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第2部 第11話 七道仮説④ 設定解説回をスルーせず絡んでみた件

 




 私の不安げな表情を読みとった七道さんが、捕捉をくれた。



「重力子エンジンを制御するマジカルカレント。『こっち』の世界じゃ魔法だったって訳さ。脳の微弱電流で魔法を制御する。同じ仕組みだ。――いや、同一の物かもしれない――」


「――まあ。光子が魔素に置き換わってんのか、それとも本当に魔素素粒子があって、光子と相互作用して光子の速度を落としてんのか? 私の【光学印象(スキャニング)】じゃ、そこまではわかんね~んだけどな」


 七道さんはこう言って、さらには。


「『マジカルカレント』が脳波が発する微弱電流なら、電子でも同じコトが起こってても不思議じゃあね~よな? 未知の素粒子――電子に近しいヤツがいて、重力子回路の電流や印加電圧に関与するとか。とりまMK素粒子とでも名付けとくか」


 私は正直、難しいのでよくわからない。でも、原因不明で不思議だ、ってみんな言ってたぬっくんの能力が、キチンと説明されるのはちょっと――――



 ――――ちょっと、どころではなく、死ぬほどうれしい!!!!



「なんだ姫の沢。ニヤニヤしやがって」


 と、私をイジろうとした七道さんを、すごい剣幕の仲谷さんが問い詰めた。


「それだと! 全ての魔法使用者はMK能力者、という事になりますが!?」


「私はもう、その認識だよ」


「この世界の魔力総量は有限なんですよね?」


「この世界の質量が有限で、この世界の光速度が自然定数だろうからな」


「‥‥ならば‥‥腑に落ちます。魔法を行使する時は、やはり精神力を使います。ゆめさんのご指摘の通り、魔法を使うにあたって量や効果に優劣の個人差があり、修練で向上することができます。脳内の、魔素を操る脳内微弱電流の習得、習熟、なら、矛盾点がありません」


 仲谷さんは、うん、うん、と何度も頷いていた。



「『マジカルカレント』が重力子エンジンを操ったように、この世界の人間脳が魔素、魔法をコントロールする、か。可能なら、細かい部分を検証していきたいところだが」


「それなら、一定の知能を持つ魔族や魔物が魔法を使えるのも説明つきますね」



 ちょうどその時、網代さんがトイレから戻ってきた。


「あ、ちょうど良かった網代さん。今、この世界の魔法の仕組みについてお話してて」


 私がちょっと気を使ったんだけど、網代さんはくたびれた様に手を振った。


「あ~~? あ~しらもう、師匠からこの手のハナシは散々聞かされてて。新説? いいッス。もうお腹いっぱい」


 そう言う網代さんは、本当にげんなりしている。


「え? あ? そうですか。ごめんなさい」


 咄嗟に謝るのが私のクセだ。でも正直、わかりみ。このふたりの会話はムズいよ。どんどん先行くし。



 でもちょっとおもしろい。網代さんは海軍中等工科学校の子。ラポルトでもこの中学の子3人でDMTの整備とかをやりきっっている。重力子エンジンとかは専門なのに、魔法とかの話は興味ないんだね?

 んん? 重力子エンジン? って、普段(あっちの世界では)当たり前に使ってたんだけど、どういう仕組みなんだっけ? ‥‥‥‥あれ。急に気になってきちゃった。




「逆に、なんですけど?」


 私は、白熱議論中のふたりに、あえて質問を差し込んだ。


「重力子回路と重力子エンジン、どういう原理で動くの? そっちの説明聞きたいです。ほら私、ラポルト乗ってないから」


 七道さんは「え? 知らないの!?」って表情だったけど。

 そりゃあ原理とか最低限は知ってるよ。あっちの世界の動力は今や、ほぼほぼ重力子エンジンがマストなんだし。

 でも科学的な深い話は知らない、わからないってこと。


「だって、この世界の脳波と魔法の関係が、『あっち』のマジカルカレントと重力子回路の関係に似てるんでしょ? 私は重力子回路のことよくわからないから、まずちゃんとそれを知りたい。――そしたら、この世界の魔法の習得にも助けになるでしょ?」


「仰る通りです」


 すぐに返事をくれたのは、仲谷さんの方だった。



「私がまず、重力子回路の説明を試みます。理由は私もゆめさんと同じ素人だからです。素人の言葉の方が、ゆめさんにはわかりやすいかと。――もし私の説明が拙ければ、七道さんが捕捉訂正をして下さい」


 という彼女の言葉に、七道さんが「おう」と頷く。


「では――――。こほん。重力子回路。その名の通り、電気回路に電気が流れるのです。基本的にはそれだけです。ですがその時に、回路の中に秘密があって、中で電子が特殊な『ふるまい』をするんです。発見者の博士の名をとって、『水口ダンシング』‥‥‥‥でしたっけ? 回路の中での配線の妙で、電子が踊るんですね。格子欠陥に捕縛された電子のスピンが~~とか何とか。要は『ふしぎなおどり』です――」


「――そうすると『ふしぎなおどり』ですから不思議な事に、重力子もつられて踊りだすんです。素粒子間の相互作用です。重力子エンジンの初動が遅いのは、ひとえにこの『釣られて踊りだす』に時間がかかるから、ですね。けれども重力子が踊ればこっちの物。電流を流す向きを研究して、私たちの役に立つ方向に重力子を誘導、上でも横でも思うままに、そちらに物を『落としてゆく』ことが出来ます」


 仲谷さんは、ここまで一気に喋って、「ふう。如何でしたか?」とはにかんだ。


「仲谷さん! すご~~い!!」


 私は素直に感動して、拍手していた。七道さんも「やるな」のひと言。


「以前、戦艦内の女子会(議)で、七道さんの講義を聴いていましたからね」


「お、そうだったな。そして姫の沢はもっとがんばれ」


 あれ? 私に流れ弾が。



「これ私が説明するよりわかりやすいな。私だとつい専門用語羅列しちまうからな。まあ、この話をこの異世界でしてんのが軽~く違和感だけど。――――で、暖斗くんあたりにも言ったっけ。私は重力子見つけた奴よりもこの水口博士に拍手を贈りたい。これで重力子からエネルギーを取りだすアテがついたんだ。偉業だよ。コレよくわかったろ? 姫の沢」


 彼女にそう言われた。――うん。重力子回路の事はこれでOK‥‥なんだけど、私には新たな疑問が生まれていた。





「じゃあ? ぬっくんの能力は? マジカルカレントって、その回路で何をしてるの?」






※「異世界で元世界のSF設定解説って(-_-;)」という そこのアナタ!!


ここまで、この作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!!


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