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 メテオラたち三人はその日、珍しく道草をした。

 魔法学校の中庭には噴水と白いベンチがあって、そのベンチのところで放課後、三人で少しおしゃべりをしたのだ。

「アネットさんはお姫様だったんだね。住んでいる場所も魔法学校の十二階なんでしょ? すごいよね。シャルロットさんもアネットさんのメイドさんだって言うしさ。なんだか憧れちゃうな」

 アネットの普段の生活の話を聞いて、ニコラスが言う。

「別にすごくはありません。お小遣いだって、金貨二枚くらいしかもらってませんし……」

「金貨二枚!!」

 とメテオラとニコラスは一緒に驚いた。

「アネットさん、金貨持っているの!?」ニコラスは目を丸くしている。

「はい、持ってますけど?」

 それがどうかしたんですか? という顔のアネット。

「あ、あの、アネットさん。もしよろしければ、……金貨、見せてもらってもよろしいでしょうか?」とメテオラは聞いてみる。

「ええ、別に構いませんよ」

 そう言ってアネットは上質な布の袋を取り出して、そこから黄金色に光り輝く、二枚の金貨を取り出した。

 メテオラたちの視線はその輝きに釘付けになる。

 そんなメテオラたちのことを、アネットは不思議そうな眼差しで見つめていた。

「……アネットさんは本当にお姫さまなんですね。シャルロットさんから話を聞いて、すでに頭ではわかってはいたことなんですが、こうして現実を見せられると、説得力が違います」

「メテオラくん! そういうこと言うのやめてください。お姫さまって言われるの、苦手なんですから」

 そう言ってアネットは金貨を上質な袋の中に閉まってしまった。

「ああ~、勿体無い。もっと見てたかったのに~」

 ニコラスが悔しがる。

「あとでいくらでも見せてあげます。でも、今はだめです」

 すがりつくニコラスを一蹴するアネット。

 それからアネットはメテオラを一瞥してから、ぷいっと横を向いてしまう。どうやらアネットは本当に怒っているようだった。

 メテオラもさっきの発言は失言だったと認識している。

 なので素直に「すみません。今のは失言でした」と頭を下げてアネットに謝った。するとしばらくしてアネットがメテオラの顔を見てくれた。

 それで一応、アネットはメテオラのことを(まだ少し怒っていたけど)許してくれたようだった。

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