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マリンの言う通り、確かに魔法学校には最上階である十三階は生徒の立ち入りが禁止されていた。それだけではなく、その下の階である十二階や十一階にも、生徒たちは基本的に近づいてはいけないことになっている。
「それで現場に駆けつけたら、そこにデボラくんとアビーくんがいたんです。それで二人はあえなくモリー先生の御用となってしまったんですね」
主にメテオラを見ながら説明をしてくれていたマリンは、そこまで話したところでにっこりとメテオラに笑いかけてくれた。
その顔があまりにもかわいかったので、メテオラは思わずどきっとしてしまった。メテオラは下を向いて、自分の顔をマリンから見えないように隠してしまう。
そんなメテオラを見て、隣の隣の席のアネットがふふっと笑っているのがわかった。
「デボラくんとアビーくんは十三階に入るための『開かずの扉』の鍵を開けることができなかったんです。私とモリー先生が二人を見つけたのは、その扉を開けようとしている最中でした。デボラくんとアビーくんは最後の扉を開けることができなかったんです。
つまり、二人の犯した罪は私たち魔法学校の生徒に立ち入りが禁止されている最上階、十三階への不法侵入未遂ってことなんです」
「そうなんだよ! あともうちょっとだったのに、あの警報が鳴ったから作戦が失敗しちゃったんだよ! せっかくアビーと一緒に頑張って徹夜して考えたってのにさ、もうめちゃくちゃだよ!」
デボラがテーブルの上にその小柄な上半身を寝そべらせてじたばたと悔しがる。
「本当だよね。あと、もうちょっとだったのにさ」
と言って、アビーがデボラの真似をした。
「もしその扉を破っていたら、お仕置きは校庭を走らされるくらいじゃ、すみませんでしたね」ふふふっと笑いながらシャルロットが言った。
「なるほど。今朝起こった事件のだいたいのことは今のマリンちゃんの話で理解できました。でも、それが結局、私たちの見習い魔法卒業試験とどう関係してくるんですか?」
アネットがマシューに質問する。
「その幽霊を僕たちの手で捕まえようという話です」マシューは言う。
「え!?」
その言葉に、シャルロットを除くメテオラたち六人が同時に驚いた。




