表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

224/518

第81話 まほろシティ散策⑧

※申し訳ございません。順番間違えてました。

まほろシティ散策⑧ を割り込み投稿します。1個ずつずれます。

 





 僕らはそんなふたりをカフェに残して退出した。麻妃がやけに急かすし。


 で、お会計。七道さんと折越さんの分も密かに清算する。‥‥なんか、金銭感覚が狂ってきた。


 取りあえずふたりについていって、色々な店を見廻る。――そうだ。愛依に。


「‥‥‥‥あのさあ。ちょっと考えたんだけど、あの、キャミソールとか、僕が出すから、新しいの買わない?」


「ええ? キャミを? でも、あれまだ着れるよ?」


 驚く愛依だけど、逆に僕が驚く。いやいや、そうきたか!!


「いやあ、アレ着てもう一回敵兵に捕まってほしくないし」


「捕まらないよ。わたしだってやだよ?」


 いや、あなたはもう2回も捕まってます‥‥。あの胸元ゆるゆるキャミで。



「‥‥‥‥暖斗くん! キャミソールってイマドキはそうでもないけど、もともと下着の(たぐい)なんだからね。女の子に『下着買うよ?』って、微妙なんだからね?」


 と、愛依は顔を赤くして反論してきた。あ、こうなっちゃうと愛依は強情かも。



「‥‥‥‥そっか。それなら無理には言えないね。プレゼントとは別枠で、と思ったんだけど」

「‥‥‥‥でも暖斗くんがそこまで言うなら、買ってもらおうかな‥‥‥‥」


 僕が撤退しようとした所で、愛依が陥落した。う~ん。


 麻妃に肘で小突かれた。


(愛依のキャラじゃ、ハイそうですかありがとう! とは言わないからさ)





 結局またデパートに来た。麻妃がひとりで靴を見てくるというので、その間に婦人服のコーナーへ行く。


「‥‥‥‥ここなら大丈夫ね。じゃあ、選んでくね」


 と、愛依にのこのこついてきたけど、本当に女性用の服売り場の真ん中だ。

 しかも、ちょっと横には――――ガチの、下着コーナーがある‥‥‥‥!


 これ、愛依とはぐれたらヤバイ。背中に変な汗が出てきた。


 スッスッスッ、っと、まあまあの速さでハンガーに吊るされたキャミソールが引き抜かれた後。


「これなんてどうかな?」


 愛依が、選んだ色とりどりのキャミソールを胸に当てる。青系だけでも色々ある。


「あれはもっと淡い水色だったけど?」


「ううん。最初はこのくらい青色に近かったんだよ。洗ってたら色落ちしちゃった。まあ、あの水色くらいがわたしが一番好きな色なんだけど」


 ああ、やっぱりそういう感じか。――――ふふふ。と彼女は笑ってるけど、買い足して正解だ。



 結局、さんざん迷ったけど、あの「くたくたキャミ」に似た感じの、白い肩ひもにフリルのついた、青色のキャミに決まった。

 タグには 「650円」とあった。あまり高い物ではないのかな? ‥‥あ、税抜だから消費税30%。「税込845円」か。それなら。



 レジに持ってく時に、後ろから同じ物を追加する。


「え?」


「だって、2着あった方が、ローテとか楽でしょ?」


「‥‥‥‥本当にどうしたの? 今日は? え~~! ‥‥いいの?」


 彼女はニコニコだった。




 *****




 デパートで、初島さんと来宮さんに会った。

 もうこの辺りから、僕も察したし、麻妃が種明かししたんだけど、ラポルトの通話アプリの「女子専用アカ」で、僕の「お土産」企画は拡散されていたらしい。

 だから、だいたい僕がいる場所もばれてて、プレゼント選びの時に、本人達が通りがかる感じになってた。


 でもまあ、逆に僕もありがたかった。正直、誰に何を買っていいかわからなかったからね。本人に選んでもらうのが一番だ。


 初島さんと来宮さんは、スポーツ系のお店で、お揃いの汗止めを買った。すごく喜んでくれた。


 やばい。人に何か買って喜んでもらうのが、クセになってきてる。


 あっ! と僕は気がついて、咄嗟に商品をレジに持ち込む。ふたりの汗止めを会計してた所だったけど、ギリギリ間に合った。初島さんと来宮さんは、きょとんとしてた。



 その後、麻妃や愛依に助けてもらって、残りの人のプレゼント選び。


 子恋さんと渚さんには、公務が多そうなので礼服系のハンカチと小物。


 紅葉ヶ丘さんはガチで誰もわからなかったので、お菓子の詰め合わせ(味は僕が保証)。


 折越さんは、もうメールで訊いたら合流してきた。目元をキラキラさせるメイクのなんか(品名不明)を選んだ。


 で、麻妃はTシャツ。愛依は‥‥‥‥辞退された。


(前にお誕生日ケーキくれたし、お昼もご馳走してもらったし、キャミも2枚もだし)


 とのことだ。‥‥‥‥まあ、無理に、とまでは思わないけど。

 またいつかの機会に。




 そのあとちょっとだけ各自で行動。僕はゲーム屋と本屋で時間を潰した。




 デパートの出口の広場で、麻妃と愛依とで待ちあわせていた――ら。



 店の前をうろうろしてる愛依の麦わら帽子が見えた。


 あの、デパートの入口付近。午前桃山さんの「リボン」を買った小物店だ。



 愛依は、麦わら帽子を背中にかけて、ある帽子を試着して、全身鏡を見ていた。

 しきりに左右に身体を揺らして、どう映るのか、真剣な感じだ。


「暖斗くん?」


 その鏡に写りこんだ僕を、愛依が見つけた。


「その帽子‥‥‥‥」


「うん。気になるんだけど、買わないよ。まあ、ガンジス島でお買い物することもないだろうから、この帽子とは一期一会なんだけどね」


「買わないんだ?」


「うん。‥‥‥‥わたし、かわいい帽子を買うのが趣味なんだけど、ほとんどは買わないの。そんなに数あってもしょうがないし。‥‥‥‥正確には、帽子を選んで買うフリをするが趣味、かな?」


 愛依は「うふふ」と笑ったけど、今日の僕は、それで終われなかった。財布のひもが緩む日って、あるんだね。今日の僕がまさしくそれだ!



「買おう。それ」


「ええ? わたし買わないよ。暖斗くんにも悪いし」


「僕が、僕の分として買うんだよ。それならいいでしょ?」


「え? なにそれ? え?」


 もう待ち合わせの時間だ。愛依から帽子をひったくって、レジに持っていく。


 うす茶色の、丸っこいかわいい帽子だった。赤いリボンが巻いてある。あの水色(スカイブルー)のワンピ(サマードレス)の愛依がかぶれば、もっとかわいくなるのは間違いなかった。




「ん」


 僕は「右手」を差し出す。


「うん。ありがと」


 意図を察した愛依が、自分の手荷物を僕に渡した。


 代わりに僕は、さっきの帽子を愛依に渡す。


「それは持っていて」




「‥‥‥‥はい。わかりました」





 病院へ向かう夕暮れの中、愛依は短く答えた。






※第一章のラスト「エンディング 前編」での愛依さんは? 伏線回収でございます。


ここまで、この作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!!


あなたのブックマーク登録、高評価が、私の創作の唯一のモチベです。

お願い致します!!


評価 ☆☆☆☆☆ を ★★★★★ に!!

↓ ↓ このCMの下です  ↓↓


Twitterやってます。いぬうと @babyassault 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ