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「大丈夫だよメテオラ。今回はかなり長い間、僕は家にいられると思う」とソマリお兄ちゃんは笑って言う。

「本当ですか?」

「ああ、本当だよ。大魔法使いの名に誓って約束する」

 ソマリお兄ちゃんはそう言うけど、メテオラは何度かその約束を破られたことがあるのでじーっと疑いの眼差しをお兄ちゃんに向けた。

 そんなメテオラの視線を受けてソマリお兄ちゃんはまた優しく笑った。

「そうだな……、じゃあこうしよう。今回は約束じゃなくてしばらくの間、森にいるってことをメテオラと契約してもいい」

 その言葉を聞いてメテオラはとても驚いた。

 魔法使いにとって契約は絶対だ。つまり、ソマリお兄ちゃんがしばらくの間、森にいるということはどうやら本当のことのようだ。

「契約するかい?」

「はい! 契約します!」

 と言ってメテオラは笑う。

 するとソマリお兄ちゃんもメテオラと一緒に楽しそうに笑ってくれた。

 メテオラたちはそれからたくさんお話をした。メテオラは魔法学校でのことやニコラスやアネットのこと。それからマグお姉ちゃんや特別教室星組での出来事。そして一緒に見習い魔法使い卒業試験を受ける同級生のこと。 

 ……幽霊探しのことは話さなかったけど、それ以外のことは全部をソマリお兄ちゃんにメテオラは話した。

 ソマリお兄ちゃんは代わりに森の外の世界のことをメテオラに話してくれた。人間の国のこと、メテオラの知らない動物や植物の話、異国の食べ物の話や、旅先で出会った人たちの話、それらはすべて、通常であれば森の中でその生涯を終える魔法使いの一人として、メテオラの耳にとても魅力的な内容として聞こえてきた。

 ……やがてメテオラはいつの間にか、ソマリお兄ちゃんとお話をしながら、どうやら眠ってしまったようだった。

 メテオラはその眠りの中で、森を抜け出して、空を飛び、海を越え、異国の地を巡り、世界を股にかけて冒険している夢を見た。それはとても楽しい夢だった。

 日の光を浴びて、メテオラはゆっくりと目を覚ます。

 するとそこには穏やかな朝があった。メテオラはいつの間にかベットの中で横になっていた。そして家の中にはソマリお兄ちゃんの姿はどこにもなくなっていた。

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