった。



「あの後、ウチはぬっくんと会ったんだよ。会場でね」


「あ、そうなんだ。ぬっくんに何やら軍の人とかが集まってきてたんだよね」


「そうそう。レース決勝の前くらいかな。ひめを探してて、ね。‥‥‥‥で、ぬっくん、ウチになんて言ったと思う?」



「う~ん。なんだっけ? 『ああ、麻妃(マッキ)。いたんだ。ところでひめちゃん見なかった?』かな?」


「ブブー。不正解。ってか何でぬっくんが答えて、しかも本人が間違えてるんだよ!」


 3人で大笑いした。こんな、他愛もないやりとりを、私達は小学校を卒業するまでしていて。懐かしいな。あの頃は、この時間が永遠に続くと思ってたんだっけ。




「正解は‥‥‥‥『今日のひめちゃんのスカート短くない?』、だぜ☆」



「‥‥‥‥‥‥‥‥!!!!!」



 私は水筒の水を吹き出しそうになった。



 思わずぬっくんを見たら、思いっきり顔を背けてた。――言ったの思い出したリアクションだ。



「いやいや。ひめを心配してたんだぞ。『なんか学校の時と違うよ。今日はどうしたんだろ? あれじゃ、悪い大人の人に見つかるよ』ってな。あの頃は、ちょうどひめっちが育ちざかりでなあ。長い手足がさらに伸びて、ほのかに色気も出てきた頃だよ」


「ちょ! 色気って! あの時は5年生の春休みだよ。確かにさんざんまきっちに相談して、‥‥ちょっと‥‥短めのスカートチョイスしたけど、しょうがないじゃん! ぬっくんと初めてのデー‥‥‥‥ゲフン! 大会見に行ったんだから。私、色気づいてなんかないよね? ぬっくん」



「‥‥‥‥‥‥‥‥」


 いや、否定しないんかい! っと内心ツッコむけど、私も恥ずかしい。



「なんかさ」


 向こうを向いていたぬっくんが顔の向きはそのままで、訥々としゃべりだした。


「僕が直接言ったら『どこ見てんのよ』って思われるからどうしたものか、って。そしたら麻妃がいるじゃん。どうしてあんなに短いのにしたんだろ? ひめちゃんは変わってしまうのかな? って思わず相談したんだよ」


 ぬっくん、そんな事考えてたんだ。


「ちょうどさ。ひめがぬっくんの身長抜く頃じゃん。ひめはどんどん背が伸びてモデル体型になっていって、人目を引くようになってきたんだよなあ。そんで」


 まきっちは一口お茶を飲む。


「あの時のぬっくんのセリフが秀逸だ。『あんなにスカート短いと、悪い大人がやってくるよ。短いスカートに寄って来るのって、そういう人達ばかりだよ。僕は心配だよ。ひめちゃんはそういう悪い大人とつきあうつもりなのかなあ』とさ」


 ぬっくんはさらにそっぽを向いてしまった。けど、私は嬉しかった。彼が、私の事本気で心配してくれてるのがわかったから。ああ、今日は佳き日だよ。




 *****




 森から村への帰り道。山ほどの魔石をみんなで分け合って運ぶ。――といっても姫様の分はほんの少しで、春さんがその分を肩代わりしている。



 まきっちが私とぬっくんに耳打ちしてきた。


「毎回なんだけど、姫さん、戦闘参加しないんだよね。戦場だと一歩も動かん」


 え? そうなの?


「僕も魔法の使い方とか追跡(ホーミング)とか。教えてもらうけど、姫様は実際に魔物倒してないよ」


 意外だった。王族は魔力がすごいって春さんから聞いてたから。あ、もしかして。


「回復係だからとか。それか、純粋にガチ姫様だからリスク回避で後衛専門とか?」


 と、私の意見を提案してみる。結果はふたり揃って「「う~~ん」」


 なんて、他愛のない会話をしていたら。





 突然、魔物の群れが現われた。さっきのデカスキロスだ。大型犬みたいな、四本足モンスター。


「いけません。春」


「はっ!」


 春さんが壁役で、前衛の私がその後ろから一撃入れて。ぬっくんまきっちもすぐさま反応した。


「小屋敷小トリオ」だけで、3匹は倒したけど。



「姫様。ヘクトスキロスです」


「そうですね。こんな街道近辺に」



 その背後から現れたのは、さっきのより大きな個体だ。犬っぽいけどゾウくらいの大きさ?


 バシン!


 いきなり犬パンチしてきた! 避けたけど地面がえぐれたよ。


 姫様の声がした。


「暖斗さん。これ以上だとまた赤ちゃんに。下がってください」


「うん。わかった」




 春さんの対応は早かった。


「【アイスアロー】!」


 春さんの魔法で、手をかざした空中に氷の矢が何本もできる。全部あのおっきな犬型魔物に向けられている。――と、そこへ、後ろから姫様が来て、春さんの背中に手を置いた。



「【リンク】、【大魔力】」


 姫様の詠唱とともに、春さんの氷の矢――野球のバットが家の柱の大きさになった。そのまま魔物に射出される。



 ズドドドドドン!!



 あっという間に魔物達は倒された。私もそうそう見たことがない、大きな魔物だったのに。


 まさか瞬殺とは。





 あと、何?【リンク】って?






※「【リンク】? 誰かがどこかで言ってたような?」と疑問のそこのアナタ!!


ここまで、この作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!!


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