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 マシューは話を続ける。

 自分がいかに植物が好きなのか、植物がどれくらい素晴らしいものなのか、それから魔法樹の苗を誕生させたときの幸運な出来事の重なり合いなどを話してくれた。

 最後にマシューは机を開けると、その中にしまってあった一冊の魔法書を取り出した。真っ白な魔法書。題名のところは空白のままになっている。

「これは僕がこの場所で研究している植物の観察記録や、実験の記録。そして魔法樹の記録をできるだけ詳しく、正確に書き記したものです。古き森の時代の魔法樹の記録は九年前に古き森とともに焼けてしまって、現在の新しき森には一切、魔法樹に関する記述は残っていません。なので、こうして僕が自分で魔法樹の記録を残した魔法書を書いているというわけです。この本が後世の魔法使いたちにどれだけ役に立つかはわかりませんが、この本をきちんと完成させることが僕の生涯をかけた魔法使いの研究ということになりますね」

 にっこりと笑いながらマシューが言った。

 メテオラはマシューの話に感動して、思わずにっこりとマシューに笑い返してしまった。

 すると「お、いい顔で笑いますね」とマシューが言って、興味本位でメテオラの顔を覗き込んできた。「え? どれどれ? 僕にも見せて」とニコラスが続き、その後ろでは遠慮がちにだけど確かにじっとアネットもメテオラの顔を観察していた。

 メテオラはそんな三人から逃げるように帽子のつばで自分の顔を隠してしまった。

 すると真っ暗闇の中で三人の笑い声が聞こえた。

 その声を聞いて、メテオラは珍しくちょっとだけむっとした。

 それからメテオラたちはマシューの研究室をあとにした。

 パーシー先生とも別れて、三人は魔法学校の一階まで移動する。

 その移動の最中、メテオラは平然を装っていたのだけど、付き合いの長いニコラスにだけはメテオラが少しだけ怒ってることが伝わってしまったようで、ニコラスは「怒んない、怒んない。メテオラくんらしくないよ」と言って、笑いながらメテオラの体に抱きついてきた。

 そんなメテオラとニコラスを見て「こら、二人とも、なにじゃれついているんですか? ここはまだ魔法学校の校舎の中ですよ!」とアネットにメテオラまでニコラスと一緒になって注意されるというなんとも理不尽な出来事があった。

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