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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

オーダーメイド

 富豪ジェームズは大変不機嫌だった。


 何故なら買い物一つするのに手間が掛かるからだ。


 ジェームズほどの富豪ともなると服一着買おうにも、そこら辺のショッピングモールに行くわけにはいかない。


 そんな安物を着ていては品格が下がってしまうからだ。


 そのため買い物はいつもオーダーメイド。


 服ならばジェームズの体格にフィットするように採寸を合わせるべく、綿密に身体計測を行い、またなるべく長く使えるよう普段の仕事や趣味の情報も送らなければならない。


 他にも、ジェームズの好みになるように好きな色から食べ物、また家の雰囲気に合うように仕立て屋がいちいち訪問しに来ることもある。


 服の一着を注文するだけでこれだ。金を掛けなければならない分、向こうもいい加減な仕事はしない。だが、ジェームズはそれがとても面倒くさく、不満だった。


 そして、ジェームズは今もイライラしていた。


 ジェームズは愛犬家でもあり、自分の子のように可愛がっている愛犬アレックスがいた。そこでジェームズは食品業者にドッグフードをオーダーメイドしたのだ。


 そうしたら業者からの返事はこうだ。


「ドッグフードを作るために、お宅の犬をこちらへ送ってください」


 仕事の時以外は片時も離したくないアレックスだというのに、そんなことまでしなくてはいけないのか。しかし、可愛い可愛いアレックスのためを思うと、ろくでもない市販のドッグフードを食べさせるのも嫌だ。


 きっと好みや体質などから徹底して調べ上げたものを作ってくれるに違いない。


 ジェームズは苦汁を飲む思いで、アレックスを業者に引き渡した。


 その日の夕方には完成するというので、ジェームズは今か今かと時計を睨み殺す勢いでアレックスの帰りを待った。


 そして、ようやく業者がジェームズ宅に現れた。


「待ちくたびれたぞ! うちのアレックスは何処だい?」


「こちらになります」


 業者は笑顔でドッグフードを差し出した。

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