表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/184

86 魔法樹

 魔法樹


 今日は魔法学校が長期休みに入る最後の日なので、授業は午前中だけだった。

 メテオラたちは今日の午後は、マシューの研究室にお邪魔することになっていた。マシューはいつでもいいと言ってくれたのだけど、結局、マシューのお誘いを受けてから一ヶ月近い時間が経過してしまっていた。

 天才魔法使いであるマシューは本当に忙しい毎日を過ごしているのだ。

 マシューとの待ち合わせ場所はお昼の食堂だった。

 メテオラたちは六階までたどり着いて螺旋階段を降りて通路の上を歩き出した。

「でも、そんなこと実際にできるのかな?」とニコラスが言う。

 ニコラスが言うそんなこととはマリンが去り際にこっそりと教えてくれたデボラとアビーの得意技のことだった。

「できるもなにも、実際にやっていましたよ」メテオラが言う。

「だって僕にはデボラくんとアビーくんの姿が途中から見えなくなっちゃたんだもん」とニコラスは拗ねる。

「ねえ、メテオラくん。もう一回説明してよ」とニコラスが言う。

 メテオラは自分の見た光景とマリンの話を要約して、ニコラスに説明を始める。

「僕もマリンさんの説明を聞いて二人の動きが理解できたんですけど、どうやらあの瞬間、先頭のアビーくんが加速をやめてふんわりと空の中に浮かんだらしいんです」

「でも、それじゃあ、後ろのデボラくんとぶつかっちゃうでしょ?」とニコラスが言う。

「だから、アビーくんがすごいんです。ずっとデボラくんに注目していましたけど、空の中で主導権を握っていたのはアビーくんだったらしいんです」

「うんうん。それで?」

「それでですね。アビーくんはデボラくんの力に流されるようにふんわりと体を移動させながら、デボラくんと空中で手をつないだらしいんです。これがあの二人の得意技ってやつですね。一人では絶対にできない運動を二人で協力して生み出すんです。アビーくんに掴まれたデボラくんはぐるっと空中を回転してその方向を真上から真下に変えました。ニケー先生は一人なので、急ブレーキをかけたんですが、旋回が間に合わなかったというわけですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ