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……この下に広がるたくさんのオレンジ色の光には、そんな物語が詰まっている。この暖かい光はソマリお兄ちゃんが守った光なんだ。昨日の夜、温泉からの帰り道で、マグお姉ちゃんの杖に乗せてもらい、空から夜の森の風景を見つめていたとき、そんなことをメテオラは思った。
「メテオラ、なにを考えているの?」朝食の支度を終えたマグお姉ちゃんがメテオラに言った。
「ソマリお兄ちゃんのことです」とメテオラはマグお姉ちゃんに答える。
「一昨日の夜、ソマリお兄ちゃんは慌てて森の外に出かけていってしまいましたよね。ソマリお兄ちゃんが森の外に出かけていくこと自体はいつものことですけど……、こんなに急なのは初めてです。いったい森の外でなにがあったんでしょうか? すぐに帰ってくるって言ってましたけど、少しだけ心配です」とメテオラは言った。
メテオラの質問にマグお姉ちゃんはすぐに答えてくれなかった。どうしたんだろう? とメテオラは疑問に思う。
「……大丈夫だよ。ソマリならなにがあってもきっと大丈夫。なんたってソマリはこの森の代表を務めている大魔法使いなんだからね」
しばらくしてから、マグお姉ちゃんは遠くを見ながらメテオラにそう返事をした。少し間が空いたことは気になったのだけど、その言葉を聞いてメテオラはマグお姉ちゃんの言う通りだと思った。
「ええ、そうですね。ソマリお兄ちゃんなら、なにがあっても大丈夫ですね」とメテオラは言った。




