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 巨大な嵐の雲の中に、大きな黒い影が見えた。

 それは巨大な龍だった。

 龍が空を飛んでいる。

 その姿を見て、魔法使いたちはおののいた。

 こんな空域を龍が単独飛行しているなんてことはない。でも、実際に龍はこの空域の空を飛んでいる。それはおそらく、魔法使いたちが起こした厄災が原因だと推測された。

 龍は魔法使いたちの集団に気がついた。

 大きな咆哮をあげると、巨大な龍は翼を大きく羽ばたかせて、魔法使いたちの集団に襲いかかってきた。

 龍が魔法使いを襲う。

 それもとても珍しいことだった。

 あるいはこの龍は、北の大地に住んでいた龍で、魔法使いたちが厄災を起こしたことで、その土地に住むことができなくなって、こうして空渡りをする魔法使いたちと同じ理由で、嵐の夜の中を飛行しているのかもしれない。

 龍は魔法使いたちが厄災を起こした張本人だと知っているのかもしれない。

 龍は確かに、魔法使いたちに憎しみと呼ばれる感情を向けていた。

 魔法使いたちの集団には年寄りも、子供たちも大勢混ざっていた。

 到底、怒る龍から逃げ切れるわけもない。

 そのことを悟って、大魔法使いは一人、魔法使いの集団から離れて、集団に向かって嵐の中を上昇してくる龍に向かって、急速な下降を始めた。

「ソマリ!!」

 誰かがそう叫ぶ声がした。

 でも、その声は若き大魔法使いには届かなかった。

 大魔法使いは龍と一緒に雷鳴の鳴り響く黒い雲の中に消えていった。

「今のうちに早く!! 隊列の向きを変えろ!!」

「なにしてるの! マグ!! 早くこっちに来て!」

 そんな声がして、魔法使いたちの集団は嵐の中を蛇行し始めた。


 やがてそんな夜が去って、新しい朝がやってきても、大魔法使いは魔法使いたちの集団の元には戻ってはこなかった。

 ぼろぼろの姿になった大魔法使いが次に魔法使いの集団と合流したのは、それから三日後のことだった。

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