お断りします(前編)
はじめまして
人生初の投稿作品になります。
色々と至らない点があるかと思いますので、暖かい目で見てもらえると嬉しいです。
投稿は不定期になるかと思いますが、何卒宜しくお願いします。
ついにここまで来てしまった・・・。
私、クロエ・リルフォードは目の前にある扉の前でため息をついた。
出来れば開けたくないけどこのままこうして佇んでいるわけにもいけない。
ここで悩んでいても仕方がないわ。
重くなる手を挙げて扉をノックする。
「はい、どうぞ」
「失礼いたします。クロエ・リルフォード参りました。」
「ようこそいらっしゃいました。リルフォード嬢。」
そういって扉を開けてくれたのは、宰相の息子であるグレイ・ルーベル様だった。
「どうぞこちらへ、お待ちしておりました。」
「はい。ありがとうございます。」
行きたくない・・・嫌な予感がするわ。あぁ、このまま帰ってしまいたい・・・。
そう思いながら足を進めた先にいたのは・・・
この、レスティン王国の王子 ライアス・レスティン殿下・・・だった。
「わざわざ呼び出してすまないな、クロエ嬢。元気そうでなによりだ。しかし、こうして話すのも久しぶりだ。ここ最近は中々顔を出してくれないと母上も拗ねていたぞ。」
「はい、お久しぶりです殿下。少し私用で忙しくしておりましたので、王妃様のお誘いも中々お受けできず申し訳ありませんでしたわ。」
まさか、わざと招待の日に用事を被せていたとはいえないわね・・・。今日の呼び出しも出来れば用事をつけて断りたかったのだが、父から必ず行くようにと言われてしまい断りきれなかったのだ。
ソファーを勧められ、腰を下ろすとすぐ、グレイ様によって紅茶が準備された。
「どうぞ、お口に合えばいいのですが。」
随分と手慣れているようだった。
「あ、ありがとうございます。」
「クロエ嬢、・・・いやクロエ、今日来てもらった件なのだが・・・・・・。」
なんだか殿下の歯切れが悪い。
「なんでしょう?」
「俺の妃になってほしい!」
「はいぃ!?」
「この国の王妃となり、俺の隣で共に歩んでほしいんだ!」
「お断り致します。」
速攻で断っていた。