表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

238/515

第85話 突撃する赤ちゃんⅡ②

※無事第1部完結までPC入力しました。書き溜めが80話(11/21時点)になってしまったので、投稿頻度上げます。

 





「えっ? 配信されてる? アノ・テリアで?」


 そう驚くコーラに、頷く麻妃。


「これさ、やっぱウチら女子の問題なんだよね。暖斗くんが矢面に立ってくれてるけど。この戦いみんな見てる。ラポルト女子は『ぬっくん全力応援』モードなのさ」


 言いながらハイタッチを始めた。


「やっぱり来たね。岸尾さん。イェイ!」


「初島さんイェイ! ま、‥‥そりゃあねえ。ウチの相棒の晴れ舞台だから、ねえ」


「イェイ! 『相棒』っスか。でも、確かに」


 そう話し合う3人に、コーラがうらめしそうに言った。




「‥‥‥‥何? 『アノ・テリア』って。あと、『ぬっくん』って、誰よ?」


「あれえ? アマリア解放戦の時にウチがさんざん言ってたじゃん? 『ぬっくん』て」





 第4戦が始まった。ライドヒさんは砲を撃ちながら、徹底的に距離をとる。さっきの轍を踏まないためだろう。


 だけど。


「‥‥‥‥!! なんで追いつかれんだよ? 機体性能同じハズだろ!?」



 そう叫ぶライドヒ機に、回転の乗ったサリッサが食い込んだ。



 ピ――――!


 また僕の勝利だ。これでイーブン。





「岸尾さんの教えだよね」


 状況がつかめないコーラが降参して、初島さんと麻妃に解説を頼んでいた。


「岸尾さんはね。ずっと暖斗機をサポートしてたでしょ? 暖斗くんは状況に合わせて、どのエネルギー配分がいいか身に染みてわかってるんだよ。だから、戦闘しながらエネ配分を変えてる」


「え!? 確かにアタシらもシールドに全振りしたりするけど、そんなに細かくやってんの?」


「う~~ん。そだねえ。ウチだったら、避けられちゃう砲には、『見かけ分だけ』エネ配分して、シールドと機動に振り分けるかな? ぬっくんは、ウチほど細かくはやってないけど、たぶん要所は押さえてんじゃない?」


「あ~~。思い出したわ。アタシも岸尾さんのフォローで『テオブロマ』のシールドに廻してもらってたな。アマリアはKRM使わないからな~」


「そッスよ。私らも岸尾さんのサポ受けて()ってるから、よくわかるっス」




 このままいけば次も勝てる気がする。でも僕はなんかフェアじゃない気がしてきた。

「戦闘中にエネルギー配分変えてるから。それで」


 ライドヒさんに、ネタばらしをする。


「そりゃできるのは知ってるけどよ? 戦闘中にかあ‥‥‥‥」





 第5戦。これで勝敗が決まる。



「これならどうだ? 互角だろ?」


 エネルギー配分を憶えたライドヒ機の、動きが良くなった。配分の変更は、入力する時の若干のコツと、それをやるタイミングが重要だけど、彼はなんとかこなしていた。


「やっぱ運動神経イイから、その分余裕があるんだよねえ」


 とは、麻妃の弁。


「黙ってりゃいいのに、バッカじゃないの? 勝てたのに」


 コーラは悔しそうだった。



「それが暖斗くん。‥‥‥‥という事でしょ? 岸尾さん。それに‥‥‥‥」


 初島さんが、麻妃を見て笑う。


「岸尾さんは、『暖斗くんを理解している』ってのが隠れた重要な特殊技能。――それを運営に評価されたんだよね? 暖斗くんの長所を伸ばして、その管制(コントロール)能力で短所を消す。ドローン技術よりも、そっちを、ね」





突撃(アサルト)


 長い間合いから、僕は超距離突撃をした。ライドヒさんは、間合いを詰められない僕が、自棄(やけ)を起こしたと思ったろう。



「撃ち落としてやんよ‥‥‥‥ん? ‥‥ええ? ‥‥おおお!?」



 砲撃の光をくぐり抜けた僕は、敵機を串刺しにしていた。




 *****




「岸尾さん、解説お願い~~」


「はいはいコーラさん。‥‥え~と。ライドヒさんがぬっくんの真似をして、ビーム砲へのエネ配分を絞って防御に回したと。それを自機のシールドの減りから察したぬっくんが、シールド積層(レイズ)の残量を勘案して、機動とサリッサにエネ全盛りして、超ロングレンジ! アサルト、と」


「あ~あ。ライドヒさん全部裏目じゃん」


「そだよ。まあライドヒさんは操縦練度は大したモンだけど、エネルギーの配分戦は、ぬっくんにバレて裏をかかれまくった、――褒めるべきはウチのベイビーかな」



 ほへ~、そっか。と頷くコーラをよそに、初島さんは別意見だ。



「褒めるべきは、岸尾さんだよ。暖斗くんの前への動きと集中力、砲撃を受けても怯まないメンタルは本物。フェンシングやってる勢から見てもね? それを早期に見出して、その『突撃』する戦法と最適化したエネ配分を構築したのは岸尾さん」


「私らはわかってるっス。暖斗くんの『突き(トゥシュ)』は一流(マジやば)。‥‥突き(これ)のみっスけど‥‥」





「いや~。やられたあ。やっぱマジモンの戦争やったヤツはアレかあ~」


 ライドヒさんは爽やかだった。――僕としてはこう思いたい。根は悪い人じゃあない。


「‥‥‥‥やっぱ。引かれてた? 女の子に俺? またなんだよなあ~」




 ライドヒさんは、「ハシリュー村の星」。


 村の遺伝子を受けついで、子孫を残すミッションを負っている。


 それゆえに、高校生のライドヒさんには、若い内だったらという事で、「外での自由な恋愛」が許されているそうだ。4人を超えて娶れるあの制度もある。

 ――逆を言えば、「今の内に外の世界で羽目を外してこい。でも村に帰ったらわかってるよな?」ということ。


 でも、当然恋愛には相手がいて。


 ライドヒさんが「自由」に振る舞ってもそれに女子が応じなければ、悲劇になる。


 今回の件も、男性が少ないこの国の「歪み」、そのものだ。ライドヒさんが自分に非があるとうっすら感じつつも、理解していないのが悲劇の本質なんだ。





「なんだ。意外と後腐れないんだ。ぬっくんに遺恨が行かなくてよかったゼ☆」


「ああ、『島オトコは、みんなさっぱりしてた。穢れは全部島の風に流した、いいオトコばかりだった』って、ひいばあちゃんが言ってたなあ」


 僕らを見て麻妃とコーラが呟いた。



 初島さんと来宮さんは、筐体でDMTの訓練を始めている。




 麻妃が、しみじみ言った。




「でもたくましくなったなあ。ぬっくん。新兵(ベイビー)だったのに」


「『突撃する赤ちゃん』だったのに」






※「何気ない日常回でタイトル回収やめい!」と思った そこのアナタ!!


ここまで、この作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!!


あなたのブックマーク登録、高評価が、私の創作の唯一のモチベです。

お願い致します!!


評価 ☆☆☆☆☆ を ★★★★★ に!!

↓ ↓ このCMの下です  ↓↓


Twitterやってます。いぬうと @babyassault 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ