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僕たちの恋愛の場合  作者: 雅也
1/11

1話


                  1


 青木あおき 匠斗たくとと 村上むらかみ 凪穂なぎほは現在、高校3年生、その二人が出会い、恋愛をしていく極スタンダードな話。



                 ◇



 高校3年となり、今まで何の色恋沙汰もなく過ごしてきた匠斗だが、今年、同じクラスになった小学校からの唯一の親友である 加藤かとう りょうに、最近彼女が出来て、それを聞いた匠斗は、羨ましくってしょうがない。 でも、その亮の彼女が、匠斗も良く知っている女の子だったので、驚きだ。

「匠斗、もう大学は決めたのか?」

「いやまだだが、お前は決めたのか? 亮」


 週末の金曜日、昼休憩。進学の話であるが、匠斗は残念な事に、学年成績はあまり良い方ではない。


「オレは葵と一緒の大学に行く事にした」

 葵とは、亮の彼女で 木下きのした あおいだ。 亮も葵も、匠斗とは、小学校からの友達で、今まで唯一の女の子の友達だ。亮と一緒で、気さくな関係で、話していて楽しいし、意外にこの二人、匠斗の事を親身になって心配もしてくれる。


「いいな~。この幸せもんが~」

「ははは、ま、俺が無事に入学出来ればだけどな」

「全くその通りだ」

「お、言うねえ 匠斗。オレと一緒なくせに」

「全くだ、困ったな」


 二人の成績は、学年270人の内、100位前後が定位置である。 成績まで親友である。

「あなたたち、そこ笑えるトコじゃないでしょ?  ホントにもう...。自分の立ち位置を考えなさいよ」

 

 葵がいきなり二人を叱りつけた。

 隣のクラスなので、しょっちゅう遊びに来る。


「スマン、葵。」


「匠斗も もっと成績上げなくちゃならないのに、まだお尻に火が付いてないのね」

「葵、オレも怒られるのか?」

「当然でしょ! 三人で、一緒の大学に行くんでしょ? 頑張りなさい」


 葵の成績は学年でいつも20位以内に居るので、何とも言えない二人。

「頑張るって...今からやっても間に合わないと思うけどな~」

「何言ってるの、私がまとめて二人面倒見るから、今週末からでも始める? 例の勉強会の話」

「オレはいいぞ、匠斗はどうする?」


 以前から 匠斗と亮は、成績があまり良くない。

 亮が葵と付き合った時期から、このままこの3人で、同じ大学に行きたいと言う、無謀なこの男子達を、何とかしないと、この関係は疎遠になってしまう恐れがある、それがイヤで、じゃあ 勉強会を開いて、葵に受験時期まで教えてもらおうと、毎週の勉強会の開催を計画していた。


 匠斗は少し考え、遠慮がちに言う。


「俺がそこに入ると、二人のお邪魔じゃないかな......」

「今更なに言ってるの、あなたも来なさい 匠斗。今からでもやって行けば、必ず結果は出てくるから」


 そうして、この後3人はコレからの勉強会の予定をたてていった。



                  ◇


「そうなの? 毎週末なの?」


 学校で決めた勉強会の事を、家に帰った匠斗は 母親のめぐみに話した。


「そうなんだ、今週末から、用事がない限り、毎週土曜日の午前中だけ、いつもの三人でやる事になったんだ」

「いつものって、亮くん と葵ちゃんの事かな?」

「うん、そうだよ。で、場所なんだけど、毎回持ち回りって言うか、お互いの家を順番に回ると言う事にしたんだ。いいかな?母さん」

 恵が嬉しそうに。

「いいに決まってるじゃない。匠斗もやっとやる気を出してくれたのね、お母さん嬉しいわ」

 だが拓斗は、本当の理由が違う事を、母親に言ってない。

(母さん実は、俺が大学に行きたい理由は、ただ今まで通り3人で居たいと言う、簡単な事なんだよ。(匠))


「あ、ありがとう母さん」


 そこへ、妹のまいが学校から帰って来て、いきなりの一言が。


「ただいま~!...って、お兄ちゃん、お母さんに、お小遣いアップの相談してるのかな~.....」


 青木 舞 (あおき まい)高校1年生。兄とはとても仲が良く、ちょっとヤンチャなところもあるが、家庭的な母親似のカワイイ系の女の子だ。


 

「おかえり 舞」

「何だ舞、部活はどうした?」

「今日は先生が職員会議があるという事で、お休みになりました」

「でも、吹奏楽だろ? ロングトーンでも出来るじゃないか?」

「そんな.....、早く帰りたかったんだもん!」

「そうか.....]


 舞が目を光らせて。


「で、お小遣いは?」

「違う違う! 勉強会の話だ」

「うわ!! 太陽が西から上がりそう」

 舞が驚愕染みた言い方をした。


「お前な~...」

「だって信じらんないもん。 お兄ちゃんが 勉強だなんて」

「俺を何だと思ってるんだ」

「ただの 平均 平凡な 高校3年の男子かな?」


 聞いていた恵が。


「それはホントの事よね、舞」

「母さんまで.....」

 少し項垂れる匠斗。

「だって、舞は高一でも、学年15位が平均なんだから、見習ったら? 匠斗」

「う~..........」

「あはは、お兄ちゃん落ち込まないでね、ゴメン」

「う~..........」

「匠斗、サイレンじゃ無いんだから、唸ってないで」


「勉強会、自分なりに頑張ります」

「よろしい!」


 三人で笑った。



「ところでお兄ちゃん」

「なんだ?舞」

「明日なんだけど、空いてる?」

「さっき言った勉強会が10時からなんだが」

「そっか~.....」

 少しシュンとする舞。


「一応なになのか言ってみな舞」

「あ、あのね」

 言い辛そうに言ってみる。


「いつも良く行くバーガーショップで、今日から新しいセットが出たんだ。一人で行くのはちょっと....だから、お兄ちゃんが一緒に行ってくれないかな~なんて.....」

「それ、何時からだ?」

「朝メニューになってたから、朝7時からだよ」

「お~、だったら行けるぞ。 オレ、9時半まで家に帰れば、亮の家には軽く間にあうからな」

「うわ!ありがとう お兄ちゃん、愛してるから~」

「はいはい、じゃ、結婚するか?」

「しません!」

 即答だった。



 聞いていた恵が。

「だったら、お父さんと私の分、テイクアウトしてきてくれない? 全額出すから」

「わぁい! やった~、お母さんありがとう」

「私達も同じモノよ、舞。お願いね」

「は~い」



 このバーガーショップが、後の匠斗の人生を変えるとは、今の本人は思っても見なかった。





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