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第81話 まほろシティ散策⑩

※無事第1部完結まで入力しました。書き溜めが80話(11/21時点)になってしまったので、毎日投稿に切り替えます。

 





「‥‥‥‥相手見てモノ言えや。さっきは町中だから引き下がったんだ。ここで5人同時。女ひとりで相手できんのか?」


「ええ。造作もないですが」


 仲谷さんが即答して、一気に空気が張りつめる中で、折越さんがすうっと前へ出てきた。そうだ。折越さんは憲兵だし、古武術の使い手だった。


「でもちなみったら、今日全力でオシャレしてるから、暗器とか全部置いて来ちゃった」


 僕らに聞こえる声で囁く。あ~そうきたか。たしかに今日は布面積が極端に少ない。あの服装で武器は仕込めないだろね。


 そんな通常運転の折越さんの頭を、七道さんがパチン、とはたいた。



「‥‥‥‥さっきバイクが傾いた時、地面の石でキズついたんだ」

「どうしてくれんだよ? コレ」


 ああやっぱり。こういう方向になった。矛先が唯一の男子、僕に来たよ。‥‥‥‥仲谷さんとは喧嘩したくない、とかかな。


「就学旅行かよオマエラら。男はひとりか」

「ガキじゃあな。バイクも乗った事ねえんだろうな」

「わかんね~さ。こんなガキじゃあ、自前の愛車なんてないんだからな」


 なんか口々に色んな事を言われた。――わかったぞ。この人達「大人マウント」、「バイク持ちマウント」取ってくるつもりなんだ。その標的が僕だ。


 お兄さん方のディスり口撃が続いたんだけれど。




 そこへ後ろの方から「あ~市長さんの話長かった」 「みんな! 遅れてごめん。うん?」との声が。


 子恋さんと渚さんが到着した。そして、一瞬で今の状況を把握したようだ。



「‥‥‥‥そもそも『ふれあい体験乗艦』とは、紘国軍、とりわけ海軍が市井の方々とのふれあいを通じて、重畳なご理解、ありがたいご協力をいただく為の貴重な取り組みだ。ここでこの男性方と気持ちを異とするのはミッションの主旨に反する」


「そうね。わかっていただくには、もっと親密な交友が必要だわ」


「うん。ここは迅速に頼む。渚学生」



 僕に突っかかる男達の前に、渚さんが進み出る。


 なんか今日の僕、女子に庇われてばっかな感じが。――そしてモデルみたいに肩や腰をななめにしながら歩く渚さんに、男達が口笛を鳴らした。



「お兄様方。ご機嫌如何かしら」


「お? 引率の先生?」


「いいえ。でも、責任の重さって視点では間違ってないわ」


 渚さんは慣れた感じで男達の輪の中に入っていった。――そう。すごく慣れた感じ、なんだよ。


「あんまり虐めないで。彼はウチのエースパイロットなの」


 そう言いながら、ひとりひとりと意味あり気な視線を交わす。男達の鼻の下が伸びるのがわかった。


「パイロット? だって」

「何のパイロットだよ。原付か?」

「中学生だろ。チャリだよ」


 へらへら笑う彼らの横で、渚さんが子恋さんに目配せ。そして子恋さんがスマホで、「ありがと澪。そこに置いて」と言った刹那。




 ズドン!!



 もの凄い地響きと衝撃が来た。一瞬体が硬直しちゃいそうなヤツ。男達は、きょとんとしてお互い顔を見合わせていた。


 ――――でも、僕らラポルトメンバーは、そこまでは驚いていない。‥‥だって。



 よく聞きなれた音だったから。



 僕らを見下ろす様に、巨人が身をかがませていた。UO-001だ。肩高25m。4、5階建てのビルの高さだ。


 ゴゴゴウン! ゴゴゴウン!


 複数エンジンの独特な音がする。フローターで無音で浮いてきて、いきなり着地したんだ。――わざと。



 沈みかけた夕日を人型の巨体が遮って、もの凄く長い影が僕らを包んだ。だから、瞬間僕は目が慣れずに足元すら見えなくなった。




「乗せて」


 僕が愛機に歩み寄ると、僕の声に反応して、UO-001の巨大な腕部が近接する。手のひらだけで人の身長より全然デカいからね。


「ひええ‥‥‥‥」


 かろうじて絞り出したような、そんな声が聞こえた。さんざんイキってたお兄さん達は、もう声も無い。




「ああ暖斗くん。エンジン止めて。全個体電池(バタリエス)で、ね?」


 ああそうか。子恋さんの言う通りだ。僕の後遺症は秘密だし、エンジンかけたまま乗ったら、発症するかもだ。――ここは、ハシリュー村に行った時みたいに、内部充電を使えば十分だね。


「お兄様方、あれが彼の乗機なの。先日ツヌ軍を蹴散らしたから、あの機体もキズだらけで。貴方のバイクのキズも残念だけど、あのDMTに免じて許して欲しいわ」



 ‥‥‥‥なんていうか動画とかでしか知らないけど、大人がお酒を飲む夜のお店のお姉さんみたいな感じで、渚さんは男達を手玉に取ってる。――――様に見える。


「それでもまだご納得頂けないようでしたら、お手数ですがこちらにご一報を」


 渚さんがスマホを開く。男達の顔が一気に青ざめた。



「‥‥‥‥マジかよ」

「紘国海軍じゃね~か」


「ええ。そうです。こちらで承ります」


 渚さんがスマホの画面で示したのは、紘国海軍の市民相談室と、そこにアクセスする「パスベクトル」――三次元座標型パスワードだった。これを、通信したりカメラで読み込めば取得できるけど。



「あれ‥‥‥‥軍用だよね?」

「マジかよ。どう見ても中学生だろ」


「そうですね。中型以上のDMTで兵器用途以外の物は、紘国では登録されてないと思います。ささ、どうぞ。キズが付いた経緯も含めてこちらで承ります。海軍で責任もって原状回復させて頂きます。場合によって、ですが」


 ずずい、とスマホを押し出す渚さんと、腰砕けによろける「お兄様方」。




 この後、どこからともなく現れた紅葉ヶ丘さんが合流したので、無事みんなで記念撮影する事ができた。





 カメラマンは、あの「お兄様方」が買って出てくれた。







※「陽葵ちゃんて何者!? あ、仲谷さんは知ってます」と思ったそこのアナタ!!


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