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砂の詩集

『砂楼』

作者: 餡蠱

手のひらで掬っても、掬っても、

砂塵は指の間からすり抜けて。

なのに砂塵に囚われた足は動いてはくれず。

容赦ない光は苛烈に、残酷に照りつけ、

なのに影は砂塵に落ちてその形も捉えられず。

見渡す限りの砂楼には、砂塵の他に動くものとてなく、

景色も殺されて既に亡く、

風は熱い砂塵を纏って哭く。

絶望にすら見放されてただひとり。

彼我の違いを見いだすことも、

砂塵の違いを見較べることも、

空しくて、虚しくて。

この渇きを満たす手立てなどあり得るわけがなく、

これでも生きていると言えるのか。

それでも生きていかなければならないと言うのか。

想いがひとを形作ると言うのなら、

砂塵と砂楼を形作るものがこの想いだとでも言うのか。

砂楼の想いは身体を捕らえ、

砂塵の想いは熱く吹きすさぶ。

光にこそ詛いあれ、

影にこそ祝いあれ、

ひとがひととして光であるが故にこそ。

虚空を舞う砂塵のごとき想いは散りぢりになり、

やがて静謐の帷のみが在るばかりの様になる。

この世の理たるや、

生死の彼我さえその法の有り様にあっては、

まさに砂上の楼閣のごとき様。

砂楼にこそ、砂塵にこそ、

生き様が刻みつけられるに相応しい。


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